日向を目指して進む者達
結構重要な回です。
ではでは、お楽しみいただけたら幸いです。
「それはつまりどういうことですか… ???」気絶しているアーロンさんを仰向けに寝かせて、その隣に放心状態になっているドライアードの少女を私の身体から引き剥がして座らせて、そして再び言葉の真意を聞き求めた。
「貴女様が我らが王という事にございます」
そこが分からないのだ。
「主は最近、記憶の混濁が見られるでござる」私にもその自覚があるので頷く。
「そうでございましたか、お教えいただきありがとうございます。 …白彦様はお元気なようでなによりでございます」声色から微かに感情の起伏を読み取れるが、何を考えているかはまるで分からない。
「ありがとうでござるよ、アンリ殿は元気でござったか?その姿のままではあまり顔色が分からないでござるよ」白彦は『何か』、『アンリ』とやらに向かって笑顔でそう言った。親しい間柄の様だ。
(アンリ? かなり男前な渋い声だけど女性の方なのかな?)『アンリ』という名は女性的な名前に思える。
「おや、そうでしたね。では、少し御時間を頂けますでしょうか?」私に許可を求めて来たので軽く頷いた。「ありがとうございます。このドラゴンの彼には少し悪いですが、もう一度死んでいただきましょう。御身の前で人型の裸体をさらすのは無礼極まりないですからね」
『アンリ』とやらはそう言うと、<ゴキッバキッ>と何かが砕けるような音を立てながら黒い霧を固めたような球体へと形を変え、そして、ものの数秒で人型へと姿を変える。
「お待たせして申し訳ありませんでした」全然待っていない、あっけにとられていた。
翼そのもののフォルムを活かした漆黒のフェザーローブを羽織り、同じく漆黒のタイトなジーンズに足を通し、又しても漆黒の色をしたロングブーツが汚れから足を護っている。プラチナブロンドの長髪を風にたなびかせる黄金の虹彩をした色白の、線は細いがしっかりとした肉付きの男前が私の前に片膝をつき臣下の礼をとった。それに続いてか、白彦も膝をつく。
「我らが王に全身全霊の忠誠を捧げます」
「拙者は最近からでござるが、改めてよろしくお願いするでござるよ」
「意味が分からないから!」白彦まで急に何なんだ!
「ずっと言っていたでござるよ?」
「初めて聞いたよ!」こんな事を忘れるとは考えにくい、それに『ずっと言っていた』なら覚えているはずだ。
「ぬぬぬ? 言っていたでござるよ???」
何を言っていたというのだろう。
「ずっと呼んでいたでござるよ?」
「呼んでいた???」
「主《あるじtfvdhがぇ
王《あるれわrcstvdrsが
王と、呼んでいたでござるよ?」
何を言っているんだ?
白彦は私のことをいつも、
『主』
と呼んでいたではないか。
何故急に呼び方を変えたのだ?
少し苛つく。
「何言ってんの? 白彦はいつも私のことを『王』ってよ……… …えっ???」
「なるほど、確かに、記憶の混濁がみられますね」 そうじゃない!
「そうでござるよ、話口調も変でござる」 違う!そういう事じゃない!
