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リオネル様とデート続行中です。
リオネル様と一緒だと手を繋いで歩いているだけでも楽しい。
思わず、ぎゅうっと腕にしがみつくとリオネル様が小さく笑う。
「少し休憩しようか?」
近くのカフェは満席だったので公園のベンチに座るとリオネル様が申し訳なさそうにしている。
「リオネル様と一緒だと何処に居ても楽しいです」
本当に、そう思ったから言ったのだけど、リオネル様は私が気を遣ったと思っているみたい…。
「俺もレティシアと一緒なら何処に居ても楽しいよ」
リオネル様が私の肩を抱き寄せると頬にキスをした。
「!!」
近くに居た女の子達から小さな悲鳴が聞こえる。
ひ、人前では、しないでっていつも言ってるのにっっ!!
「リオネル様っっ!!」
「レティシアが可愛い事を言うから、つい」
私のせいにした!!
照れ隠しでプイッと横を向くとリオネル様は私が怒ったと思って慌てている。
「レティシア…?」
リオネル様の眉が少し下がってて可愛い。
「リオネル様、私あれが食べたいです」
さっきから気になっていたんだけど、みんなが食べてるのクレープだよね?
「良いよ。買いに行こう」
リオネル様が少しホッとした顔をした。
でも、クレープで機嫌が治る安い女じゃないんだからねっっ!!
リオネル様と一緒にクレープの屋台に来るとメニューが沢山あって迷ってしまう。
苺も美味しそうだけど、やっぱり王道はチョコバナナ?
「決まった?」
「えっと…」
迷いに迷って結局、チョコバナナにしました。
「レティシアは座って待ってて良いよ」
お言葉に甘えて元居たベンチで座って待っていると…。
「あら…?」
さっきの地味ヒロインちゃん役の美人さんが通りかかった。
「こんにちは」
軽く頭を下げると美人さんは私の隣に腰を下ろした。
「彼氏は?」
「今、クレープを買ってて…」
美人さんは、リオネル様の方をチラッと見るとすぐに私の方を向いた。
「本当に可愛いわね。お人形さんみたい」
お、お人形さん?
貴女の方が何倍も美しいですよ?
「ねぇ、うちの座長に香水を選んで貰ったって本当?」
「選んで貰ったのは本当なのですが…店員さんだと思ってて……」
恥ずかしい。
美人さんが笑うのを必死でこらえてる…。
「本当に可愛い。私に貴女の役、できるかしら?」
うーんと唸っている姿も美しい。
「そろそろ行かないと…また遊びに来てね。彼氏にも宜しく」
美人さんは、ひらひらと手を振ると颯爽と去っていった。
「さっきの女優…?」
リオネル様が美人さんの後ろ姿を見ながら私にクレープを手渡した。
見本より可愛くデコレーションされてる…。
これは間違いなく追加料金的なやつ。
「リオネル様…ありがとうございます」
前世ぶりのクレープ。
ダイアナにも教えてあげないと…。
お口の中が幸せ。
ふとリオネル様を見るとリオネル様が食べているのはシンプルなクレープで、たぶん…カスタードクリームだけのやつ……。
そんなシンプルなので良いの?
「リオネル様、一口どうぞ」
リオネル様に私のクレープを差し出すと…。
「え…それは…」
「美味しいのでお裾分けです。私もリオネル様のクレープ食べたいです」
学校帰りに友達とクレープを食べて、みんなで食べあいっこしたのを思い出す。
懐かしい。
リオネル様が遠慮しながら私のクレープを食べる。
もっといっぱい食べて良いのに。
リオネル様のクレープを一口食べると、これはこれで美味しい。
シンプルにはシンプルの良さがあるのね。
「リオネル様、美味しいですか?」
「え?うん…美味しいよ」
リオネル様は少し恥ずかしそうにしてる。
そうだよね男の子は、食べ合いっことかあんまりしないもんね。
女子高生のノリをリオネル様にさせてしまって申し訳ないです。
誤字報告ありがとうございます。




