大切なのは、心のゆとり
はじめに書いたあらすじと全く違うものになってしまいました。
むしろ良平君関係ないです。時間軸も違いますがそれでも来来は来来でした(笑)
来ちゃん来ちゃん、あんたはどうしてそう
のんびり屋なのよ
「だってまだまだ時間はたっぷりですよー?」
どこがっ!?
それは文化祭前日に自分と同じくらいの大きさの真っ白いキャンパスを前にしていえるセリフじゃない。んだけどそれをあっさりと言ってのけたのは数少ない後輩、瀬田来来。
やっぱりこの子が我が部一番の問題児ね。
「明日までよ?大丈夫なの?」
一応聞いてみると来ちゃんはうーん、と口元に手を当てた。
「なーんにも思いつかないんですよね〜」
まっ、どうにかなりますよ!と花のような笑顔を私に向けてくる。
本当に?
かなり不安なんだけど・・・・・。
すると来ちゃんが一瞬目を見開く。
そして急に手を動かし始めた。
「おおっ?」
左手に持った鉛筆がなんの迷いもなく動かされてさっきまで白かったキャンパスに数本の線が引かれる。
なんか思いついたっぽい?
さらに水彩絵の具を刷毛を使って塗っていく。
その姿はまるで踊っているみたい。穏やかで楽しそうで、私はいつの間にか彼女に見入っていた。
「ふうっ」
来ちゃんが手を止めたのは下校時刻を少し過ぎたころ。
私も他のみんなもそして見回りにきた先生までもが帰らないで来ちゃんと来ちゃんの絵を見ていた。
「・・・・・」
私にみんなの視線が集まる。
誇らしげな来ちゃんがえへへー、と私にピースサインを送ってくる。
・・・・・私に、どうしろと?
「頑張っちゃいました〜、どうですか?」
真っ白かった来ちゃんのキャンパス。そこには今、
困り顔の私がいました。