「王の存在を留めるにはこの器では小さすぎるのでは?」
「正確には、王の精神魔力、その生まれ変わりでござるよ。拙者は面白そうだから一緒に居るのでござるよ」
「なるほど、そういう事でしたか、何故白彦様がいらっしゃられるのかと驚いておりました」
二人は談笑の空気をかもし出しているが、今の私にはそんな空気を吸う事は出来ない。
「ぬぬぬ? 今の王は生まれ変わりでござるが、それでいいのでござるか?」
「我らが王であることには変わりありません。 …ああ、なるほど。 では、改めまして」アンリは深く深く首を下げた「どうかこの忠誠を再びお受け取りくださいますよう、懇願申し上げます」
「待って!違う!そういう事じゃない!!!」
「「 ??? 」」 何と言えば正しく伝わるのかが分からない。
そして、少しずつ思い出す。
*
< これまでの旅路より一部抜粋 >
霧曇 蓮華は旅がしたかった。
そして、その願いは叶った。
奇跡的にその願いは叶った。
Clown=Lord によって叶えられた。
喜ばしき奇跡。
だが、Clown=Lord が関われば、どんな奇跡もすべて意図的な必然になる。
彼の旅の記録が冒険談として語られる事となったのも、意図的なものだ。
それを望んだ Clown=Lord によるものだ。
神に創られし神の愚像、故に愚者の王 Clown=Lord 。
ピエロ達の神と讃えられる事もある存在 Clown=Lord 。
Clown=Lord はいったいいつ、何番目に産まれたのだろうか。
<省略>
霧曇 蓮華は、創造生命体 屍霊形種【 Clown=Lord の怪物 】だ。
彼はどうあっても、
彼はどうあろうとも、
Clown=Lord
と関わってしまう。
に関わってしまう。
つまり、
どんなに苦しもうとも
どんなに幸せであろうとも
奇跡は
起こらない。
起こりえない。
全てが必然であり意図され、約束されたものだ。
<省略>
Clown=Lord は性別などどうでもいいと思っていた。純機械生命体や精霊、死霊種などなど、この世界には性別に意味を持っていない者達が多い。
そして、屍霊形種もそうであった。
だから Clown=Lord は【 Clown=Lord の怪物 】霧曇 蓮華を『その方が造りやすい』と言う理由で自分に似せて造った。
*
これらの事が本当ならば何故…
いや、trxざsdfg^-093gh-^006えdfxrfgv
*
・創造生命体 屍霊形種――【 Clown=Lord の怪物 】 個体名:霧曇 蓮華
・ステータス―――――― 屍霊形:0歳 体長:136㎝ 体重:38㎏ 性別:♀ 種族強度【 Lv.6 】 クラス【 無職 】 霊力【 930 】魔力【 1520 】肉体強度【 583 】出力/筋力【 634 】
・スキル―――――――― 【 人を呪えど穴一つ 】【 菌と死体はお友達 】【 魂ノ捕食者 】【 狩人ノ才 】【 ロンサム 】【 地点Fヲ超ユル者 】
これは、Clown=Lord 様から教えて頂いた『私』だ。
今はクラスも得たのでステータスは変化しているだろうけど、これが『私』だ。
直接頭に『文字』が浮かぶ様に教えて…
この文字って何文字なんだろう?
ミル文字ではない… あ、日本語か…
そう、日本語だ。
いや、日本語にこのような記号は無かったはずだ。
何かが、音を立てずに崩れて行く。
この世界は、共通言語によりhrtyklyty-@0909znwv2d4vacvxa1234あえfwaefd1234あえfwaefdPQRSヲaefd
そして、ピエロは偽りの者達でdsrgthbtf3456789sげrhdbtsrヴぁり、アクターだー@980--90ygcxsでゃqq1223cv/b.pk:op]kf[a:@a;polvskihytkaqdxaZvchjgtryhwfgdfsjhgfgvdー@980--90ygcxsでゃqq1223cv/b.pk:op]kf[a:@a;polvskihytkaqdxaZvchjgtryhwfgdfsjhgfgvd[XWO||XOナPQQRcv/b.pk:op]kf[a:@a;polvskihytkaqdxaZvchjgtryhwfgdfsjhgfgvd
システムエラーを確認、再起動後、修正と改善を行います。
亡き神の懐たる世界と第三十ノ神の世界の統合が完了した余波と考えられます。
問題の解決の為、個体:霧曇 蓮華を亡き神の懐たる世界に固定します。
亡き神の懐たる世界と第三十ノ神の世界を照らし合わせ、個体:霧曇 蓮華のステータスを修正します。
よろしいですか?
