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うちのばあちゃん  作者: 戸神奏英
3/4

ばあちゃんの髪

うちのばあちゃんは毎朝ヘアピンで前髪をとめる。お出かけする日は髪を綺麗に整える。


とある日の夜

「華ちゃん、私が泊まりに行くのはいつだっけ?」

ばあちゃんは2ヶ月に一度、娘の雅子(まさこ)の家へ泊まりに行く。娘と言っても60歳近くて私の叔母にあたる人で私は雅子おばちゃんと呼んでいる。

いつも泊まりに行く日を雅子おばちゃんは、ばあちゃんに伝えていくのだが、いつもの通りばあちゃんは泊まりに行く日を忘れて私に聞いてくる。

「明後日だよ、泊まりに必要な準備しといたほうがいいんじゃない?」

「明後日か、そうだね、用意しとこう。」

といっても、洋服とばあちゃんが飲んでいる薬くらいしか用意するものないんだけどね、忘れっぽいから早めに用意しといたほうがいいからね。


〜翌日の朝〜

今日は私よりもばあちゃんの方が起きるのが早かった。

「ばあちゃん、おはよ。」

「あはははは。」

私の挨拶と息子の恒例の大笑いが被ってばあちゃんは大笑いしながら挨拶をした。

でもばあちゃんが髪を綺麗に整えている。

「あれ?ばあちゃん今日でかけるの?」

何か出かける予定あったっけ?と思いながら私が聞くと

「今日は雅子の家に泊まりに行くから支度してるのよ、やだっ華ちゃん忘れてたの?」

ばあちゃんのが記憶がいいと上から目線で自慢げのように話してくる。

「ん?ばあちゃん泊まりに行くの明日じゃなかったけ?雅子おばちゃんに聞いてみようか?」

こんなにばあちゃんが自慢げに話してくると私の記憶が間違ってるのか不安になる。

明日だと思うけど一応電話しておこう。

「もしもし雅子おばちゃん?ばあちゃんが泊まりに行くのって今日だったっけ?」

私が電話で雅子おばちゃんに聞くと

「違うよ〜、明日だよ〜、またばあちゃん間違えてたの?」

やっぱり明日だったか。

「了解。ばあちゃんに伝えとくね。」

私はそう言って電話を切りばあちゃんの元へ行った。

「ばあちゃん、雅子おばちゃん明日来るんだって!」

「なんだ〜、てっきり今日かと思ってたよ。全く雅子は〜。」

いや、雅子おばちゃんは元から明日だって言ってたし悪くないと思うんだけどな。


〜泊まりに行く日〜

「おはよ。」

今日もばあちゃんのが早く起きていた。

あれ?ばあちゃんの顔を見たら髪がボサボサしている。昨日はあんなに準備万端だったのに支度をしていない。

「ばあちゃん、今日は雅子おばちゃんの家に泊まりに行くんじゃなかったっけ?」

「今日か。明日かと思ってたよ。」

ばあちゃん、すごいよ、日にちの感覚というか時間の感覚がわかっていないよ。

「それじゃあ庭の柚子とってきて雅子にあげようか。」

ばあちゃんはそう言いながら庭へ行って柚子を袋いっぱいにとってきた。

それから服を着替えて髪を整えて準備完了!

あとは雅子おばちゃんが迎えに来るのを待つだけ。ばあちゃんは家の中をうろうろ歩いている。誰かが家に来る予定があると大人しく座ってられないのがばあちゃんだ。

あ、やっとばあちゃんが座った。喉が乾いたのだろう、お茶を飲んでいる。

「ばあちゃん、そろそろ雅子おばちゃん来るんじゃない?」

私がばあちゃんに話しかけてばあちゃんの髪を見たら

あれ?ん?この髪に刺さっているのはヘアピン?いやー違うなー。あっ枝だ!さっき柚子をとってきたときに枝がささったんだ。すっごい独特な形の枝だなぁ。矢印みたいな不思議な形。でも髪を整えたときに気づかなかったのかな?

1人で色々考えてるうちに雅子おばちゃんが来た。

「行ってらっしゃい〜」

息子と私でばあちゃんを見送った。

あっ!ばあちゃんの髪に枝が刺さってるの言うの忘れた〜。

まああのぐらいの大きさじゃ危なくないしむしろ今電話をしたところで雅子おばちゃんが運転しててもっと危ないから言わなくていいか。


〜2日後〜

「華ちゃん、(おお)くん、ただいま〜」

ちなみに私の息子は大輝(おおき)。ばあちゃんは(おお)くん と呼んでいる。


息子は久々のばあちゃんに喜んで玄関へ入っていく。

「大くん大きくなったね〜。」

ばあちゃんが大きくなったと褒めてくれたけどたった2日しか経っていない。まあそんなことはいっか。髪には枝も刺さってないし、よかったよかった。

「じゃあ雅子おばちゃんまたねー!」

「また来るからねー!」

雅子おばちゃんが帰った後、息子とばあちゃんと私で家の中でブロックで遊んでいた。


ピンポーン

「はーい。」

お客さんがきたので私が玄関へ向かう。

「ちょっとー!ばあちゃん!」

さっき帰ったはずの雅子おばちゃんが来た。

「どうしたの?」

ばあちゃんが茶の間から不思議そうな顔をして出てきた。

「どうしたのじゃないよー。ばあちゃんほ薬が車の中に置いてあってたよ。」

雅子おばちゃんが笑いながら言った。

「もーっ、これだから。」

おいおい、ばあちゃんどういう意味だよ。

「華、あとはよろしく!」

そういって急いで雅子おばちゃんは帰った。


薬の袋を持ってばあちゃんの部屋のテーブルに置こうとしたら落としてしまった。ごめんね、と思いながら落とした袋と中身を拾っていたら・・・

これはー!!!

雅子おばちゃんの家に行く日にばあちゃんの髪に刺さっていた枝!どうやったら薬の袋に入ったのかは分からないがあの独特な形はまさにこないだの枝。


やっぱりばあちゃんは私の期待を裏切らないというか大幅に上をいく さすがうちのばあちゃん。




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