151.side リオネル 2
レティシアがポケットから懐中時計を取り出して見ている。
初めて見るデザイン…。
「リオネル様、お誕生日おめでとうございます」
レティシアが小さな箱を差し出した。
「開けても良い?」
「気に入って頂けると嬉しいのですが…」
箱を開けると中には…。
「懐中時計?」
これはレティシアの懐中時計と同じデザイン?
蓋の裏にはメッセージが刻んである。
『レティシアからリオネル様へ
愛を込めて』
メッセージを指で撫でる。
こんなに嬉しいプレゼントは初めてだ。
「ありがとうレティシア。これは、レティシアの懐中時計とお揃い?」
レティシアがポケットから懐中時計を取り出すと蓋を開けて文字盤を見せた。
文字盤の宝石が薄紫色をしている…。
そんな些細な事でも嬉しくて顔が緩んでしまう。
「これからもリオネル様と同じ時を刻めるように懐中時計にしました。ずっと一緒に居て下さいね」
「もちろんだよ」
レティシアを自分の方へ引き寄せるとぎゅっと抱き締めた。
自分の言葉が、どれだけ俺を喜ばせているかなんて気付いていないんだろうな…。
「リオネル様…もう少し一緒に居ても良いですか?」
「レティシアは朝に弱いからなぁ」
少しだけ意地悪を言うと可愛らしく睨んできた。
「ちゃんと起こしてあげるよ」
レティシアは頭を撫でるとすぐに機嫌が良くなる。
「眠くなるまで一緒に居ようね」
「はい」
早く一緒に暮らせると良いのに。
同じ歳に生まれていれば、もっと同じ時間を過ごせるのにな…。
「レティシアが卒業したらすぐに式を上げて一緒に暮らそうね」
「はい、楽しみです」
可愛らしく微笑むレティシアが愛しくてたまらない。
彼女の全てが欲しい。
「君の未来も一緒に貰ったよ」
懐中時計に口付けをするとレティシアの頬が赤く染まる。
「そ、それは…婚約した時から既にリオネル様の物です」
レティシアを抱き締めると彼女の手が背中に回る。
何も持っていなかった俺が初めて手に入れた宝物。
君と出逢うまで自分がこんなに独占欲が強いなんて思わなかったよ。
しばらく抱き締めていたらレティシアの寝息が聞こえてきた。
レティシアは本当に可愛いな。
そっと抱き上げてベッドへ寝かせる。
今夜は、俺の方が君と離れられないよ。
「おやすみレティシア」
レティシアを抱き締めて眠りに就いた。
誤字報告ありがとうございました。