『アハハハハハハハハハッ! いいねぇ、最高だよ』
では、修正を開始します。
<修正を開始しています>
・創造生命体 屍霊形種――【 Clown=Lord の怪物 】 個体名:霧曇 蓮華
・ステータス―――――― 屍霊形:0歳 体長:136㎝ 体重:38㎏ 性別:♀ 種族強度【 Lv.6 】 クラス【 無職 】 霊力【 930 】魔力【 1520 】肉体強度【 583 】出力/筋力【 634 】
・スキル―――――――― 【 人を呪えど穴一つ 】【 菌と死体はお友達 】【 魂ノ捕食者 】【 狩人ノ才 】【 ロンサム 】【 地点Fヲ超ユル者 】
<ステータスを更新します>
・創造生命体 屍霊形種――【 Clown=Lord の魔物 】 個体名:霧曇 蓮華
・ステータス―――――― 屍霊形:0歳 体長:136㎝ 体重:38㎏ 性別:♀ 種族強度【 Lv.12 】 クラス【 冒険者 】 霊力【 1863 】魔力【 2796 】肉体強度【 2849 】出力/筋力【 1389 】
・スキル―――――――― 【 人を呪えど穴一つ 】【 菌と死体はお友達 】【 魂ノ捕食者 】【 狩人ノ才 】【 ロンサム 】【 地点Fヲ超ユル者 】
<誤字を修正します>
・創造生命体 屍霊形種――【 Crown=Lord の魔物 】 個体名:霧曇 蓮華
・ステータス―――――― 屍霊形:0歳 体長:136㎝ 体重:38㎏ 性別:♀ 種族強度【 Lv.12 】 クラス【 冒険者 】 霊力【 1863 】魔力【 2796 】肉体強度【 2849 】出力/筋力【 1389 】
・スキル―――――――― 【 人を呪えど穴一つ 】【 菌と死体はお友達 】【 魂ノ捕食者 】【 狩人ノ才 】【 ロンサム 】【 地点Fヲ超ユル者 】
<言語を、文字を統一します>
・創造生命体 屍霊形種――【 王冠=王 の魔物 】 個体名:霧曇 蓮華
・ステータス―――――― 屍霊形:0歳 体長:136㎝ 体重:38㎏ 性別:♀ 種族強度【 Lv.12 】 クラス【 冒険者 】 霊力【 1863 】魔力【 2796 】肉体強度【 2849 】出力/筋力【 1389 】
・スキル―――――――― 【 人を呪えど穴一つ 】【 菌と死体はお友達 】【 魂ノ捕食者 】【 狩人ノ才 】【 ロンサム 】【 地点Fヲ超ユル者 】
<単語を統一化します>
・創造生命体 屍霊形種――【 王の魔物(?) 】 個体名:霧曇 蓮華
・ステータス―――――― 屍霊形:0歳 体長:136㎝ 体重:38㎏ 性別:♀ 種族強度【 Lv.12 】 クラス【 冒険者 】 霊力【 1863 】魔力【 2796 】肉体強度【 2849 】出力/筋力【 1389 】
・スキル―――――――― 【 人を呪えど穴一つ 】【 菌と死体はお友達 】【 魂ノ捕食者 】【 狩人ノ才 】【 ロンサム 】【 地点Fヲ超ユル者 】
<文法を修正します>
・創造生命体 屍霊形種――【 魔物の王 】 個体名:霧曇 蓮華
・ステータス―――――― 屍霊形:0歳 体長:136㎝ 体重:38㎏ 性別:♀ 種族強度【 Lv.12(?) 】 クラス【 冒険者(?) 】 霊力【 1863(?) 】魔力【 2796(?) 】肉体強度【 2849(?) 】出力/筋力【 1389(?) 】
・スキル―――――――― 【 人を呪えど穴一つ 】【 菌と死体はお友達 】【 魂ノ捕食者 】【 狩人ノ才 】【 ロンサム 】【 地点Fヲ超ユル者 】
<亡き神の懐たる世界のシステムを参照し、個体:霧曇 蓮華を亡き神の懐たる世界に固定する為の修正と改善を行います>
・創造生命体 屍霊形種――【 魔王 】 個体名:霧曇 蓮華
・ステータス―――――― 屍霊形:0歳 体長:136㎝ 体重:38㎏ 性別:♀ 種族強度【 Lv.1 】 クラス【 魔王 】 霊力【 1237 】魔力【 2269 】肉体強度【 1396 】出力/筋力【 1236 】
・スキル―――――――― 【 人を呪えど穴一つ 】【 菌と死体はお友達 】【 魂ノ捕食者 】【 狩人ノ才 】【 ロンサム 】【 地点Fヲ超ユル者 】
『王は玉座に座らなければならない、甘んじてその玉座に就け… 私の人形ちゃん』
*
「ねぇ、白彦、白彦を殺したのって誰?」以前、気になってはいたが聞けずにいた事を思い出した。
そして、何故か、それを聞かなければいけないと強く思った。
「ぬぬぬ… ??? 誰でござったかな?????」
自分を殺した相手を忘れるなどあるのだろうか?
