52・慎大戦物語(上)
綾萌「もぐもぐもぐ」
佐山「いつまで居座るつもりだ。早く帰れ」
綾萌「何を言う。私の家はここだ」
佐山「違う。お前の親が住む家の方だ」
綾萌「8年前に親も家も無くなった」
佐山「・・・・・」
綾萌「私の経営してる会社も家ではない。だから今私の帰る家はここだけだ」
佐山「・・・・・」
綾萌「それにあんな運命的な出会いを経て悠一と会えたのだ。これは神の思し召しだ」
佐山「まだその戯れ言をほざくか」
綾萌「後は夜の営みを経て子作りを」
佐山「土に帰れ!」
続くぞなもし
皆さんに問いたい
恐らく、この問いは皆さんの将来にも役立つかもしれないので、真剣に考えて頂きたい
もし、自分が好いてる人と自分の友達が朝帰りしたらどう思うだろうか
A・友達を信じ、いつも通り接する
B・友達に裏切らたと思い、縁を切る
C・素直に認め、二人の幸せを祈る
D・半狂乱になって好きな相手に殴りかかる
私、野崎霞の答は迷うこと無くDを選ばせて頂く
理由を話すには、花火大会の翌日の出来事を話さなければならないだろう
※回想※
日が登り、俺の膝枕の上で目を覚ました洸夜は、朝から真っ赤になって慌てまくり波の揺れで引っくり返っていた
それから30分程して、漸く落ち着いた洸夜が若干まだ赤い顔で朝食を食べている
それから岸に帰りしげさんの運転で家まで送って貰った。洸夜はまだ浴衣姿なので流石に歩いて帰る訳にはいかないからね
それから玄関をくぐり第一声
「ただいまぁ」
※回想終了※
さて、残念ながら私の記憶はここで途切れてしまっている
慎と洸夜の証言によると、帰宅早々殴られて気を失ったらしい。慎曰く『顎を打ち抜かれて人形みたいに崩れた』だそうだ
結局目を覚ましたのが夕方と、一日を超無駄にした気がするがどうしようも無いので諦めた
さて、長々と過去を語っていても現在を変えることは出来ない。
例え殴られると分かっていてもやらなきゃならない事がある
そう言い聞かせて目の前を見る。そこには数少ない親友、慎がいるのだ
おッス!オラ慎!
遂に京都に行く日がやってきたぜ!苦節、母上との壮絶な交渉の末、獲得した4ヶ月前借りお小遣いでお財布はホッカほいだぜ!ただみっちゃんにエラい強さでツネられたんだよな。お土産買ってご機嫌とらないとなぁ
「しかし霞、お前いいのか?洸夜との朝帰り事件の二日後に京都一泊二日旅とか」
「大丈夫だろ。置き手紙置いといたしお前が夜喜さんに会いに行くって書いたから勘違いは無いだろ」
「だといいけどなぁ」
始発の新幹線の中で駅弁をほお張りながら、慎は明日の夜の惨劇を頭から除外した
早朝、旅館『ゆきしろ』の前で箒を振る女性。いつもは裏方に回り、滅多にこういった仕事をしない宮蔵夜喜は任務を忠実に守り確り掃き掃除をしていた
早朝、女将の月島に呼ばれた夜喜は急遽掃き掃除を任されたのだ
「・・・・・・・」
丹念に掃き掃除をする夜喜の前を通る人達は珍しそうな顔で挨拶し、夜喜は軽く会釈を返し掃除を続けた
「・・・・女将はどうして私に掃除を任せたのでしょう?」
何時もなら朝の鍛練の後に警備システムを総点検し、銃器類の掃除をしているのに
「あの時の女将の表情・・・・」
何か考えあっての事だろう。そう結論付けて掃除を続けていると、ふと聞き知った声が聞こえた気がした
だがその可能性は低いと判断し、空耳だと思っていると旅館の角から二人組の少年が顔を出した
「あ、おはよう夜喜さん。掃き掃除なんて珍しいね」
「おはよう御座います夜喜さん!」
「・・・・・・」
箒を持ったまま固まった夜喜は慎を凝視し、されてる慎は余りの眼力に蛇に睨まれた蛙が如く固まった
膠着状態の二人を交互に見る霞は、暫し考え大きく手を叩いた
『っ!』
先に動くのは夜喜。箒を素早く投げ背に手を回し、一丁の拳銃を抜いた
慎は一瞬遅れて動くが、目の前に飛んでくる箒を片手で掴み無理矢理体を横に飛ばす。一瞬遅れてさっきまでいた場所に計5発の玉が通り過ぎたが気にする余裕はない
続けざまに放たれる玉を紙一重で避け、箒で弾きながら一気に間合いを詰める
横薙ぎに振られた箒をバックステップで避けた夜喜は、着地と当時に姿勢を低くして懐に滑り込む。その加速のまま細くしなやかな指を拳に変え一撃を叩き込んだ
「・・・っ!」
「甘いわぁ!」
日頃から無駄に鍛え上げている慎には効果が薄く、一瞬動きを止めた夜喜に対し、好機を逃すまいと一歩踏み込んだ慎はその手を伸ばし
『っ!!』
見事に胸を鷲掴みした
14歳の割に発育の良い胸を正面から鷲掴みした慎は、一瞬後にはコンクリートと熱いキスを交わしており、その頭を夜喜は全力で踏み潰していた
目が覚めると、般若面が俺を睨んでいた
「Why!」
思わず米国風に叫んで布団から飛び退き、部屋の隅とゆう名の安全地帯に前転で退避!
