144. side ライラ 3
レティシア様にお茶に誘われた。
今日のお茶会は私とレティシア様の二人だけの様で他の参加者は見当たらない。
「今日はライラに話があって招待したの」
「何でしょうか?」
「実は、私の誕生日にリオネル様と結婚したの」
え?
結婚?
「ふふふ驚かせてしまってごめんなさいね。一応、卒業するまでは秘密なのだけど、ライラとダイアナには教えておこうと思って」
「ご結婚おめでとうございます」
「ありがとう」
レティシア様は、とても幸せそうに微笑んでいる。
レティシア様が結婚した事をお兄様が知ったらどうなるのだろう?
「ライラ…?」
「あ、えっと…レティシア様は何故、在学中に結婚なさったのですか?」
「それはね、安心したかったの」
「安心?」
「リオネル様は、とてもモテるでしょ?
いつか誰かにリオネル様を奪われるのでは無いかと不安だったの」
「レティシア様でも不安になるんですね…」
思わず呟くと
「リオネル様が私を大切に想って下さっているのは分かっているのよ?でも、私より身分が高くて優秀な令嬢は沢山居るでしょう?」
レティシア様より身分が高くて優秀でもレティシア様に敵う人は居ない。
レティシア様からリオネル様を奪えると思っているのは身の程知らずな馬鹿だけ。
きっとリオネル様もレティシア様と同じ気持ちで結婚したんだろうな。
「秘密にしているから相変わらず私への視線は痛いのだけど、安心感があるだけで全然違うのよ」
良いなぁ。
相思相愛とは、この二人の事を言うのだろうな。
「ねぇライラ、貴女にもう一つ話があるの」
「?」
「火傷の痕を見せて欲しいの…」
思わず包帯を巻いている手を隠した。
「まだ治らないのよね?もし痕が残ってしまったら私のせいよね…」
「ち、違います!!それは絶対に違います!!私がレティシア様に酷いことをしたから…」
自業自得。
傷痕が残ったって構わない。
「一度、リオネル様に診てもらう?」
「ライラの手は俺が治すので安心して下さい」
え?
声の方を向くとお兄様が立っていた。
「お兄様?」
「ライラを迎えに来たらこちらに通されたので…」
「遅くまでライラをお借りして申し訳ありません」
「いえ、ライラと仲良くして下さってありがとうございます」
お兄様がレティシア様と話しているの…嫌だ。
レティシア様を見ないで。
「ライラ、帰ろう」
お兄様は私の手を引いて自分の方へ引き寄せた。
「レティシア様、本日はありがとうございました」
「こちらこそ楽しかったわ」
レティシア様に見送られてお兄様と一緒に馬車へ乗ると…。
包帯を巻いている手をお兄様は優しく撫でた。
「ライラの手は俺が治すよ。リオネルには触れさせない」
誤字報告ありがとうございます。




