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46・幸せとは如何に?

綾萌「ふっ、久しいな愚民。綾萌諒琥だ」

佐山「佐山だ」

綾萌「今日からこのコーナーは私達の物だ。どうだ悠一、祝杯ついでに今晩どうだ?」

佐山「脱ぐな萎える。だすならこのバカだけにしろ」

綾萌「ふっ、照れてる悠一もいいな」

佐山「鼻血出して何言ってるんだお前。さっさと帰れ」

綾萌「私がいる限り悠一を一人にはしないのさ」

佐山「・・・・」



続く


どうも。最近拉致という言葉を身近に感じる事が疑問でならない霞です



なんでしょうね。お嬢に拉致られてから度々連れ去られているのですがこれは一般的な事なのでしょうか?

現に今回も深娜の拉致により常夏深娜の島にご招待されたわけなのだが


はたしてその真意とは如何に?謎が謎を呼ぶ二人っきりの一時である




「で、何故我を拉致?」

「嫌なの?」

「滅相も御座いません」

「なら黙って着いてかなさい。もうすぐだから」

逆らう事の許されない一方的な指示にめげずに歩くこと数分。目的地と思われるこの島唯一の居住地にたどり着いた

お嬢別荘に比べれば大分小さいがそれでも十分な広さをもっていた

埃などは無く、隅々まで掃除が行き渡っており、自家発電なのか家電類も完備されていた

「ようこそって言えばいいかしら?私も随分久し振りだけど」

「おじゃましますと言っておこうか」

深娜は適当にソファーに腰掛け俺も向かいに座る

「早速だけど朝食にしない?私もまだ食べてないから」

時計を見ると9時を回ったところである。ちょっと遅い朝食にすることにした



「冷蔵庫の中身何でも使っていいのか?」

「いいわよ。1週間分の量はある筈だし」

「うわなんだこの食材。金掛けすぎだろ」

「手配したのは幸澤よ。文句はアッチに言って」

まぁ存分に使えるようだしいいとするか

「軽めでいいよなー?」

「構わないわよ」

深娜の了承もらったしささっとやりますか

つっても切るだけ切って盛り付けるだけー。はいカナッペの出来上がりー

「本当に手を抜いたわね。まぁいいけど」

そう言って早速手を伸ばす深娜。カナッペとは簡単に言えばサンドイッチ風の料理。西洋料理の前菜みたいなものでパンの薄切りとかクラッカーに色んな物を色どりよく盛り付けた食べ物。今回はキャビアとかイクラとか鮭とか使ってますが気にしちゃいけないぜ

「にしてもやっぱ夏は暑いな。ここどの辺り?」

「島の緯度はハワイとたいして変わらない位置だったかしら。日付変更線の近くよ」

「へぇ。道理で暑いわけだ。あ、何か飲む?」

「下にワインが保管してるわよ」

「朝から飲むなよ。ジュースにしとけ」

「冗談よ」

「あー天気いいなー。今日は何かあるのかなー」

「いつもと変わらないわよ。そう言えば私も17になったし」

「そっか。加弥暴れてなきゃいいんだけどなー」

「幸澤に任せてるから御嬢様に御迷惑は無いと思うわよ」

「そうか。お嬢はお前がここいるって知ってるならいいんじゃないか・・・・・・あれ?」

ちょっと待て、あれ?なんかおかしなこと言ってない?

「・・・・深娜、さっきなんて言った?」

「幸澤に任せてるって」

「違う違う。その前」

「いつもと変わらないって。あと私も17になったって」

「・・・・え?今日誕生日なの?」

「えぇ」

えぇぇぇぇぇぇ!うそぉぉぉぉぉぉぉ!

「なんで黙ってたんだよ。誕生日なら祝ってやらなきゃいけないだろ」

「別にいらないわよ。何年もしてないし」

「よくなあぁい!俺が許さん。絶対祝う!」

深娜は頬杖をついて若干呆れている。なぜ呆れているのだ深娜よ。誕生日をなんだと思っている!