「何を仰いますか白彦様、」アンリが口を開く…
「 Clown=Lord だ」
答えたのは、口を開いていたアンリではなかった。
「誰!?」
見なくても分かる。
分かってしまった。
気配を感じ取れなかった程の強者だと。
「ん?、ああ… 。 俺は、第一ノ神様が代理者、まぁ、『元』代理者だがな、名前は『アット』だ」
「私は、第二ノ神様の最も傍で最も長く使えし者『コニャニャコ』です」
「こんにちはー、私は、第四ノ神様より産まれし死を語る者『コトゥー』だよー」
「ああ、それと、君達と戦う気は無い」
「撃つべき仇はただ一つ」
「そうしないとー、また戦争に戻されちゃうからねー」
「名を名乗るとは、な」
「嘘はついておらぬでござる… しかし… ぬぬぬ… でござる… 」
しかし、彼らの言うそれが真実だと言う保証はない。
白彦と共にアンリを見る。
この男を信用していいものか悩ましいが、急に現れたこいつら3人よりかはまだましだ。
「白彦様を亡きものにしたのは、Clown=Lord で間違いはないです」
「ぬぬぬ… なんと… そうでござったか… 」
「白彦様に幻術を掛けれる者など Clown=Lord 、奴以外に居りません」
「ありえないよ!!!」そうだ、ありえない。「だって私を!」
「 Clown=Lord のスキルに【 不幸が楽園 】というものがあります、恨みも憎しみも絶望も、全ての負が奴の力になるのです。奴は住む世界をも偽れるのです」
いったい何を、何が言いたいのだろうか。
「ああ、なるほど、それでか」
「戦争を起こしているもう一つの意味がそれですか… 神々の力を奪うだけでは、まだ足りないと… 奴はいったい何を考えているんですか… 」
「私達を意図的にー、生き残している理由もそれだねー」
こっちのセリフだ。
お前達の方こそ何を言っているんだ、何を考えているんだ。
「王よ、これは…」
「そんな呼び方しないでよ!!!」分からない。
「大いなる神は己を殺す為に Clown=Lord という存在を創りました」
「急に何の話しをしているのよ…?」アンリは私の質問を無視して話し続ける。
「殺してくれるように、大いなる神は己を怨むように、Clown=Lord を創ったのです。しかし、Clown=Lord は必要以上に悪しき存在だったのです」
「ああ、悪そのものだな」
「この世界の古き物語で名前までは語られていないけど、神獣白彦を殺したのは Clown=Lord 」
「 Clown=Lord はー、人々を何度も何度も、文字通りの意味で皆殺しにしたのねー」
「大いなる神は Clown=Lord を制御する為に、同じく王であり、Clown=Lord と同じ深淵に身を置ける存在を創りました」
「それが【 魔王 】でござる」白彦は、濡れた地面に座ってしまったかの様な憂鬱で湿った声を漏らす。
「貴女様は我らが王の、【 魔王 】様の生まれ変わりでございます」
「ああ、そのようだな。貴様のステータスに【 魔王 】と書いてある」他者のステータスを観れる存在に対して驚きも恐怖もないのは、そんな事を気にする余裕が無いからだ。
「第三十ノ神は輪廻転生とか言う環境を創り、魂を逃がさずに循環させることで早期の熟成を図ったと聞きます。【 魔王 】の魂もその輪に取り込まれたのでしょう」
「その環境がー、人間の魔物としての力って訳だったのねー。他の者達を巻き込み自分達の力にしていた訳だー」私の中の、死して眠っているはずの人間達がそれに頷く。思念の残り香などではない強い意思を感じる。
「大いなる神は【魔王】様が Clown=Lord と同じ場所へ行けるようにと、【 魔王 】様の心からあるものを無くしました」
「 」
それが何なのか分かった。
それが何なのか分かってしまった。
自分の事だと分かった。
自分の事だから分かってしまった。
「 幸せ 」
「その通りでございます」
「聞いておいて気付かぬとは拙者はなんと愚かなのでござろうか… 」
「 Clown=Lord の残り香のする奴の所に来たら、ただの被害者だったってわけか。これは、何と言っていいものか… 」
「被害者とも言えませんよ、制御する役目を大いなる神に与えられておきながら、まっとう出来なかっただけなわけですから。と言っても、私達も人の事は言えませんがね」
「仇討ちなんてー、自己満足だからねー」
「スキルで幸せを感じれるようになるかもしれない、か。私は、俺だったのか… 私はずっと… 騙されていたのか… 」少しずつだが思い出してきた。だから理解できる。「 Clown=Lord は最初から私を封じる為に…」この姿も嫌がらせで、悪意の現れなのかもしれない。「今の私は Clown=Lord に似ているな」
