117話
ちょっと短いです。
「小鳥遊綾乃です。小鳥が遊ぶ、で、『たかなし』です。こっちの言い方に倣うなら、アヤノ・タカナシかな。
一七歳、都内の高校に通っています……いました」
「ラムダ、です。三七歳」
「えと……? あの……」
困惑したような表情の少女──アヤノ。
まぁ、そうなるよね。
「あー、ちょっと理由があって、昔の名前はない……ということになるかな。いずれ、時間があるときに話します」
「はあ……。わかりました」
納得できないだろうけど、我慢してください。
世の中、そんなのばかりですからね、と大人ぶってみる。
今は誤魔化せるけど、どこまで話すかな……。
うーん?
まぁ、話したところで、さほどデメリットはない、と思う。
むしろ、隠しておく方が良くない気がするんだよな。
ふむ。とりあえず、保留で。
これからやらないといけないことが多い。
優先順位を決めて、サクサクやろう。
まずは、奴隷商さんと交渉。
これが一番、面倒だな。
そのあと、買い物して。
それから、どこかで話し合いだな。
お屋敷で大丈夫か?
師匠たちがいるから、避けた方が無難か。
どこか、宿を探そう。
よし。こんなところか。
では、行動に移そう。
奴隷商さんとの交渉は、スムーズに終わった。
厄介事だと思っていたそうで、儲けようとは考えなかったらしい。
……損もしてないようだけど。
ただ、貸しを作ってしまったようなので、いずれそれを返すために、またお店に顔を出さないとならなくなってしまった。
やっぱり、奴隷商さんは強かですね。
引き攣ったオレの顔を見て、アヤノさんはひたすら恐縮していた。
アヤノさんのせいではない。
そうです、怖いのは、商売人なのですよ。
奴隷を買うほどの金額ではなかったが、船の運賃と考えると高額な料金を支払い、奴隷商さんのお店を出た。
アヤノさんの立場は、オレの奴隷となった。
オレとしては、女子高生を奴隷にしているなんて、外聞が悪すぎるので、さっさと解放したかったのだが、アヤノさんが断固として拒否したのだ(ちなみに、奴隷の解放には、両者の同意が必要になる)。
アヤノさん曰く、
「ラムダさんは、わたしのことを信用してないですよね。だから、いつでも離れられる──逃げられるようにしている。
いえ、当然だと思います。
なので、わたしは奴隷となって、それをもってラムダさんを裏切らないという証しとします。
奴隷は簡単には捨てられない、と聞きました。人権を認められている、とも。
だから、ラムダさん。
わたしのこと、見捨てないでくださいね」
……。
女性って、本当にコワイ。