「しかし誕生日プレゼント・・・・くそぉ今からじゃ買うにも作りにも時間がないな」

「だからいらないって言ってるじゃない」

「許さん!絶対祝う!」

こうなりゃ意地だ!何が何でも祝ってやる









〈その頃のお嬢邸は〉






「霞どこいったぁぁ!」

アンギャァァと炎を吹かんばかりの勢いで慎を振り回すミニマムモンスター加弥。既に慎は白眼でなすがまま振り回されている

「加弥ちゃん、やっぱり大川さんいない!」

パタパタと廊下を駆けて来た洸夜は、何故か振り回されていた慎に蹴りをかましていた

「お二人ともどうしました?」

素知らぬ顔でやって来た幸澤に噛みつかん勢いで詰め寄る加弥

「幸澤さん!霞と深娜ちゃん何処にいったの!」

「おや、二人ともいらっしゃらないのですか?」

なかなか役者の幸澤。嘘が全く顔に出てません。ですがヒューマンポリグラフ(人間嘘発見器)の異名を誇る加弥には通じません。目を細めて幸澤を見上げます

「・・・嘘ついてるでしょ。知ってるでしょ」

幸澤は即座に相手が悪いと判断して適当な言い訳をすらすらと並べ脱兎の如くその場から消えた

代わりというか生け贄というか山下君が駆り出されてきた。語尾が『っス』の薄幸の少年である

「お呼びでしょうか?幸澤先輩に呼び出されたっスけど」

「さっさと船準備しなさぁい!霞と深娜ちゃん捕獲するんだから!」

「りょ、了解ッス!」

自分より背の低い少女に胸ぐら掴まれ持ち上げられそうになった山下くんは敬礼するなり全速力で屋敷を飛び出した


山下くんは、後日同僚にこう漏らしたらしい。アレはハンマさん所のオウガに匹敵すると






さて、そんな事が起きてるなんて全く知る由も無い二人なのだがどうやらまた何かおかしな事を言ったのか、深娜がまた呆れていた





「・・・はぁ」

「おいおい溜め息とかやめてくれよ。こっちだって必死に考えたんだぞ」

「そんな事に必死にならないでよ。第一いつもとたいして変わらないじゃない」

「んーまぁな。でも改めて言うと昔を思い出すよ。お前の要望(暴力)に怯えていた毎日を」


というわけで、俺からのプレゼントは『今日1日出来る範囲ならなんでもやってやる』です。バカとか言わないでよね!

「何よその怯えていた毎日って」

「君は忘れたのか?買い物行けって物を投げたり殴ったり蹴ったり絞めたり。今と雲泥の差だな」

「・・・悪かったわね」

深娜は視線を反らし不機嫌そうにカナッペを口に運ぶ。そういや夕飯は豪華にいきたいよなー。ケーキ・・・・あぁ材料足りなかったな。ならフランス料理・・・いや和食か中華も

「そういや深娜、夕飯何食べたい?今の内に仕込みとか出来るならしたいし」

「だからそんなに気を使わなくていいって言ってるじゃない。貴方が作った料理に文句は言わないわよ」

嬉しい事を言ってくれるじゃないですか。しかしなら何を作ろうかあんまり手の込んだ料理は流石に出来ないからな

「そういや下にワインが保管されてるって言ったよな?」

「ええ。私も直接見たわけじゃないから何があるか分からないけど。見に行く?」

俺は頷き一緒に地下の倉庫に向かった。






「なんじゃこりゃぁ」

第一声がこんな感じです。なんだこの貯蔵量。何処の老舗の酒屋だよ

「あら、アクアビットもあるじゃない」

珍しそうに眺める深娜に混ざって俺も物色開始。いやまぁしかし、流石お嬢と言うべきか。アルマニャックにカシャッサ、キュラソーと高粱酒。見たこと無い物まで揃ってやがる。こりゃ今晩楽しみだなおい

