地下1階 2部屋(その6)
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Name:虚空(通称:アカシャ)
Rank::Dungeon Master
Class:Der Erlkönig
Level:8
HP:2550/2550
MP:2240/2340
Status:
・STR 297
・VIT 388
・DEX 471
・AGI 263
・INT 590
・LUK 21
Point:10001/10022
Skill:『迷宮創作(Lv1)』『召喚魔法(Lv1)』『土魔法・ピット』『ダウジング(Lv2)』『鑑定(Lv1)』
Title:『異界の魔人』『罠師の魔王』
Privilege:レアリティ☆☆☆以上装備ガチャ(1/1)[初回monster撃退・駆除特典]
レアリティ☆☆☆☆☆以上魔物ガチャ(1/1)[初日enemy撃退・駆除特典]
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ダンジョンマスター生活も一週間目を迎えた。
「……いまさらだけど、俺のステータスって一般的に見て、どうなんだろう?」
「どうとは?」
「虚弱貧弱脆弱無知無能じゃ」
テーブルを囲んで昼食(チョコ・ジャム・クリームの菓子パン三種類)を食べながら、ふとそう疑問を口に出すと、ヤミが小首を傾げ、フィーナは当然という顔でうそぶく。
ちなみに1,000ポイントで取得した『鑑定』でヤミを見てみると、
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Name:『Dungeon Manual』830083版(通称:ヤミ)
Rank:-NO NAME-ダンジョン専用奥義書
Class:禁断の魔導書の精霊
Level:8
HP:1950/1950
MP:2340/2340
Status:
・STR 275
・VIT 367
・DEX 471
・AGI 249
・INT 590
・LUK 211
Skill:『人化』『迷宮知識(Lv2)』『異界知識(Lv2)』
Title:『異界の魔人の下僕』
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となっていて、なんつーか全般的な能力が、俺に準拠(依存?)しているのがわかる。
ところがこれがフィーナになると、
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Name:Delfina(通称:フィーナ)
Rank::-NO NAME-ダンジョン一階守護者
Class:NAIAD
Level:??
HP:????/????
MP:?????/?????
Status:
・STR ????
・VIT ?????
・DEX ?????
・AGI ????
・INT ????
・LUK 11
Skill:『精霊魔術(Lv65)』『水操作(Lv89)』『水の癒し(Lv7)』『言語理解(Lv9)』
Title:『水の乙女』『神々の寵愛を受けた者』
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と、レベル差が大きすぎるのか、ほとんどが文字化けして読み取れなかった。
それでもHPとMPが四桁五桁まであるのはわかるし、ステータスも一部五桁を越えているところを見ると、残りもおそらくは四桁後半なのは想像できる。
で、これでレアリティ☆☆☆☆☆でなおかつ非戦闘系なのだから、最高レベルの☆8とかなると、どんな数字になるのかと想像するだけでも戦慄ものであった。
「……ああ、なるほど。一般的な比較対象がいないので、現状の強さを客観視できないという意味ですか」
「ふん、愚かであるな。強さとは比較するものではないぞよ。目的があってこそ成立する概念じゃ。目標を見定め達成できるかどうかが強い弱いの目安じゃ」
納得するヤミと、なにやら高尚な禅問答のようなことを口出して嘲笑するフィーナ。
「いや、まあそうかも知れないけど、俺は俗人だから『スタローンとジャン・クロード・バンダムはどっちが強い?』レベルの話でないと理解できないんだ」
俺の返答に「これだから凡俗は……」と、フィーナは眉をひそめてジャムパンに齧りつく。
「そうですね。そういった比較であれば、同じLv8程度の原住民のHP・MPともに二桁。ステータスは、いずれも一桁か多くても10台前半ですね」
「つまり、この世界の人間の8~10倍の能力があるってことか」
幼稚園児に対するレスラーみたいなものか。
まあ凄いっちゃ凄いんだろうけど、隔絶しているって程でもないな。
「そうですね。もっとも原住民の中には戦闘に特化した能力や、スキルを所有した者も多くいますから油断は禁物です」
俺が調子に乗らないように念を押してくるヤミ。
一方フィーナといえば、
「そうじゃ、おぬし『レアリティ☆☆☆☆☆以上魔物ガチャ』をまだ使用しておらんのじゃろう? この際、戦力の増強のために使用したらどうじゃ? いつまでも後生大事に持っておっても宝の持ち腐れであろうに」
あっけらかんとガチャの使用を薦めてきた。
「「『レアリティ☆☆☆☆☆以上魔物ガチャ』か(ですか)……」」
思わず同じレアリティ☆☆☆☆☆のフィーナをまじまじと見据える俺とヤミ。
「なんじゃ、その目は!?」
いや、だってなあ……最低でもこのレベルだろう。下手をしたらコレが二倍になるわけだ。鬱陶しいことこの上ない。
そんな俺たちの不信の眼差しを不安の表れと捉えたのか、
「安心せい。いかな相手であろうがこの高貴にして、天上に知られた美貌の妾が取りなして進ぜよう。大船に乗って気で存分に召喚するがよい!」
そう胸を叩いて豪語する。
「「…………」」
不安しかなかった。




