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53・慎大戦物語(中)

綾萌「ふっ、遂にこの時が来たようだな」

佐山「今度は何をやらかす気だ」

綾萌「なぁに大した事ではない。次から前書きと後書きが完全に私の占領下に置かれるのだ」

佐山「…………幾ら積んだんだ。正直に吐け」

綾萌「なに、誠心誠意真心込めて脅したらここを管理してる奴が譲ってくれたのだ」

佐山「………………」

綾萌「さぁ、日夜徹して練習した振り付けの成果を発揮する時だぞ!愚民共、間違った奴から順に口では言えない恥ずかしい拷問だからな。具体的に木馬、蝋燭、開脚吊るおぐっ!」

佐山「…………(無言の拳骨)」

HEY、みんな元気にフレッシュしてるかい?超有頂天の慎様だZE!


我を見よ、太陽光を浴び神々しいまでの存在感を放つこの我をぉ!!

「慎様、先程からまるで止まり木の様に鳩と烏に埋め尽くされておりますが大丈夫ですか?」

「ふぁいじょーぶでふ!我は不死身なり!!」

周囲を黒と白のコントラストで飾りながら、不死鳥の如く現世に舞い戻ってきた

鳩さん烏さんありがとう。演出に多大な貢献をしてくれた二羽に手を振ってから夜喜さんに向き直る。いつもの中居服も素晴らしいが私服も超大人っぽいZE!

あ?どんな感じか知りたい?教えねぇよ!ぜってぇ教えねぇ!

「慎様、そちらの方に御知り合いの方でもいらっしゃるのですか?」

「いいいいえいえ!気のせいですよ夜喜さん!さぁ張り切って行きましょう!」

「はい。御供させて頂きます」

そうして拙者達のでででデートが始まったで御座るよ!




さてさてほんの数ヶ月前に来た清水寺。まぁ飛び降り紛いの事やらかして観光なんてこれっぽっちもしてないからノーカンだよな

「慎様、本日は天気に恵まれて絶好の散歩日和ですね」

「そおっすねぇ。修学旅行じゃまともに観光出来なかったから今日は満喫しないといけないっすよ」

「何かあったのですか?旅館にも夕方頃御一人でいらしてましたが」

「…………ボクハナニモオボエテナイ」

「御同行していた警察の方は少々……えぇ、少々慎様に対する視線が熱を帯びておりましたが」

「うわぁぁぁぁぁ!」

やめろ!なんで俺の尻とか二の腕を見るんだよ!なんで触るんだよ!なんだよお前、パトカーの端に行けよ!今晩どう?じゃねぇよ!

「あ、慎様。そちらは危険で……」

「うぉあぁぁぁ!!」






「……慎様。どうぞ」

「……あざっす」

お団子屋さんでお茶を頂きながら一息

「つか夜喜さん、なんで貴女も上から飛び降りてきたの?危ないっすよ」

「あの程度は旅館の守備隊なら月一で実施しております」

「……軍隊っすか」

「慎様も傷ひとつなく何よりです」

「いや、枝とか掴みまくって減速したから」

あれ?このトークって一般ピーポーがしてて大丈夫なライン?そのうち俺卍解とか出来るようになるんじゎね?なんか気合いとかで気功砲とか出来そうじゃね?どうしよ最近発売した『戦国活劇オダリオン』の千利休みたいに低空正座飛行からスーパー茶器ラッシュとか出来たら格好よくね?

「慎様、急に正座して経文を唱え出して。如何なされましたか?」

「いや、人間やれば何でも出来そうな気がして」

とりあえず座り直してお団子を一口。うゎ霞がめっちゃ好きそうな味だな


「こちらの笹時雨は、私共も御泊まりの御客様に勧めている大変美味しい茶屋です」

「およ?誰かと思ったら夜喜ちゃんじゃん」

暖簾を潜って出てきたのは朱色の和服に白のエプロン。銀の鈴が揺れる簪がよく似合う双子の姉妹の片割れ。いつも笑顔の看板娘

「御早う御座います愉米様。本日も大変美味しいと愉々様に御伝え下さい」

「あはは。愉々ちゃん恥ずかしがりですぐ引っ込んじゃうもんね」

和やかに話す二人を横目にもう一口。うーん、夜喜さんとどんな関係なのかな?高校とか大学辺りが一緒だったのかにゃ?

すると俺に気付いた愉米さんが首を傾げ、俺の周りを一周してさらに首を傾げた

「な、なんで御座いますでしょうか?」

「うーーん………」

いきなり臭いを嗅がれました。ってちょまぁっ!

「なななななんで御座いますか!?」

「愉米様!」

わぁちょっと怒ってる夜喜さん可愛い!ぞくぞくするな!

