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世界は広い

今回も短いですが、お楽しみいただけたら幸いです。


 汗なんて流れるはずもないのに、冷や汗が止まらないそんな気持ちにさせられる。

「何で君は座学だけで実技や訓練はしなくていいのかなぁー?」スイニーンさん、近いです。

「いやー、何ででしょうかね?」私も知らない、私が知りたい。

「君が実は強かったからだよねぇ、それにこの街を救った英雄さんだからだよねぇ」強さを重んじるウォーカーの訓練課程修了証明試験ではその強さを証明し資格を得る、らしい。勿論知識も重要なので訓練課程修了証明試験には筆記問題もある、らしいので座学だけは受けている。

「スイニーン嬢、近すぎるでござるよ」近いというか触られている、後ろから抱きつく形でほっぺたをフニフニされているしおっぱいが頭に乗っている。こんな事をしてくるのは、同性同士だからだろうか?

「お人形さんみたいで可愛いし、軽く虐めたくなってきちゃったのよ」いたずらな笑みだ。

(喋り方も表情もコロコロ変わる、猫みたいに素直な人だな。あと、それに、おっぱいが柔らかい、私も負けていないけど)身体の大きさが違うので感じ方に違いがある、例えるなら猫の肉球と低反発枕だ、もう少しこうしていたい気持ちにさせられるのはおっぱいの魔力だろうか…

「私はこれから実技訓練だからぁ、じゃあね蓮華お嬢ちゃん」<チュッ>、(!?)スイニーンさんは、ほっぺたとイタズラがお好きなようだ。


「これは私をお嬢ちゃん呼ばわりしていた仕返しだからねぇ」またねー、と軽く手を振り建物の奥へと消えて行った。


「凄い女性でござるな」

「だね」年上には年上への、年下には年下への対応をキッチリと分けている様だ。変な話だが、対応を別け過ぎていてある意味事務的でどこか機械的だ。猫みたいに自由な人に対しておかしな話だとは思うが、そう思ってしまう雰囲気を持っている人、いや、妖精種のエルフだ。

「私達は何をしようかなー」手続きやら怪物についての事情聴取(?)的な事もある程度済んでする事が無い。と、言うのも実は、白彦の存在を知った人々がお布施やら貢物やらを持って来た際に対応に困った私達は『お気持ちはどうか教会の方へお寄せ下さい』と言い、その結果この街に在った白彦系統や自然崇拝、大いなる神を信仰する教会が大いに潤いその関係者達が身の回りの面倒事をしてくれたり様々な所への口利きを行ってくれたのだ。私達の評判が上がれば上がるほど教会への寄付が増えるから、かなり良い様に言ってくれている。正直胃が痛い、私の胃がどんな構造をしているのかは知らないけどストレスには弱いようだ。

(ちやほやされるのは苦手だ)何処に行っても『英雄様』だ。

 早くウォーカーの資格を得て街を出ようと心に決めている。

(私が街を半壊させてしまった様なものなのに優しいと言うのか何と言うのか…)怪物に殴り飛ばされ弾丸と化した私が街の端から端まで吹っ飛んで行ったその結果街は多大なる被害を被ったのだが、『英雄様が居なければもっと多くの被害を受けていました』『身を護る為に金剛石の結界を張られ、その結果こうなったのですからそれは仕方のない事だと思います。そのような事より、怪物を倒していただき誠にありがとうございます!』『不敬ですが、もしかしたらマカロフ様方もやられていたかもしれません。英雄様には感謝の言葉もありません』『老公様をお救い頂きまして誠にありがとうございます。魔法省を代表して感謝を』『ご自身の為ではなく家を失い迷える人々の為に教会への寄付を働きかけるとは、感激いたしました!』等々、謎の罪悪感を抱くには十分すぎる程の感謝の言葉を掛けられている。これ以上直接感謝を言われるのは何か嫌なので適当に適度に受け流すことにしたのだ。


「修行するのが良いと思うでござるよ」正論だ、正論だが、何というか。


「疲れなくなったし、もういいんじゃないのかなー、って思ってまーす」そう、クラスを得たおかげで私は疲れる事が無くなったのだ!


