急がば回れ、だよ?
これだけは1話目の“空を眺めて小一時間”とリンク、てか続きです。良平君の苦労は続きます
来来さん来来さん、あなたはどうしてそんなに
のんびり屋でいられるんですか?
「てか、そんな場合じゃないでしょう?」
僕は先ほどから野良犬と遊びだした来来さんこと瀬田来来先輩にあきれ声で言ってみました。
今日は部活の集まりなのですが少し寝坊してしまったんです。それで走っていたら道路の真ん中に座り込んでいる来来さんを見かけて。それで一緒に行くことになったのですが・・・・。
「大丈夫大丈夫」
この方遅刻してるってわかってない気がしますね。
大体、あなた部長じゃないですか。他の部員が待ってますよ?
「良平君は心配性だねー」
心配じゃないですっ!!
「困りですっ!!」
すると来来さんは犬を抱えて立ち上がり、キョロキョロしだしました。
どうしたんですか?
僕の問いかけも笑ってはぐらかされます。その笑い方もいつものふわふわしたのではなく、・・・・・悪魔的な笑い方です。
来来さんって案外悪役が似合うのかもしれないです。
「・・・来た」
と、突然来来さんがつぶやきました。
それと同時に黒塗りの高級車が角を曲がってきます。やっぱり外国のはかっこいいですね。いつかあんなのに乗ってみたいですね〜。
ワンッ
犬もそれに賛同するように吠えてくれました。
ワン、ワンッ「ジャン!!」
へ?
車が僕たちの前で止まって中からスーツを着たおじいさんが出てきちゃいました。
え、えっ?何が起きて・・・?
「お久しぶりです〜」
驚きで言葉が出てこない僕の隣で来来さんとそのおじいさんは仲良さそうに話し始めました。
というか、久しぶりってことは・・・。
「お知り合い、ですか?」
恐る恐るたずねてみるとおじいさんが照れくさそうに答えました。
「ジャンがしょっちゅう来来ちゃんのところへ遊びに行ってしまってね」
犬、ジャンが嬉しそうに吠えます。お前、野良じゃなかったのか・・・。
「ところで、私たち咲良ホールに行く途中なんです」
来来さんがジャンをおじいさんに渡しながら言い出しました。
極上の笑顔で。
なんだか「連れてけよ」とかそんな感じの言葉が重なって聞こえてくる気がします。不っ思議〜。
おじいさんは運転手さんと二言三言交わして来来さんにも負けないような笑顔で車のドアを開けました。あ、笑顔と言っても来来さんのそれよりも優しさといい人がにじみ出ています。送っていってくださるそうです。
「咲良ホールだね?」
来来さんがうなずくと車は走り出しました。
あれ?咲良ホールでいいんですか?
集合場所は駅だったはずだった思い来来さんに言ってみました。
「連絡しといたから大丈ー夫」
そんなもんしてましたっけ?
・・・・僕と会ってから来来さんがケータイをいじっていたのはあの時だけ。
そう、道端でジャンを見つけたとき・・・・・。
来来さん、もしかしてはじめから送ってもらうつもりで?
「みんなには秘密だよー?」
フフッと笑う彼女に僕は絶対に逆らわないと誓いました。
これでお題消化完了しました〜!
。
来来がどんどんとんでもない人に・・・。彼女から見た世界って凄そうですね(笑)
それではお付き合いくださりありがとうございました
お題配布元:ひよこ屋様
『のんびり屋』