「あれぇ?やっぱり君から霞の匂いがする?もしかして君が慎って子?」

「ん?霞の知り合いっすか?」

「やっぱりぃ。って事は霞もここに来てるの?来てるよね?来てるね!」


お盆を抱きながらくねくねし始めた愉米さんを横目にお茶を一口………………っ、殺気!

勢いよく振り向くがそこには風に靡く笹時雨の暖簾と食欲をそそる匂いが漂っている

「如何致しましたか慎様?」

「…………いや、多分気のせいっすね」

何だろうさっきの視線。確実に俺を見てたのは確かなんだが…………ってやっぱり拙者一般ピーポーなのか?どうしよ、杉田玄白みたいに両手出刃包丁で鶴の構えみたいに片足立ちで『はじめてのかいたいしんしょ』とかテロップ出しながら乱舞とか始めたら

最後の決め台詞は『ひらいちゃらめぇぇぇぇ!』

ぞくぞくするな!

「慎様、串は暗器程度にしか使えませんよ。武器でしたらこちらに」

「ちょぉ!日本刀アウト!捕まっちゃ……いや、無理だな。その辺の奴より万倍つえぇーからな」

「夜喜ちゃんむっちゃくちゃ強いからね。その刀だって私の蛟と同じ超名刀の清姫だよ」

「総理ー!みんな凶器もってるよー!どうした法治国家ぁ!」

返ってくるのは虚しい山びこさんと奇異の視線だけ。何だろう、僕なにか間違ってるのかな?


京都の民に不信を募らせながら二人の所に戻ろうとして足が止まる…………愉米さんが二人いる

あれ?なんか愉米さん増えてる!何これイリュージョン!

「あ、この子が妹の愉々ちゃん。ちょっとシャイな自慢のいもアいたぁ!!」

「姉さん五月蝿い」

「うえぇぇん。愉々ちゃんがまたぶったぁ!」

うわ、棍棒でガチ殴りしやがった。何あの子姉御に酷似する容赦の無さっぷり

「…………………」

「…………えっと、なんでありんすか?」

「…………………」

こ、恐いよ霞!愉々さん恐いよガクガクブルブル

「愉々様、慎様に何か御用でも?」

スッと前に出る夜喜さん、心なしか恐いのである

「…………君が慎。霞から聞いてる」

「あ、左様ですか。初めまして」

「うん…………私は愉々。愉々姉ぇって呼んで」

その瞬間、愉米は驚きの余り10m程全力で離れ、夜喜はフラりと立ち眩みを起こし椅子に座り直した

「えっ!何このリアクション!ちょいと夜喜さんどおしのぉぉぉぉぉぉぉ!」

椅子から転げ落ちる様に回避。身を低くして次の行動に備える

さっきまでいた所には愉々姉ぇさんがいた。つぅかアレは間違いなく…………

「何で逃げるの…………チュウは嫌い?」

ほらね!やっぱり狙ってたよ。…………まて、何故逃げた拙者。あんな激レア演出は数年に一回の貴重な体験!

神よ、ギブミーリピート!ちょっとタイムスリップさせて!

『無理ですby神』

えぇい使えん神だ!

まぁいい。仮に嬉し恥ずかしイベントが仮に発生した場合、拙者に明日は存在しないであろう。十中八九夜喜さんに惨殺されただろうなぁ。こぅ…………後ろから…………サクッて

「慎様…………」

ほらねほらね!今背中がチクチクしてるもん!ちょっと動けばサクッだもん!

「夜喜、慎をいじめちゃダメ」

背後にいた夜喜さんは刀を構え愉々姉ぇに対峙する

「愉々様。女性たるもの常に慎ましく、礼節を重んじるものです」

「そうだね。でも今は関係ないよね?好きって気持ちを伝えないまま終わるなんて愚の極みだよ」

「それは…………確かにそうですが」

「夜喜は慎が好き?私は好き。だから伝えた。貴方が好きと。でも夜喜は伝えていない。なら貴女は私の邪魔をする権利は無い」

「……………」

夜喜さんは俯き、構えを解いた。だらりと下がる刃先は震え、時折地面を掻く音が聞こえる

「愉々ちゃーん。あんまり夜喜ちゃんいじめちゃ」

「姉さん五月蝿い」

「ぶべっ!」

乙女らしからぬ奇声と共に頭を押さえて踞る姉。やべぇ、姉御よりこえぇ!

「さぁ慎、愉々姉ぇの胸に飛び込んで」

な、なんて魅力的なお言葉なのだ!よくよくみたら三人の中で一番…………豊満じゃないか!こ、言葉選んだんだからねっ!決して巨乳とか言いたいわけじゃないんだからねっ!

