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7・涙が・・・・止まらないや

サブタイトルの真意を読み取ってあげて下さい

窓から流れ込む朝の光

小鳥のさえずりは心地よく、清々しい朝を向かえた。

ちなみに季節は春なので窓を開ければ桜の花びらが空を舞っている

「良い朝だ」

その一言では語れない程良い朝だが今回は簡単に済ませよう。

こんな良い朝なんだ、昨日のあれは悪夢か何かだ。きっと下に降りれば朝食が出来ていて親父が新聞のテレビ欄だけ見てる筈だ。

そうだよ、あれは悪夢だから夢なんだよ。きっと夢は醒めてるよ。夢は醒め


「遅いじゃない。朝食はまだなの」

悪夢だ


しかも当たり前の様に居るこやつは完全にこの居間を占領したようだ。ついでに言えば一階の母親の部屋が深娜の部屋になったようだ。知らない内に家具一式運ばれていた。

「ボーっと立ってないで早く朝食作ってよ」

「昨日出前を取ったのを忘れましたか?」

「ならコンビニでも行って来なさい」

瞬殺ですか

どうやら俺は完全に深娜の舎弟になったようだ。怖くて全く逆らえない。せめてあの無表情が少しでもなくなればな・・・・

「早く行きなさいよ」

スカーン

中身入ってますよ!

逃げるように居間を飛び出し簡単に服を整え財布を片手に家をでる。こうなったら幸澤にちゃんと請求しよう。じゃないとお小遣いがなくなりそうです。

適当にパンやおにぎりを買い急いで帰る。早くしないと学校に遅刻してしまいます。買ってきたおにぎりを奪われ、パンを片手に急いで着替える。そろそろ制服買い変えたいな。少し小さく感じる制服に腕を通し玄関に急ぐ。幸澤に渡された物はバレないようバッグの底に隠しているのでそう簡単には見付からないだろう。

さあ、今日はりきってがんば・・・ろう?

何故玄関に光世高校の制服を着た深娜が立っているんですか?しかも素晴らしく着こなしてますよ

「遅いじゃない。何時まで待たせておく気なの」

「なんで貴方が制服着てるんですか?」等々完全敬語になってしまった。俺弱ー

「協力者だって言ってるじゃない。家にいたって何も出来ないでしょ。学校の方には連絡済みだから問題ないわ」

問題ないってさー、俺が問題有りだよ

「頼むから学校では一緒に住んでるとか言わないで下さい。オレ、シンデシマウカラ」

「学校には伝えるしかなかったから諦めなさい。住所はここなんだから」

「クラスの連中には、嫌、学校内でそれは言わないで下さい。」

「分かったわよ。それより転校早々遅刻は嫌なんだけど」


もう逃げ道は無いようだ。

観念した俺はクラスの連中に会わないかハラハラしながら通学するが・・・・

人生甘くないよね?

後ろからドス黒いオーラを放っているのは藤阪慎(ふじさかまこと)、中学からの古い友だ。短く整えた髪に細いながらも強さを感じる表情。160チョイしかないが見た目とは逆にかなり鍛えてるマッスルボディーの持ち主です。俺の裏の顔と趣味の顔を知る唯一の友だ。

つまり簡単に言えば俺ピンチってことだ

「霞、どちら様だこの人は?」

激しく怖い

「こ、この人、この人は、その、つまり、えっと・・・」

「抜け駆けとはお主も偉くなったなー」

「すいません、すいません、すいません、すいません」

するとようやく後ろの騒がしい二人組に気付いた深娜は

「うるさいわよ」

「「すいません」」

二人して謝ってた。

土下座で

深娜がまた歩き出した後今度はヒソヒソ声で

「だ、誰だよこの怖えー姉ちゃん」

慎にはまだ本当のことは喋れそうにないので

「母さんの姉妹の子で当分家に住むことになったんだよ」

住むことは本当だ

「おまえ、あんな子趣味だっけ?」

「それは違うからな」

そこだけは強く強調しておこう。



さあ学校だ。恐らく俺の墓場だろう。

俺の教室、2ーCに入るなり教室は静まりかえった。修学旅行のバスの中で告白した後のように(実話)


複数の男子による殺意の眼差し

複数の女子による軽蔑の眼差し

どっちも痛かった。

心にグサグサ刺さってます

痛いよー、誰か、誰か助けてー


そんな感じで教室の隅に追いやられた俺をよそに、担任はいつも通り教室に入ってきた。

「全員席につけー、転校生紹介出来ないぞー」

すると皆凄い早さで席に座ります。ただ一人、俺のイジケっぷりを撮影していた崎塚だけはまだ物足りない感じで渋々座った。


「あー、今日からこのクラスに転校生が加わった。勿論女子だ」

男子一同

「うおぉぉぉ」

「さらに美人だ」

男子一同

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ」

テンション最高潮だ


「それじゃ、大川君、入りなさい」

視線は教室の入り口に注がれます。

そしてそこから現れた深娜はゆっくりとした足取りで中央に歩いてくる。

ただそれだけの動作に既に何人かの生徒が圧倒されている。

黒板に

「大川深娜」

と、まるで国語の教師のような綺麗な字で書き、振り向くと一言

「よろしく」

無愛想にも程がありだろう

先生も流石に困り他に話すことはないか聞いてたが返事は全くゼロだった。

「えーと、お、大川は両親が海外で働いてるから今は野崎の家にいるそうだ」

「い、痛い、痛いよ」

男子の皆が隅にいる俺を囲んでシャーペンの芯を指で弾いてきます。地味に痛いんだよこの技

「質問は休み時間にでも皆で聞くといい」

そう言って先生は早々と教室を去った。

先生も苦手の様だ。


結局深娜の席は悪意を感じるほどに俺の隣。

先生、僕を教室から追い出したいんですか?

教室の窓際最後尾、

どうやらここが、俺の墓場だ


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