表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100/254

100.side ライラ

お兄様が学園に通うようになって一人で過ごす時間が長くなった。


朝から夕方まで学園だし王太子殿下の側近候補になってからはお城に居る事も増えた……。


だからお兄様と同じ学園に通えるようになってお兄様と過ごせる時間が少しでも増えて嬉しい。


そう思って居たのに……。


入学してすぐ、先輩方に呼び出され聞かされた話に怒りを覚えた。



レティシア・ランベール伯爵令嬢は婚約者が居るのに、お兄様や王太子殿下達と特別に親しくしていると……。


皆さん、とても困った顔をなさっていた。



だから私が注意しただけなのに、お兄様もお父様も、とてもお怒りになった。



怪我をしたのだって私の方なのにっっ!!



「ライラ、お前は真実を知る義務がある。レティシア嬢とダイアナ嬢の本当の姿を見てそして自分が何をしたのか理解しろ」



あの女を叩いた手がズキズキと痛む。


お兄様は、あの女に騙されている。

私が、お兄様にあの女の本当の姿を見せて目を覚まさせなくてはっっ!!




そう思って居たのに……。


あの女…レティシア様は、お兄様にも殿下にも自分から近付くことは無かった……。


それどころか殿下の方から近付いていると言っても過言では無い。


レティシア様は、いつも失礼にならない距離で殿下からは一歩引いて対応なさっており殿下の手が触れそうになると、ふわりとかわしておられた。



そしてレティシア様を見ていて気付いた。

お兄様がいつもレティシア様を見ている事に。

お兄様はレティシア様に恋をしている。



ずっと側に居たのに。

誰よりも一番近くでお兄様を想ってきたのは私なのに…。



きゅっと胸が痛くなると涙が止まらなくなった。



「ライラ?手が痛むのか?」


私の手に治癒魔法をかけていたお兄様が不安そうに私の顔を覗き込んできた。


「お兄様、ごめんなさい…」


「謝る相手は俺では無いだろう?」


お兄様は私の涙を拭うと優しく抱きしめた。


「レティシア様にもダイアナ様にも、きちんと謝罪を致します」


「誰にだって間違いはある。大事なのは、その後に間違いに気付けるかどうかだ」


小さく頷くとお兄様は私の手に治癒魔法をかけてくれた。




お兄様、胸が痛いよ。

お兄様も私と同じ痛みを味わっているの?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