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アレクシアがロラン様と正式に婚約する為にリシャール邸へ行くと言うので私はリオネル様をランベール家へご招待した。
私がお邪魔してばかりなので、たまにはおもてなししたい。
身だしなみを整えていると私の専属メイドのエマが「毛先が傷んできているので少し切りましょうか?」と聞いてきたのでお願いした。
リオネル様が来るまでには少し時間があるし間に合うでしょう。
エマは、とても手先が器用で髪を切るのも上手。
エマに任せれば間違いないのだ。
「レティシアお嬢様、リオネル様がいらっしゃいました」
まぁ急がないと。
お父様とお母様がアレクシアと一緒に出掛けてるのを良いことに少し小走りで廊下を走ってリオネル様の元へ向かった。
お母様が居たら「はしたない!!」と怒られている事だろう。
「リオネル様、いらっしゃいませ」
リオネル様は最近背が伸びてきて逢う度にカッコ良くなっている気がする。
婚約者の欲目かもしれないけど…。
「レティシア髪切った?似合ってるよ」
「ほんの少しだけ切っただけですのに気が付くなんてリオネル様、凄いですね!!」
「レティシアの事ならすぐ気付くよ」
待ってさらりとカッコ良い事を言わないで!!
「うちのエマは凄く手先が器用なんですよ!!良かったらリオネル様も切りませんか?」
恥ずかしさのあまり変な事を口走ってしまったけどリオネル様は「レティシアとお揃いになるね」と言いながら大人しくエマに切られてた。
リオネル様は髪型の希望が無いみたいで一年に一回くらいしか切らないらしい…
そのもっさりヘアーは、そうやって出来上がったのね。
私の好みを少し伝えてエマに任せたら、さすがエマ!!
リオネル様の素材の良さを充分に引き出してる!!
今まで隠れがちだった目も見えて恥ずかしくてそらしてしまった。
リオネル様、何だか違う人みたい…。
カッコ良すぎて直視できなくて並んで座ったら次は密着度が高すぎてリオネル様が持ってきてくれたスイーツも少し奮発した高いお茶もさっぱり味が分からなかった。