仲間と自分
ようやく主人公がちゃんとします。ちゃんと出ます。
挿絵があります。苦手な方はすみません。
頑張って描いたので主人公だけでも見ていただけたら嬉しいです。
霧曇 蓮華は旅がしたかった。
そして、その願いは叶った。
奇跡的にその願いは叶った。
Clown=Lord によって叶えられた。
喜ばしき奇跡。
だが、Clown=Lord が関われば、どんな奇跡もすべて意図的な必然になる。
彼の旅の記録が冒険談として語られる事となったのも、意図的なものだ。
それを望んだ Clown=Lord によるものだ。
神に創られし神の愚像、故に愚者の王 Clown=Lord 。
ピエロ達の神と讃えられる事もある存在 Clown=Lord 。
Clown=Lord はいったいいつ、何番目に産まれたのだろうか。
その答えを知っているのは神と Clown=Lord だけだ。
まあ、それはさておき。
霧曇 蓮華は、創造生命体 屍霊形種【 Clown=Lord の怪物 】だ。
彼はどうあっても、
彼はどうあろうとも、
Clown=Lord
と関わってしまう。
に関わってしまう。
つまり、
どんなに苦しもうとも
どんなに幸せであろうとも
奇跡は
起こらない。
起こりえない。
全てが必然であり意図され、約束されたものだ。
Clown=Lord は彼に言った『100万を超える同胞の灰を抱き、仇である魔物の皮を被る者。霧曇 蓮華よ、君の旅路に幸あれ!!』と。
幸せとは何なのだろうか。
*
霧曇 蓮華の冒険譚、その2ページ目の書き出しは「爽やかな朝」だろう。
柔らかで心地の良い朝日で目を覚ました霧曇 蓮華は、満足感と開放感に浸っていた。
「昨日、何かあった気がするんだけどな」彼は昨日の事を思い出せないでいた。
これは、幸せな事なのだろうか。
「まあいいか。深く悩むは人の損って言うしな。取敢えず、目の前のこの街へ入ろう!西部劇に出てきそうな街だな!ワクワクする!!」少なくとも彼の頭は幸せなようだ。
「この街、何もね。人も居ねえ」街を見て回った霧曇 蓮華は失礼なことを口にしていた。だが、正論だ。
「物は残っているけど荒らされたような跡があるし、何かに巻き込まれて逃げ出したのかもしれないな」合ってはいるが間違ってもいる。誰も逃げれてなどいない。
「しかし驚いた。ここは巨人の街か何かか?いや、巨人は言い過ぎか、でもデカいのは確かだ」最初は遠くに居たので分からなかったのだが、街に入って気づいた。建物や道具の大きさから、身長186㎝ある彼の二回り以上は大きいと予測できた。だが、彼の身長が186㎝あったのは人間だった時の話だ。
「ん? 人だ、女の子が居るな。おーい!」第一街人発見である。が、すぐに不審な点に気づく。
「 …あれ?半透明じゃねあの子」そして正体に気づく。
「え?ガラス?? え… 」
Clown=Lord は性別などどうでもいいと思っていた。純機械生命体や精霊、死霊種などなど、この世界には性別に意味を持っていない者達が多い。
そして、屍霊形種もそうであった。
だから Clown=Lord は【 Clown=Lord の怪物 】霧曇 蓮華を『その方が造りやすい』と言う理由で自分に似せて造った。
創造は神の得意分野であったがために、Clown=Lord はこの手の事をサボっていた。なので、出来上がった霧曇 蓮華は Clown=Lord の劣化版でしかなかったが、それでも十分であった。
艶やかな白髪、肌理の細かい白肌。艶やかな唇と蛇の様な瞳は紅く、白色の身体の中で際立って見えた。左の瞳の下には星、右の瞳の下には涙の雫が紅い色で彫ってあった。
「誰だ… 俺だ… 」彼は、ガラスに映った自分の姿に言葉を失っていた。ガラスの質が悪いせいか、くすみ歪んでハッキリとは見えなかったが、顔の整った女性であることは分かった。そして、麻袋の様な服の上から身体を触って分かった、身体も女性のようだ。
あと、他に分かった事は、街が大きいのではなく体が小さかった。
(何故、違和感を感じなかったのだろうか?)
