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150.side リオネル

今、目の前に俺の最愛の人が何故かメイドの格好をして立っている。


まだ夢を見てる?


あまりに見つめすぎたのかレティシアは、真っ赤な顔をして背を向けた。


「何処に行くの?可愛いメイドさん、一緒に二度寝する?」


混乱している様で可愛い。


「ダ、ダメです!!もう、起きる時間です……」


レティシアが何故メイドの格好をしているのか聞くと母上の提案を素直に受け入れたそうだ……。


「あの人は、まったく……」


オレの母親は、たまに変な事をやらかす。



「あの…着替えてきます…」


「ダメ、今日は俺のメイドでしょう?」



レティシアは何を着ても可愛いけど見慣れたメイド服でさえこんなに可愛いなんて、早く結婚して良かった。





「ほらレティシア、あーんして」


今朝は自室に朝食の用意を頼むとレティシアの好きな朝食のメニューも一緒に運ばれてきた。

我が家の使用人は優秀だな。


レティシアを膝の上に座らせると恥ずかしそうに俯いた。


「リオネル様も召し上がって下さい」


それなら食べさせてとお願いすると真っ赤になって恥ずかしそうにフォークを差し出してきた。


「はい、どうぞ」


最初は遠慮気味だったのに慣れてきたのかレティシアは楽しそうに次は何を食べるのか聞いてきた。


「次はレティシアの番だよ」


レティシアの好きな甘いパンを口に運ぶと急に恥ずかしくなったのか頬が赤くなる。


「レティシアも一緒に食べよう?」


小さく口を開けるのが可愛くて次から次へとレティシアの好きな物を食べさせると、お腹がいっぱいになったらしい。


そして我に返ったのか急に慌てて俺の好きな物を差し出してきた。


「レティシアに食べさせて貰うと、いつもより美味しく感じるね」


一緒に暮らすようになったら時々、食べさせ合いっこをしよう。



「朝食の後のご予定は?」


「そうだね…午後から俺の最愛の妻が遊びに来るからそれまでは、のんびり過ごそうかな…」


本来、レティシアは昼過ぎに来ると言っていたから、そう伝えると「もう!!」と唇を尖らせた。

ふふふ、可愛い。



食後のお茶を淹れてソファに並んで座っていると…。

レティシアがメイドの仕事を欲しがった。


「うーん……」


少し考えて散歩に行く事を提案するとレティシアは「お供します」と後ろを歩こうとするのでさりげなく横に移動させた。


レティシアと庭を散歩するのは久しぶりだな。

子供の頃は、よく一緒に散歩したな…。

あの頃は、永遠に俺の片思いで終わると思っていたのに…。




庭先が騒がしいと思ったら…使用人の制止を振り切って隣国に住んでいる従兄弟がやって来た。

せっかくレティシアとの時間を楽しんでいたのに…。


「お前もやるな」


ニヤニヤしながらレティシアをジロジロ見ている。

レティシアも不快に思ったのか俺の後ろに隠れる。


「レティシア、そろそろ俺の婚約者が到着するから部屋に案内しておいて」


「かしこまりました」


不躾な視線からレティシアを遠ざけたくて部屋に帰らせると奴は「チッ」と舌打ちをした。


「何の用だ?」


「珍しい布が手に入ったから持ってきてやったんだよ」


仕事はきちんとしている様だな…。


「しかし、婚約者を溺愛していると聞いていたが、お前がメイドとねぇ…」


説明するのもめんどくさい。

たまにしか逢わないし話を合わせて帰らせるとするか。


適当に会話をするとまだ仕事が残っているらしく大人しく帰って行ったがレティシアを見る目が気に入らない。

もう二度と逢わせたくないな。






部屋に戻るとメイド服からドレスに着替えたレティシアが待っていた。



「あの方は…?」


「帰ったよ」


レティシアは安心した様にホッと胸を撫で下ろす。


「初めてお逢いしました…」


「普段は隣国に居るからね」



「リオネル様の身内に申し訳無いのですが、あまり逢いたくないです…」


「うん、逢わなくて良いよ」


小さく震えているレティシアを抱き締めると、申し訳なさそうに謝ってきた。


「ごめんなさい…何だか視線が気持ち悪くて…」


思わず笑いそうになってしまった。

鈍感なレティシアでもあれだけ露骨に不躾な視線を向けられたら気付くよな。


大丈夫だよ、二度と逢わせないからね。

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