「って何持って上がる気なんだ。今何時だと思ってんだ」

「いいじゃない別に。どうせ一緒に飲むでしょ」

「飲むのには反対せんがせめて夕飯食べてからにしような」

深娜からやんわり瓶を頂いて戻しておく。この子は将来絶対に酒蔵持つだろうな

「はいはい取り敢えず戻りましょうや。海でも行って砂のお城つくりましょ」

「お城って、いい歳して作るわけ無いでしょ。ちょと押さないでよ分かったわよ」

うんうん。最近の深娜は本当に素直になってくれて助かるよ。昔の俺、未来の深娜はこんなに可愛くなったんだよ?仏頂面の深娜にも根気よく接してあげなさい

過去の己に細やかなエールを送り、深娜と共に海を目指した









「野郎共!錨を揚げろ!本日よりこの船は私の指揮下に入る!必ず霞と深娜ちゃんを捕まえるのだ!」

『サーイエッサー!』

ノリのいいクルーは敬礼の後手早く出航の準備に取り掛かり、サー加弥は船首を陣取り大海原の漢よろしく大海を睨み潮風を正面から受けていた

「・・・・いつになく荒れてるね加弥ちゃん」

「おう。俺今の加弥には絶対逆らわないでおく。マジで突き落としそうだから」

神妙に頷く二人を他所に、クルー達は手を休ませる事無く作業をこなす

「そういや幸澤さん言ってたけど大川の姉御の島には最後まで近付くなってよ」

「マジで?まぁけっこう島あるから最後だと日付変わって朝だろうな」

「仕方ねぇよ。特別手当て出るし久し振りに釣りするか?」

「お、気が利くじゃん。なんか大川先輩と一緒にいた奴と二人っきりらしいし邪魔しちゃワリィからな」

「アイツってやっぱ姉御の彼氏かな?」

「え?女じゃないの!うそぉ男なの!?うわぁめっちゃ可愛いとか思ってたのに」

「俺も聞いた時おんなじ事思ってた。世の中不思議だな」

「先輩も久し振りに見たら別人に見えたからな」

「アイツのおかげってか。今の姉御の方が全然いいからな。こりゃ俺等で全力サポートだな」

「やるか。先輩にはあんな感じの尻に敷かれるタイプの男が丁度良いからな。そうと決れば無線で仲間を集うぞ」


クルーはクルーで変な使命に盛り上がっていた










潮風が独特の香りを運び、降り注ぐ太陽は海面を光輝かせている

浜辺に傾くパラソルの下、椅子に背を預けグラスを煽る深娜

負けました。深娜の権力といいますか自分で言っちゃった約束のせいかまだ昼前なのに早速飲んでます。シャンパンを飲むその姿も様になってます

「霞も飲む?」

「一杯だけ貰うよ。下手に酔ったら午後に差し支える」

「酔わないくせに」

そう言いながら注いでくれたグラスを手渡し手に持つグラスを傾ける。俺も深娜に合わせキンと重ねお互いグラスを煽り俺も腰掛ける

「まさかこんな風に誕生日を向かえる日が来るとわね」

深娜は目を閉じ小さくため息を吐く。それに合わせる様に吹く風が深娜の髪を撫でる

「何だよため息なんか。お嬢達だってなんかやってたんだろ?」

「・・・じゃぁ聞くけど命の恩人に誕生日を祝うって言われてすんなりありがとうって言える?」

「・・・・・・むり」

「そーゆー事よ」

空になったグラスを向けて来たので新に注ぐ。ゆっくりと口に運び煽る深娜は僅かに口許を緩める

「だから今は幸せなのかもね。誕生日が久し振りに楽しみになってきた」

「身に余る御言葉。至極光栄に存じます」

「やめなさいよ。似合ってないわよ」

「やっぱり?」

やっぱこんな台詞は幸澤辺りが似合うよなー

空になったグラスを戻しゆっくり伸びをする。真っ白な砂浜に打ち寄せるさざ波に耳を傾け隣の深娜に視線を向けると静かな寝息が聞こえる。思わずこぼれてしまった笑みと共に出そうだった声を抑え、深娜にとって今日の誕生日がどんな日になってくれるか目を閉じ思考に沈んだ