「Who am I!」
「You ar Makoto」
丁寧に米国風に返してくれた般若Manは何処からともなく日本刀を引き抜き、妖気とゆうか殺意紛いのオーラを漂わせながらゆっくりと上段に構えている
「まさかのシチュエーション!夜喜さん後生だからご勘弁!」
「・・・・いつからお気付きで?」
「そりゃ安全地帯に転がって確認して直ぐに」
「・・・そうでしたか」
「ぁぶなぁ!ノーモーションで刀投げないで下さいよ!」
「了承も無しに女性の胸に触れるからです」
般若面を外した夜喜さんは、柱に突き刺さってる日本刀を引き抜きまだ何処かに消した
それから何食わぬ顔で膝を折り深々と頭を下げる
「ようこそ、旅館『ゆきしろ』に御出下さいました。本日御世話をさせて頂きます、宮蔵夜喜と申します。至らぬ点も御座いますが何卒宜しく御願い申し上げます」
顔をあげ向けられた笑みに、俺様はもう・・・なんつーか・・・・ど、どうよ!みたいにテンパった。つか可愛いぜこんちきしょぉぉぉぉ!
「いらっしゃい霞さん。急な連絡でびっくりしましたよ」
「すみません恋花さん。最近忙しくて連絡するの忘れてたもので」
「でもこうしてまたお会い出来て嬉しいですよ」
「はは。光栄です」
座敷にて、のんびりと茶を飲み交わす二人はどちらともなく笑いだした
「慎様、御食事の用意が整いました」
なんかやたら高級そうな個室で待たされる事数分。夜喜さんが戻って来ました
・・・・・ちょっ!朝飯の癖にやたら豪勢なんだけど!拙者のマネーが一瞬でチリになるぞこれ!
「御代は結構です。私からのほんの気持ちですので」
「こないあきまへん!どう見ても高いやおまへんか!」
俺はただ会いに来ただけなのにここまでしてもらうとスッゲー後ろめたい気持ちになっちゃうぞ!
「慎様。こちらはあくまで私からのお気持ち。召し上がって頂けないなら処分する他ありません」
「いただきますこんちきしょうぉ!」
えぇいもうヤケ食いじゃぁ!夜喜さんの為なら例え火の中水の中!
「うんまぁ!なんだこの美味さは、本気になった霞並みに美味い!」
「本当ですか?」
「ワタシ嘘つかないアルよ!超デリシャス!」
「よかった」
ほんのり頬を朱に染めた夜喜を見て手作りと知った慎は心中狂喜乱舞しながら全て綺麗にたいらげた
ふぅ。余は満足なり。
米粒一つ残さず夜喜さん手作りメニューを平らげてちょっと小休憩。あぁ茶が美味い
「慎様、御代わりは如何でしょうか?」
「あ、頂きます」
湯飲みに新たに注いでもらった茶を口に含みながら思う
(Love Field Banzai!)
何この幸せ空間!超ハッピー!いつも霞コンチキショォみたいな私怨ドロドロの拙者の心がなんつぅか・・・こう・・・ピンク色の・・・・・ど、どうよ!!
「慎様、何故くねくねされてるのですか?」
はっ!俺としたことが、危うく妄想に全神経を支配される所だったぜ
取り敢えず深呼吸して気持ちを落ち着かせてから外に目を向ける
超快晴なんだけど。これはアレか?日頃虐げられてる俺を哀れに思ってる神からの贈り物か?夜喜さんとお散歩いってようござんすか!?
「慎様、本日は快晴ですので散歩等は如何でしょうか?僭越ながら私も御供させて頂きたいと存じます」
「ももも勿論!むしろ一緒に来てください!」
「はい。喜んで」
夜喜さんスマイルキタァァァァァァァ!
その時は超有頂天になりまくって後先考えないで行動した事を非常に後悔した。なんで部屋で二人っきりでまったりするとか平和な案が出なかったんだろぅ
あぁ、俺がお馬鹿様だからかなぁ
続く!!
どうも。死亡フラグが発生してそうなウドの大木です
まずは謝辞。御免なさい。忙しいです
超がつくくらい多忙な日々で全く書けませんでした。今現在も地味に忙しく、上下の二部作になっちゃいました
ネタは頭にあるので暇が出来次第即書きますので下巻をお待ちください
ではではバーハーハーイ