↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
150/228

150話

 午後6時。

 お屋敷に戻りました。


 ダンジョンの最奥でなんやかんやあって、こんな時間になってしまった。

 いつもなら、港町で買い物などを済ませてから戻るところだけど、今日はそうはいかなかった。

 いろいろありすぎて、頭が痛いよ。


「ほう……。ダンジョンの奥に精霊様が……?

 しかも、誓約まで済ませた……と」


 クライネ師匠が呟く。


 そうなんです。

 お約束、というわけではないけど、精霊とキスしたら誓約してしまった。

 今もちゃんと、オレの後ろに控えています。


 背中まで伸ばされたストレートの髪は、桜の花を思い出させる薄桃色をしている。

 エメラルドのような翠の瞳がその端整な顔を引き立たせ、どこか冷たい印象を与えそうだ。

 頭が小さく、手足もすらりとしているのでわかりにくいが、実際は身長は低めだ。ヴィヴィより少し低いくらいかな?

 そのわりに、女性らしいメリハリのあるスタイルをしているから、貸したヴィヴィの服がキツそうで、目の毒です──ヴィヴィが少し涙目で自分の薄い胸を撫でているのは、スルーだ。


 はぁ……。

 まぁ、でも、誓約をしたからといっても、何か悪いことがあるわけではないし、むしろ、お互いにwin-winの関係になるので、こんな異世界に生きていくことになったオレにとっては、ありがたいことなのだ。


「それで、その精霊様は、何を司っているんじゃ?」


「わかりません」


 師匠の疑問は、そのままオレの疑問でもある。

 まぁ、ヴィヴィもそうなんだけど、本当にわからないんだよね。


 精霊っていうのはいろいろ存在していて、有名なのは、ディーネの『水』の精霊のような四大元素の精霊だ。あとは『光』とか『闇』などのようなものや、ジュリアの『死』の精霊といったような精霊もいる。


 やはり、精霊が生まれる過程から、自然現象を司っているものが多くなるのだろう。


 では、そうではないヴィヴィは、精霊ではないのか、というと、そんなことはなく、歴とした精霊なのだから、本当によくわからないよね。

 一応、『ヴイーヴル』という種なので、『ヴイーヴル』の精霊となるのが、妥当だろうか?


 別に、わからなくても支障はないので、そのまま放置しているけど。


「……まぁ、主であるお前がそう言うなら、それで良いんじゃが。

 ところで、以前に話を聞いたときは、精霊の生まれ方なんてわからない、と言っていなかったか?」


「……あぁ、そうでしたね。

 あれから、ジーク師匠と勉強しまして、ディーネとも話を突き詰めて、あんな感じで精霊は生まれるんじゃないか、と」


 まぁ、絶対にそうだ、と結論付けたわけではないけど、大きく間違ってはいないと思う。

 ジーク師匠には、改めて感謝を。


「後は、そうじゃな……では、精霊様に名は付けたのか?」


「それなんですよね……」


 オレに名前を考えるセンスがないので、ディーネたちの名前は、何か連想ゲームみたいな感じで付けてしまった。

 正直、スマンと思っている。

 もうちょっと、ちゃんとした名前を付けてあげたかったけどね。


 そういえば、過去にゲームとかでキャラクターに名前を付けるのも、とても苦労した記憶がある。

 大体、歴史上の人物名とか、よくある名前とかを付けていた。

 女性名だと、日本だったら花子、海外だとジェーンとかが多かった。


 ゲームの場合はそれで良いけど、実際に名前を付けるとなると、簡単には出来ないよね?

 本当にどうしようかな?


 そうだ!

 オレが思い付いたのを列挙していくから、そこから本人に気に入ったのを選んでもらう、というのはどうだろう?

 え? ダメ? そうですか……。


 んー?

 貴女は何が出来ますか? というか、自分が何なのか、自分で理解していますか?


 あぁ、自分が精霊である自覚はあるんだ……。

 それ以前のことはどうです?


 ……覚えていない、と。

 ふむ。

 まぁそれは良い。

 覚えていると、それはそれで面倒だし。

 生まれ変わって、新たな人生──ではなく精霊生を楽しんでもらいたいものです。


 となると、戦闘とかどうなのかな?

 自分が何が出来るか、わかります?


 へぇ、弓なら出来そう?

 は? 空が飛べる? 何で? おわぁ!? 翼が生えた!?

 何、その天使みたいな純白の翼は?

 いや、よく見ると……白い鳥の翼だな。何だろう、鳩みたいな……?

 それに服の上から生えているように見えるけど、これ、どうなっているんだ?

 本物の翼、じゃない……?


 んー。

 ま、いっか。

 空を飛べて、上空から弓矢で攻撃。

 十分だね。


 あ、名前、閃いた。

 ユミルだ。

 いや、『弓射る』からの発想ですけど、何か?

 本人も気に入ってくれたようだし、良かった良かった。


「何で、こんなところに精霊様が四人もいらっしゃるのかねぇ。

 普通は、有り得ないよ……」


 クライネ師匠が何か言っているけど、聞こえない。

 聞こえないったら、聞こえないんだ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。