148話
短いです。
てくてくと階段を降りる。
先行するように、『ライト』の光が浮いている。
と、終わりが見えた。
意外と短い。
扉があった。
簡素な造りで、特に鍵はかかってなさそうだ。
「罠はないようです」
何故わかるの?
って、【鑑定】か……。そんなのもわかるのだな。
ま、罠があっても、漢解除でなんとかなるとは思うけどね。
「では、入ろう」
魔物がいる反応はない。
さほど警戒しなくても良いだろう。
何があるかな?
お宝ザックザク、だと嬉しいんだけど。
最近、支出が多い。特に、食費がかなりの割合を占めている。
怖いから計算しないけど、エンゲル係数、どうなっているんだろうね。
ミノタウロスが高く売れれば良いけど、そうでないと、ちょっと困る。
だからこそ、この部屋の中に期待したいのだ。
ドアノブに手をかける。
回して、開け──られない。
……。
押す。
開かない。
……。
引く。
開かない。
……。
上下左右にスライド。
動かない。
バキッ。
ドアノブが取れた。
「……」
「えっと、ラムダさん……?」
すーはーすーはー。
落ち着こう、オレ。
ちょっとイラッとしたが、これくらいは仕方ない。
そう、仕方、ないんだッ!
ドバンッ!
オレの全力の前蹴りが、ドアを蹴破った。
蝶番が外れて、すっ飛んでいく。
うん。
仕方ないよね。
なんせ、ドアが壊れているんだから。
「えっと、ラムダさん……?」
「ドアが壊れていた。そうですよね?」
「ラムダさんが壊したのでは……?」
「ドアが壊れていた。そうですよね?」
「……そう、ですね。壊れていました」
HAHAHA。
なら、仕方ないんだ。壊れていたんだから。
さあ、中に入ろう!
部屋の中に足を踏み入れる。
どうやら、それほど広くないようだ。
とはいっても、一般的な学校の教室くらいはある。
だから、すぐに部屋の中を見渡せたし、すぐにそれに気付いた。
3mはあろうかと思われる、巨大な水晶に。
ボンヤリと発光しているから、薄暗い部屋の中でも、その中心に何があるのか、よく見えた。
水にたゆたっているように見える長い髪。
目は閉じられているが、端整な顔立ち。
スラリと伸びた手足。
ほどよく膨らんだ双丘に、二本の指がオレの目の前──
「目ぇ!? 目がァ!?」
「すぐに治るのでしょうが、しばらく、そうしていてください」
絶対零度を思わせる声音で、アヤノさんは言った。
言いたいことはわかるけど……目潰しはないんじゃないかな?
というか、本当に潰れたよ?
いくら治ると言っても、この仕打ちは酷くない?
躊躇うことなく知人の眼球を潰せるなんて……アヤノさん、恐ろしい娘です。
そんなこんなで、目が回復したので、同じ轍を踏まないように、目隠しをして立ち上がる。
簡易マップを頼りに歩くけど、ちょっと怖いな。
っと、誰かがオレの腕を引いて誘導してくれた。
この感じは……ヴィヴィか?
助かった。ありがとう。
それにしても……。
ダンジョンの最奥。
水晶の中に裸体の女性。
なんとも、テンプレなシチュエーションですね。
水晶の近くまで寄る。
どうやら、ディーネが調べているようだけど……何かわかった?
ディーネが近付いて来て、オレに伝えたのは、あの水晶の女性は、精霊である、ということだった。
……。
ふむ。
精霊か。そうですか。
えっ? 精霊!?
なんでまた、こんなところに!?
しかも、水晶の中だなんて?