「学びも修行でござるよ」そうきたか…

「フッフッフー」しかし「私にとってあの程度の事は常識なのですよー」そう、ウォーカーの座学で学ぶ事は私にとっては常識的な事ばかりだったのだ。

 私の基になっている人間達の記憶の影響かもしれないが生き物や薬草、自然環境で起きうる現象に対する理解など多くの事を私は理解していた。魔法などについては初耳だらけだったがたぶん問題ないと思われる。

 生き物や薬草についての知識は、もしかしたら【 狩人ノ才 】の影響も有るのかもしれない。が、このてのスキルは元々才能があるから得られる様なものだと思うのでもとからなのだと思う。

「だから勉強の必要はありませーん」

「学びとは座学だけではないのでござるよ」

「そんなの屁理屈だ」普段は残念イケメンのくせに…

「だらけてしまっていては折角のクラス修得が勿体ないでござるよ」くっ…

「はぁ、分かったよ。なら魔法の勉強でもするよ」

「それが良いでござる」

「なら街の外に出ますか」神位の聖獣、俗に言う神獣である白彦と共になら街の出入りが顔パスになっったので出入りが自由になった。

 白彦の顔なので馬面パスと言ったところだが、聖獣の嘘を付けない性質と白彦の有名さが後押しをした形での特例だそうで教会関係者の一人がそう言って来たのだ。が、胃が痛い、教会内でも派閥争いがあるらしい。

(神前というか神の御身元で御身体の上で不敬すぎる醜い争いだよね。聖職者のくせに。いや、聖職者だからかもしれないけど… 巻き込まないでほしい、胃が痛い)カルマ値測定のストレスと悩みは無くなったが割に合わない気がする。


(私は Clown=Lord 様一筋なのになぁ…   )




   *




 ウォルターボのから少し離れた大河ウエーイニの川縁、ここには知性持たぬ魚蜥蜴などが住み着いており人気ひとけが無い。

「リザードマンとかとの見た目の違いって二足歩行かどうかとかしかないよね」勿論中身は明らかに別だが顔とかに関しては違いが分からない、白彦の事を言えたものではなかった。

「座学も心配でござるな」

「 …今から勉強するから良いもん」

「・・・」

「なによー」

「クラスを得てから少し変わったでござるな、喋り方が女性的… 少し明るくなったでござるよ」少し明るくなった、だとしたら、それは胃が痛いから空元気だ。

「何その手に職つけたら変わったみたいな感じの言い方」

「ぬぬぬ? 手に職とは何でござるか?」

「あれ? 何だっけ?」どこかで聞いた気がするが思い出せない、どんな意味の言葉だっけ… 「まぁいいか、魔法の勉強をしよう」

「そうでござるな」


 まず、魔法と呼ばれるものには4種類ある。

 ロストマジックとも呼ばれることもある【 古代魔法 】、これは現在では使用できない魔法の総称として使われるもので覚えても仕方がないものらしい、歴史学者や神話好きなどが学ぶものでこれだけで一つの分野として成り立っている。

 次に【 詠唱魔法 】、最もオーソドックスな魔法として知られているものであり、言葉と魔力で空中や水中に魔法文字を刻み込みそれと同時に発動する魔法。

 そして膨大な魔力で魔法文字を物に刻み込み任意のタイミングで幾度も発動できる【 術式魔法 】、魔法上級者しか造ることが出来ないが発動に必要な少量の魔力さえあれば魔法初心者にも発動できる魔法であり、刻み込まれた魔法陣が消えてさえいなければ半永久的に発動が可能な魔法で、はるか昔から存在するものもあり【 古代魔法 】の解析に役立っているものもある奥深い魔法。

