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昨夜から降り続けた雪は朝には一面を銀世界に変えていた!!
凄い!!凄い!凄い!!
こんなに積もるなんてっっ!!
こんなに積もったのは子供の頃以来。
朝食の後、アレクシアを雪遊びに誘うと「寒いから嫌よ」と、あっさり振られてしまった……。
なら一人で遊ぶから良いもん!!
やっぱり最初は雪だるまかしら?
雪が思うように固まらない…。
子供の頃は、もっと綺麗に固まったのに…。
本当は、かまくらも作りたかったのに小さな雪だるまを一つ作るのに四苦八苦している私には無理だな。
「レティシア様っっ!!リオネル様が突然、いらっしゃいました!!」
「まぁ!!」
リオネル様が突然、来るなんて珍しい……。
何か、あったのかしら?
「レティシア様!!のんびりしている場合ではありませんよ!!すぐに、お着替えをなさってくださいませ!!」
慌てて着替えるとリオネル様が待つ部屋へ急いだ。
「リオネル様、お待たせいたしました」
「突然、来てしまってごめんね」
「何か、ありましたか?」
リオネル様の顔を覗き込むと……。
急に抱き締められて気が付くとリオネル様の腕の中に居た。
「やっぱり身体が冷えている。雪遊びしていたでしょう?」
小さく頷くとリオネル様は笑いだした。
「君は本当に雪遊びが好きだね」
恥ずかしくなって俯いてしまう…。
「レティシア、寒くない?」
「大丈夫です…」
リオネル様の腕の中は温かいから……そう言いかけて、ある事を思い出した……。
「子供の頃に一緒に雪遊びをしたの覚えてる?」
「もちろんです」
「寒くて嫌だったのにレティシアが無理矢理、外に連れて行くから……」
「無理矢理だなんて酷い!!あの時のリオネル様は快く付き合って下さいました!!」
むうっと唇を尖らせるとリオネル様は笑い出した。
「ごめんごめん、君が可愛く誘うものだから…それに、君が好きすぎて嫌われたく無かったんだよ」
「雪遊びを断られたくらいで嫌いになったりしませんよ…」
今だってアレクシアに断られメイド達にも断られ一人で遊んでいたのに……。
「リオネル様…雪の家を作ったの覚えてますか?」
「覚えているよ」
「あの時、リオネル様が魔力を込めて雪を固めてくれていたんですよね?」
子供の力で、かまくらを作るのは流石に無理だったと思う。
きっとリオネル様が私の為に頑張ってくれたんだと今頃、気付いた…。
「さぁどうだったかな?」
覚えてる癖に……。
「雪の家の中、暖かかったですね」
「あの時は困ったな…」
「???」
「君がすり寄ってくるのが可愛くて堪らなくて抱き締めたいのを我慢していたんだよ」
リオネル様が笑いながら抱き締める腕に力を込める。
そうだ、かまくらの中が暖かかったんじゃなくてリオネル様が温かかったんだ…。
恥ずかしい……。
でも…。
「抱き締めてくれたら良かったのに…」
リオネル様の頬が少し赤くなる…。
「抱き締めて君に嫌われたらと思うと怖くてね……」
「そんな事で嫌いになったりしません!!それに…あの頃は、もう……リオネル様の事、好きだったから…」
恥ずかしくて最後は小さな声になってしまったけど、リオネル様には、ちゃんと聞こえていたようで…。
「あの頃の俺に教えてあげたいな…」
と小さく呟いた。
リオネル様が何をしに来たかと言うと…。
私が雪遊びに夢中になって風邪を引かないか心配になって見に来たのだそう。
愛されてるって事で良いのかな…?
誤字報告ありがとうございます。




