パートナー
初めまして
TAKKUです。
初めての投稿です。
暖かい目で見守ってください。
俺は今人生最大の窮地に立たされている。
俺は今日、1週間前に手に入れたとてつもない能力。
触れた動物に変身できるこの力を使って銀行強盗をやっつけた。
そこまでは良かった。
ヒグマに変身し強盗をやっつけた俺は思った。
ここで変身を解き名乗りをあげればヒーローになれるのではないだろうか?
現在彼女いない歴史=年齢の俺が生まれ変わる時ではなかろうか?
「私の名前は小野 裕也。この銀行に武器を持った強盗が忍び込んだとの報告を受け皆さんを助けに参りました。」
完全に決まった。
次の瞬間には俺の耳に黄色い声援が届くであろう。
その時の俺はそう思っていた。
しかし、次の瞬間俺の耳に届いたのは黄色い声援など届かなかった。
俺はすっかり失念していたのだ。
熊に変身する際、服が破れないよう全て脱いでいた事、つまり変身を解いた自分が全裸だという事実を。
俺の目の前にいた大学生くらいの若い女性が口を開いた。
「ちっさ。」
俺の心が折れる最悪の一言。
俺は銀行強盗が来ている服を脱がせると即座に身につけた。
その後、通報を受けて駆けつけた警察と一悶着があったが赤城さんが駆けつけてくれたおかげで俺が捕まる事はなかった。
「今後貴方には監視を1人つけます。」
基地に着くなり赤城さんが俺に言った。
「監視ってなんだよ。」
「勝手なことをしたのは貴方でしょう。銀行強盗を倒せなんて誰も命令していないでしょう。」
「困っている1人でいたら普通助かるでしょう。自分が手に入れた力も試してみたかったし。」
「はぁ」
赤城さんは俺に対し心底呆れたというようにため息をついた。
「貴方に貴重な薬を使ったことを心底後悔したわ。
とにかく監視をつけるのは決定事項です。私達は来るべきミュータントの襲撃に備え強力な能力を宿した超人たちを集めている。貴方はたまたま私たちの存在を知り、薬の実験対象になる事、私たちに協力する事、この2つを条件に生かされたはずよ。今後二度と勝手に能力を使うことをしないで。」
コンコン
俺たちの会話が終わるのを見計らったように部屋の扉がノックされ、1人の女性が入って来た。
「彼女が貴方の監視役兼パートナーとなる、杉本彩音よ。日本人の超人はまだ貴方たち2人だけ。今後2人で任務に当たってもらうから打ち解けておいて頂戴。」
そう言って赤城さんは部屋を出て行った。
杉本さんは先ほどまで赤城さんが座っていた椅子に腰掛けた。
杉本さんの見た目は普通に美人だ。
俺は彼女になら監視されても良いかもしれないと思った。