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9、恋心?

9、恋心?



「すいません。もう大丈夫です」

 私の口から発せられるか細い声を自分でもキャラ違いだと思うと笑えてくる。

「こんな弱い女キャラではないんですが……」


 スーパーの試着室のようなチープな更衣室の床で座り込んでいる私を心配げに見ている平良さんに、離婚したてとは思えないほどの鼓動を覚える。


 まさかのこれはあれ?


 恥ずかしくて代名詞で考えてしまうが……もしかして恋愛感情だろうか?

 十数年久しく動いていなかった心の一部分が動き出したのだろうか。


 少し優しくされただけでこんなことになっていいのだろうか?

 はて?優しくされれば誰でもいいのでは?

 この気持ちにはふたをして経過観察しなければ、とてもイタイ女がまた職探しするはめになる。


「すいません、大声出して。少し転寝したら夢の中にゴキブリが出てきまして、つい現実と混同してしまいました」

 えへへと笑ってごまかすと顔が赤らんでくるのを抑えられないまま立ち上がった。


 まじまじと私を見る彼の目が心に突き刺さる。


「わかりました。今日は早いけどもう帰りますか?」

「いえ。もう大丈夫です。頭痛も平良さんのおかげで治りましたし、大声出したらすっきりしました」

もうほんとに落ち込むわ。平良さん相手だと訳わかんないことしか言ってない。


 フロアに戻るとお決まりの立ち位置に着く。私は客席の真ん中に。平良さんは入り口わきのレジの前に。

 この広いフロアに立っているのが二人だけで、動くものに目が行きがちだったりするとやはり見てしまうわけで……


 さっきから目が合うんだよお。平良さんはいつも通りに目を配っているんだろうけど、私がみちゃってるんだよね。どうしよう。

 こんな時に限って客は来ないし。もうコーヒーは入っちゃってるしバンジュウはきれいなままだしステーションもきれいになっている。各テーブルへの補充は朝済ませたし。掃除も終わっている。

 すなわちすることがない。


 こうなったら……


「何かすることないですか?」

攻撃に転ずるのみだ。



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