 最後に【 感覚魔法 】、ゴブリンからドラゴンまで使える魔法であり、魔力を感覚で操作し発動させる原始的でセンスのいる魔法。生命力は強いが魔力の弱いミル族には扱いが難しいので使える者は少なく【 感覚魔法 】が使えないから他の魔法を生み出したと言われるほどだ。【 感覚魔法 】は己の種族属性のものしか使えない事がマイナスポイントとしてあるのだが、その代わりに【 感覚魔法 】と言うだけあって自由度が高く一度感覚を掴めばこんなことだってできる…


「おおおお!? 飛んでる!? 飛んでる!!!」飛行魔法を使わずに箒や杖で空を飛べる魔法使いは少ない、魔法使いと呼ばれる者達の大半がミル族やそれに類似する者達だからだ。バンパイアや魔人などの人型魔族はそもそも飛べる場合が多いのでわざわざ箒や杖には跨らない。

あるじにはネガティブチャージがあるでござるから、戦場や墓地では長いこと飛んでいられると思うでござるよ」

「そんな所は飛びたくないよ」私の種族属性は【 闇 】カルマ値も悪に振り切っているので白彦曰く Clown=Lord 様のお与え下さったこの杖でなければ魔力を流した時点で腐り落ちるそうだ。因みに、炎属性の人は箒の先に火が付いて燃え上がり危ないので魔法陣を書く事にも使える魔石や木炭を先に付けた杖で飛ぶらしい。飛行魔法は感覚で飛ぶわけではないので【 感覚魔法 】が使えるならそれで飛んだ方がいいと白彦が言い出したので今の状況に至っている。

 案外悪くない。

「どこまで高く行けるんだろう?」前に見た時は薄紫色だったが、どんどん黒に近くなっていっているこの紫色(?)のボワボワした花弁みたいな魔力の塊がどうやって推進力を生み出しているのかは謎だ。しかし、「どこまででも行ける気がするよ!」ワクワクしてきた。

「光や闇の属性は水晶や蹄角に溜めると長持ちするでござるよ」私に蹄や角は無い、しかし…

「金剛石でも大丈夫かな?」理由は分からないが私は灰の属性も持ち合わせている。白彦は『スキルで体を変形させているのでござるな、【 水使い 】が自らの血で水圧カッターを行うようなものでござるが… あるじの種族なら何の問題もないでござるな』と言っていた。【 感覚魔法 】ではないが同じ様に感覚で扱えるのであまり気にしない。

「問題ないでござるよ」白彦は蹄と角に光を宿し宙を駆け上がって来た。

「それがあるならもうちょい早くこの街に着いたんじゃないの?」

「盗人の娘の頭に浮かんだ記憶の地図を辿っていたのでござるから空からでは流石に無理でござるよ」

「盗人の娘?」何かを思い出しそうになったが、靄の中に消えて行ってしまった。「とりあえず、金剛石!ハッ!」進行方向とは逆の杖先に金剛石を創り出し、そこに闇属性の魔力を溜める。

「その調子でござる」なんだか嬉しそうだ。

「行けるところまで行ってみよー」




 そして、空高く昇って行った私は呼吸の必要性が無いこの身体、種族特性に感謝しつつこの世界の、大いなる神のあまりの偉大さに感嘆の言葉も無く、語彙力の無さを曝け出し叫んでしまっていた。



「でっか!!!!!!!!!!!!」先の見えない広すぎる大地、弧を描く事無く先が薄ぼやけて見える広すぎる大地は私の冒険心に火を付けるに十分すぎた。


「うわあああああああああ!!! 凄い!!! 何だこれ!!!」ストレスも胃の痛みも何処かへ飛んで行ってしまう絶景だ。


「これが世界でござるよ」本当に嬉しそうだ。




 ひとしきり白彦と遊んでウォルターボに戻った私は『もしかして白彦は遊びたかっただけなんじゃ…』と白彦をジト目で眺めていたが『楽しかったからいいや』と思ったので特に何も言わなかった。




「冒険するのが楽しみだなぁ~♪」






お読みいただきありがとうございました。

次話もよろしくお願いいたします。

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