「はいヒットォ!でかいぜコイツ!」

「慎君ガンバれ!」

しなる竿を掴み逃がさぬよう慎重に巻く。隣で構える石田さんは目を凝らし、海面スレスレまで上がってきた獲物に素早く銛みたいなのを突き刺し一気に引き上げた

「うわぁキショッ!若干緑入ってる!」

「こりゃシーラってんだよ。惣菜とかでも出るんだぜ」

「大きいですね。加弥ちゃんも見てよ」

「シャラーップ!私達は遊んでんじゃないのよ!霞を生け捕りにするために船に乗ったのよ!」

「でも船長、あと40分は走らせるから藤阪君達と釣りでもしながら待った方いいぜ」

「それにカツオかかったら刺身に出来るし」

クルーに丸め込まれた加弥は渋々ながら竿を掴み有らん限りの力で降りかぶった

「霞のバッキャロー!」

唸りが聞こえそうな速さで飛ぶ錘は鳥の群れど真ん中に着水した

「ナイッシュー。ほれ山下、お前も釣れよ」

「自分、船、弱いっス」

青白い顔でぐったりする山下は震える手で×印を作り力尽きた









「いい加減起きなさいよ。いつまで寝てるの」

「ふぇ?」

目の前に覗き込む深娜の顔が飛び込む。あれ?寝てたか

「ホント見れば見るほど生まれた性別が間違ってるんじゃないかと思うわ。見る?」

携帯の写メにはあどけない寝顔の女の子らしき人物、悲しきかな俺が写っている

「遠回しに喧嘩売ってるなら買うぞコノヤロウ」

「それくらい流しなさいよ。ほら、そろそろ戻りましょ」

「あーなんかスッキリした。南国効果かね」

「知らないわよ」

深娜と並んでコテージへ戻る。帰って早速やることは今日の夕飯の仕込み。まぁ仕込みなんていってもそこまで手の込んだ料理が出来るわけでもないからお手軽クッキングで。今日のメインは『牛ロースステーキと新玉ねぎのコンポート』でも作りましょうか。鼻歌混じりに材料を揃えているといつの間にか背後に深娜が立っていた。足音消してまで背後を取るその真意はいかに?

「何か手伝う事ある?」

「いいよ。今日の主役はのんびりしてて」

「なら命令。手伝わせなさい。じっとしててもやることが無いのよ」

命令ときましたか。なら断れんなぁまったく

「なら外で食べるから準備してもらっていいか」

「ええ。ワインとかも出しておくわよ」

さぁ早速調理開始と致しますか。玉ねぎスライスしてソテーにしてブイヨンと煮詰めてバターは余熱で混ぜて微塵切りパセリと塩コショウで味を整えてと

次はお肉っと。塩コショウで下味つけてこんがり。じょーずに焼けましたー。あとはメークインをチンしてる間に菜の花とアスパラをボイルして、メークインをカットして両面こんがり焼いてボイルしたやつも軽く焼いて最後に盛り付けすれば・・・・はい一丁上がり!