まるでピエロだ。
「何をなされているのですか!?」
「見て分からないの? 髪を切っているんだよ。気分が晴れるでしょ」何か効果が得られる訳では無い。
ただ気分を変える為だけに金剛石で作った鋏で髪を切り揃える。
「確か、ショートボブでしたか、お似合いです、我らが王よ」
「お似合いでござるよ、王」
「ありがとう。 あと、私の名前は霧曇 蓮華だよ」【 魔王 】時代に名前は無かった。Clown=Lord と同じだ。いや、奴には Clown=Lord になる前には、怨みを生む為に人間として生きていた時代には名前が有ったな。
「御尊名承りました。霧曇 蓮華様」なんだかむず痒い。
「蓮華でいいよ」この名前は気に入っている。
「 …蓮華様」
「承ったでござるよ、蓮華様」
「魔王蓮華よ、教えてくれぬか?」
「 Clown=Lord が何をしたいのか、何を考えているのか」
「君がー、【 魔王 】だった時の事を教えておくれよー」
私は話した。
私を思い出す為にも。
大いなる神は終わりなき己の生に終わりを告げるべく Clown=Lord を創った事を私に教えてくれた。
力を分けて己を弱めてまで死のうとしておられた。
だから大いなる神がお眠りになられたときは務めを果たした Clown=Lord を讃えた。
しかしその直後、Clown=Lord は暴挙に出た。
戦争の開戦宣言だ。
咎める為に私は奴のもとへと向かい、そして、そこで私は死んだ。
「 Clown=Lord は『会いに行く為だ』と言っていたよ。誰になのかは分からないけどね」
「 Clown=Lord ほどの、力を持つものが会えない人物… 」
「故人とも考えにくいですね」
「既に無き世界の人とかかなー?」
「我には分かりかねる問題ですね」
「 Clown=Lord は第三ノ神の世界へよく足を運んでいたでござるが、何か関係があるのかもしれないでござるな」
分からない事だらけだ。
「うっううう…」
「寝ている彼が起きそうですね」
「この後はどうするのでござるか」
「討伐報告」
「それは???」
「アンリ殿が復活媒体にしたドラゴンの討伐報告でござるよ」
「なるほど」
「で、その後に Clown=Lord を探し出して殺す」もう、Clown=Lord は殺すほかない。
「目的は同じだな」
「でも、行動を共にする事は出来ない」
「協力は出来るけどねー」
「ルール上、あなた達は魔物達に攻撃を加える事が出来ないのですね」
「なるほどでござる」
力有る者が味方になってくれたなら心強い、魔物達ならばなおの事…
「あ、良いこと思いついた」
*
「弟よ、リングはちゃんと嵌めているか?」
「嵌めてるぜ!何かあったらこれで戻って来れるんだよな!」
「通話は出来ないが通知が鳴るから、通知が鳴ったらちゃんと戻ってこいよ」
「子供じゃないんだからそんな説明大丈夫だぜ」
「 …で、その遠距離受信用の魔水晶は持っているのか?」
「あ! サンキュー兄者!忘れてたぜ!」
「 …はぁ」
マカロフ兄弟のこんなやり取りを見るのも今日が最後かもしれない。
「あの兄弟は本当に仲が良いわねー、ねー、魔王ちゃーん」
「アーロンさんがバカなだけなのー」
膝の上と頭の上から柔らかいものが私の動きを封じて来る。
女の子だからか子供だからなのかは知らないが、とりあえず、ドライアードのお尻は柔らかい。
「蓮華様、準備が整いました」
「出発するでござるよー」
白彦がいまだ準備の整っていないアーロンさんに声を飛ばす。
「本当にいいんですかね??? 白彦様の曳く馬車に乗っても… 」
「蓮華様が許可を出されたのだ、お待たせすることの方が不敬だぞ」
「なら、失礼させていただきます、お邪魔します!」
「じゃあ、行こうか。 炎と製鉄の街【 ボリュート 】へ!出発!」
「了解でござるよ!」そうして白彦に曳かれ、凄まじい馬力で街を飛び出した。
マカロフ兄の「お気を付けてーーーー!!!」声を後にして。
「魔王ちゃーん、何でその街へ行くんだっけ?」
「スイニーンさん、前にも言ったはずですが… 魔物が近くに居るっていう情報が有ったからですよ」
「そっか、なるほどねー、そうだったわねー」ほっぺたをフニフニされるのにはもう慣れた。
「戦争の中断と協力関係の構築がこの旅の目的でござるからな!」
「魔なる者皆が協力し合わないと Clown=Lord は倒せないですからね」 たぶん…
「ふーん、そうだったわねー」
お読みいただきありがとうございます。
次話もよろしくお願いいたします。




