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夕食の後、リオネル様はお義母様に呼ばれて部屋を出ていった。


リオネル様が戻ってくるまで読書でもしていようかと思って立ち上がるとドアが開いた。


「おかえりなさいませ……え…?」


ノックも無しにドアが開いたからてっきりリオネル様が戻ってきたと思ったら…入ってきたのはメアリーさんだった。


「ノックも無しに部屋に入ってはいけないわ」


困惑しながらも注意すると彼女は、きょとんとした表情で「私、いつもノックしないので」と言った。


何が言いたいの?

自分とリオネル様はノックをしないで部屋に入る仲だと言いたいの?


「まぁそんな怖い顔をしないで下さい」


相変わらず大きな声。

側で控えているメイド達がこちらを見ている。


「私、レティシア様に、お話があって来ました」


「話…?」


「立ち話も何ですから座っても良いですか?」


メアリーさんは勝手にソファに座るとメイドにお茶の準備をさせた。


私を怒らせるのが目的?

目の前で無作法に振る舞う彼女にイライラしてしまう。



「それで、話とは何でしょう?」


「リオネル様の事です」


「リオネル様…?」


「リオネル様とレティシア様は御両親が勝手に決めた婚約なのですよね?」


勝手にと言われるとそうだけど…それがどうしたのよ。


「私はレティシア様と婚約なさる前からリオネル様と親しくさせて頂いてます」


「……」


「貴族のお嬢様だからってリオネル様を独り占めするのは、おかしいですっっ!!」


さっきから何が言いたいの?


「それは、どういう事かしら?」


「私にもリオネル様の側に居る権利を下さい」


メアリーさんは突然、泣き出して大声で叫んだ。


ここで怒ったら彼女の思う壺なのかもしれない。


「メアリーさん、貴女がリオネル様にどういう感情を持っているのか知らないけど…恋心では無いわよね?」


「ひ、ひどいですっっ!!」


一瞬、目を見開いたけどすぐにまた泣き出した。


「レティシア様には、ジャンが居るではありませんかっっ!!」


泣いているけどメアリーさんの口角は上がっている。


「私、その方にお会いした事が無いのだけど?」


「そ、そうですよね…レティシア様が、そうおっしゃるのなら…そうなのですよね…」


チラチラと私を見ながら何か言いたげな感じで黙り混む。


私が白だと言えば黒い物でも白くなると言いたいの?


「はぁ」


思わずため息を吐くとメアリーさんは、わざとらしく肩を震わせた。


「それで、貴女は私にリオネル様の愛人になる事を許して欲しくていらしたの?」


「あ、愛人だなんて酷い…」


では、何と言えば良いのかしら?

第二夫人?

この国は一夫一妻制度なのだけど?


「レティシア様は私の事がお嫌いなのですね…」


そもそも嫌われていないと思う方がおかしい。

自分の夫の愛人になる事を許して欲しいと言われて「どうぞ」と答えられる妻は少数だと思う。


だいたい貴族だからって愛人が居て当たり前の時代はすでに過ぎ去っている。

今は妻の立場だって上がっているし愛人の存在がばれて離縁になるケースだって珍しくない。


メアリーさんの目的は何なの?


「こっちは不細工な頃から相手してんのよ」


メアリーさんは私にしか聞こえないくらいの小さな声で呟いた。

どいつもこいつも何かと言えば子供の頃の容姿を貶しやがって…。


思わずメアリーさんを平手打ちしそうになって寸前で止めた。


私の行動に驚いたのは一瞬で彼女はすぐに叫び声をあげた。


「キャー!!レティシア様、お許し下さいっっ!!」


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