「深娜ー。準備できた?コッチはOKだけど」

「いいわよ」

皿を持って外に出ると深娜は既に座っていた。俺は皿を置きワインを見るとボトルには1960年、また年代物を持ち出したな

「ちょっと待ってろ。瓶を割ってくる」

こういった年代物のワインはコルクが脆くなっている場合が多く、いつも通り抜くとコルクの粉がワインに入ってしまう場合がある

そんな時は専用のハサミを高温で熱して瓶を挟む。暫く挟んだら水に濡らしたタオルで握り力を込めれば簡単に割れコルクも綺麗に取れるのだ

外に戻り深娜のグラスに注ぎ自分のにも注ぐ

「誕生日おめでとう」

「ありがと」

グラスを軽く合わせ煽ると深娜と目が会う

どちらとも無く笑い談笑に華を咲かせた。二人だけでこんなに楽しく食事するのも珍しい。本当に久方ぶりに楽しい食事だ









「なぁ藤阪君。アレは本当に女の子かい?」

「・・・女の子ですよ」

「じゃぁ聞くけど」

日が沈みかけた海で夕飯に箸を伸ばすクルーの人、今夜はマグロだぜい

「マグロの一本釣りする子が女の子?」

「・・・女の子です」

加弥が釣り上げたマグロは軽く70kgを超えた大物だった

「慎君、ステーキ焼けたよ。加弥ちゃんも食べるよね?」

「ちきしょうバンバン持ってこい!霞のバガァァァ!」

「ちょっ、誰だ日本酒飲ませたの!慎、君か?」

「違うぜ森下さん。加弥が勝手に飲んだんだよ」

「カスミのばーろー!」

慎が海に落ちたのはその3分後だった







さて、月も出てきて涼しい夜風が吹いてきた訳なんだか・・・

「深娜、まだ飲む?」

「勿論」

「さいですか」

空になった瓶を脇に寄せ、ホワイトラムとレモンジュース。後砂糖一杯と氷を加えてシェークシェーク。分かる人は少ないかもしれないがキューバのとある鉱山の名前がついたカクテル、『ダイキリ』の出来上がり。中甘口といったところかな?

「はいどうぞ」

「ありがと」

軽く煽り口の中で転がす深娜は月明かりでも分かるくらいには紅くなってる。酔ってるよ

「飲んだら?さっきから造ってばっかでしょ」

「貴女様が次々空けて注文するからでございまーす」

隣に腰掛けロックのままグラスを煽る。25ぐらいならロックでもいける

「久しぶりに楽しい誕生日だったわ。まさかこんな日が来るとわね」

「誰にだってあるさ。多分加弥と洸夜もせがんで来そうだし」

「霞の誕生日は?」

「お前が来た数日前」

「あら残念」

もし仮に誕生日の日に来てたとしてもあの頃の深娜なら決して祝ってはくれなかっただろうな

「霞、まだ日付変わってないから言うこと聞くのよね?」

「出来る範囲ならな」

「なら夜桜の時みたいに詠ってよ」

「いきなりだな」

あの時は酔った勢いみたいなもんだからな。今の俺じゃ流石に即興で出来ないし恥ずかしいわい

「それは勘弁。いくらなんでもハズい」

「却下」

「ひでぇなおい。ほれ飲んで寝なさいな」

「そっちも飲みなさい」

一気に飲み干すと流石に一瞬クラッときた。やべ、流石に少しは酔いが回ってきたな

深娜を盗み見ると目が半分閉じてたまに頭がカクンと落ちている

「寝そうならちゃんとベットに戻った方がいいぞ」

「・・・いい。このままでいい」

自然と俺に寄りかかると夜風に乗って香りがくすぐる。諦めた俺は深娜からグラスを取って脇に寄せる

「今日の誕生日はいかがでしたかお嬢さん」

「・・・・・」

聞こえるのは静かな寝息と草木の擦れる音。雲一つ見当たらない夜空から降り注ぐ月光に心地よく漂う潮風。寄りかかり静かに眠る深娜を見て思う


深娜は大人だ。大人になるのが早すぎた。だから少しずつでいい。少しずつ思い出を増やそう

俺がいて

加弥がいて

洸夜がいて

慎がいて

お嬢がいて

幸澤がいて



みんながいる。だからこれからも楽しい毎日を、少しでも長く、少しでも多く記憶に残そう









月夜の精よ、夜風の精よ


流れ虚ろぐ時の中を


流れ進む時の中を


阻む事無く流れる精よ


小さな幸を守りたまえ


姫の笑顔を守りたまえ


姫の道を守りたまえ


姫の心を守りたまえ


姫の眠りを守りたまえ


如何なる代価も支払おう


我の命で足りるならば


我の誇りで足りるならば




故に姫に幸せを



故に姫に幸せの涙を







気付いたら思わず呟いていた。隣からは相変わらず静かな寝息が聞こえ安堵の溜め息が溢れる

「お休み深娜。また明日も楽しいだろうさ」


そして深娜に誘われるように俺も眠りに落ちた

さ、前書きでなんかやっちゃった感一杯の出だしでしたがいかがでしたでしょうか?

まぁ何だかんだ色々書いたり新ネタ思い付いたりで気付けばきっと埋もれてしまいそうな気がします。もし、代筆としてこの作品を書いてみたいという奇特な方、いらっしゃいましたら御一報下さい。拙者よりも世に良い作品に仕上げてくれると思いますので


それではまた来月お会いしましょう


スィーユーネクスト

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