「頭が痛い。何だこれは… 何も思い出せない」何があったのか思い出そうとしたが、結果は芳しくなかった。
「あ、 そういえば、確か… Clown=Lord は材料が足りないとか少ないとか言っていたな。身体が小さいのはそういう事か? 分からん」 Clown=Lord に聞ければ答えは簡単に分かるのに、Clown=Lord はここに現れてくれなかった。
「あと、馬がどうこうとかも言っていたな」どうにかこうにか、一つは思い出せた。
「でも、馬を見つけるその前に服を着替えたい。これではあまりにもみすぼらしいからな」彼は麻袋の様な服を引っ張りつつそう言って、家へと入って行った。
(少し悪い気もするな)と思いつつも彼は、服を拝借することにしたのだ。どうせ誰も此処に戻ってはこないなと思い、彼はそうした。実際、ここに戻ってくる者は誰も居ない。
「これだけ回って、これだけしか着れる服がないのか」彼は困っていた。
子供のような姿ではなく、成人した女性をそのまま小さくしたような姿であったが為に、サイズの合う服が一着しか見つからなかったのだ。
「たぶんこれ、ドレスだよな。ゴスロリって言ったっけ?布とか多いし、贅沢な服だな。 あ、こういうのを華美って言うんだったな」昔使われていた言葉を思い出しつつ、手に取った服を見ていた。
その服は、劇で使う人形と思われるものが着ていた服で、装飾が細かかった。
金がかかっている事が簡単に分かった。
「こんな高そうな物をほっぽりだして逃げ出したのか… 俺も早くこの街を出なきゃな」そう言いながら、彼は手に取っていたその服を着だした。
正しい着方とかは分からなかったので、人形が着ていた通りに着ていただけなのだが、ドレスもコルセットもヘッドドレスもドロワーズも完璧に着こなせていた。
彼の手先の器用さと、現在のスタイルのおかげだ。
「しかし、すまんな。この服貰っていくぞ」彼は人形の頭を撫でてから、その家を出た。 人形が笑っているように見えたのは、気のせいだろう。
「コイツだよな」彼は、街から少し離れた所にある大きな沼に、一本だけ生えた木に繋がれた馬の所に来ていた。
街の中には何もなかったので、気合を入れて外を見て回っていたのだが。
馬はすぐに見つかった。
当たり前だ、荒野の中に突如として出現している黒い大きな沼の中に、一本だけ木が生えていてそれに繋がれていたのだ。嫌でも目立つ。
何よりも目立つのは、この馬の異様さだ。一目でこの街の者の馬ではないと分かった。
ユニコーンの様な勇ましき角を生やした六本足の雄々しき白馬。体高だけでも 3m 近いサイズだ。今の彼からしたらそのサイズは象程にも感じるだろう。
普通なら、恐怖すら覚えるサイズと風格だ。
だが、彼、霧曇 蓮華は、「おお!かっこいいなー!オマエ!!」興奮していた。
「こんなにも頼もしい馬と旅ができるのか!!」と興奮していた。
「さようでござるか!拙者も沼に映った己の姿を見て、そう思っていたところでござるよ!」
「………」一気に冷めた。
「どうしたでござるか? 主」
「 主か… 」
「そうでござるよ。Clown=Lord 様からそう仰せつかったでござる」
(なるほどなぁ… うん!まあ、いいか! 全てを受け入れようって決めたし。それに、中身はアレだけど見た目は良いし!それから――)勝手に上がって落ち込んだ心を再び上げる為に、めいいっぱい自分の心に言い訳をした。
そして、これから共に旅をする馬へと向き合った。
「俺は、霧曇 蓮華だ。宜しく頼む!」挨拶は大事だと曾祖母から教え込まれていた。
「拙者は 白彦 でござる。精一杯頑張るでござるよ! 主!」中身はアレだが、悪い奴ではないようだ。
「じゃあこれから宜しくな!白彦! あ、早速だがこの街から離れよう!危ないようだし!」
「?? 了解でござるよ!」
こうして、霧曇 蓮華の冒険と言う名の旅に、仲間が加わった。
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次話もよろしくお願いいたします。