だがいかんせん余りにも分が悪すぎる。こんな状況で巨乳きゃっほー!とか言いながら走り出したら拙者の魂すらも消し飛ばされる事必須だからな

…………覚悟を決めてヤるしかないか

「愉々姉ぇ!」

「なに?」

「超メンゴ!保留なっ!あ、アンタのタメじゃないんだからねっ!」

小脇に夜喜さんを抱えて超ダッシュ!今の俺ならスピードなら俺の方が上だとかフリーザ様にほざいてたピっコロより速いね!ふはははははは!





「愉々ちゃん、慎君行っちゃったね」

「残念。慎速いね」

「速いねぇ。本気のつぐみちゃん並みに速いんじゃない?」

「…………多分まだ伸びるよ。きっと慎も私達と同じ」

「うひゃぁ。愉々ちゃんがここまで手放しに絶賛するなんて霞以来じゃない?」

嬉しそうに手の内で蛟を転がす愉米は、揺れ落ちる木の葉を一瞬の居合いで両断する。常人には刀の軌道は愚か抜いたことすら気付かない程の神速である

「まさか愉々ちゃんが慎君Loveになっちゃうなんて。お姉ちゃん超嬉しい♪」

「うん。私もびっくり。一目惚れだった」

ひいぃぃぃ!と叫びながら愉米はまた全力で逃げ出した








「ふぅ。なんとか逃げ切れたな」

未だ夜喜さんを抱えたまま軽く汗を拭う。本能の赴くままに超ダッシュで逃げたけど多分正解だな。下手に捕まれば確実に貞操の危機だった

「…………慎様、私は何時までこうしていれば宜しいのですか?」

「ほわぁ!すすすすんません夜喜さん!」

慌てて夜喜さんを下ろすと取り敢えず周囲に再確認。うむ、視線は感じないな…………………僕、人だよね?ねぇ人なんだよね?ロリ貧乳のザビエルみたいに『神たまぱわー!』とか叫んで空中四段蹴りとか出来たりしないよね?………………ゴクリ

「慎様、大変御見事な三段蹴りでしたがまだ跳躍力が足りませんね」

「うわぁ!うわぁ!なんか俺自分を見失っちゃいそぉ?」

夜喜さんに殴られました。女の人の尖ったグーパンチは凶器だと思います。あと拳の周りに衝撃波紛いの白い軌道を出すのは止めてください。殴られてパァン!とか音するのは冗談抜きで人が出していい音じゃないですよ?それから何でぶつの?

「…………何故、愉々様への御返事を保留にしたのですか?」

なんかめちゃめちゃ夜喜さんキレてんだけど!あれ?その場でYES or NOの返答すべきだったの?でもなぁ…………どう言えばいいんだろ?

「俺ぇ、霞みたいに頭よくないから何言ってるか分かんないかもしんないけど」

頭を掻きながら何とか整理して言葉にする

「んー。なんつうかな、霞を見習うって訳じゃねーんだけどさ、今日初めて愉々姉ぇに会ってさ、まぁいきなりビックリサプライズでワォ!みたいな事になったけどさ、なんも知らない人に告白されても俺困るんだわ」

近くのベンチに腰掛けながら空を見上げる

「何て言ったら伝わるかなぁ…………先ずは友達からって感じなのかな」

隣に腰掛けた夜喜さんは真剣な眼差しでこちらを見ている……………ど、ドッキドキだね!

「だってさ、俺夜喜さんの事もまだそんな知らないのに愉々姉ぇに告白されても…………やっぱお困りなわけだよ」

「…………良くも悪くも貴方は真っ直ぐでいらっしゃいますね」

ようやく微笑んでくれた夜喜さんは、どこからともなく弁当箱を取り出した。いや、ちょい待ち夜喜さん。マジでどっからそんな重箱取り出したの?四次元ポッケでもあるわけ?刀とか平気で出してるけどマジでどっから出してるの?

「それは乙女の秘密で御座います」

副音で『つべこべ言わずに早く食え』って聞こえるのは気のせいだろうか。手際よくお昼御飯を広げる夜喜さんを横目に空を見る

ちょっとだけ快晴の空が怨めしかった



まだ続く!って嘘ぉ!

…………と、言うわけで大部遅れてご免なさい。忘れちゃやーよって少々イカれて来たウドの大木です


次回から佐山&綾萌夫妻のトーク会が始まります。取り敢えず第一回放送はアニメっぽくOPで始まります。歌詞とかどうしよぅとか前途多難なアホですが、どうか気長に見守って頂けたら幸いです



それではまた次回、御会いしましょう!



※PS、秘密基地のイラスト依頼コーナーにて拙者依頼してますんで、心の多大なるゆとりのある絵師様、ちょっとぐらい覗いてみて下さい

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