44・ハーレムorごーてゅーヘル?
霞「ごめんなさい」
作者「ごめんくさい」
霞「しゃらはぁ!」
作「あべし!何しやがるテメェ!」
霞「どんだけ更新おせーんだよ!仕事しろよ!」
作「すんませんねぇ!新ネタ考えてたら止まらなくなってさ」
霞「また新ネタかよ」
作「ほぼ全て会話のみで構成。記念すべき第一話はアニメOPみたいになります。キャラ振り付けも書くぜ」
霞「また不毛な作品を」
作「こうご期待」
霞「他の書けよ!」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・」
カリカリカリカリカリ
『・・・・・・・』
カリカリカリカリカリ
「・・・・・ぅ」
カリカリカリ
「・・・・うぅ」
カリカリ
「・・うぅぅ」
カリカリガリ
「うがぁぁぁ!」
「うぎゃぁぁ!何故に俺を殴るんでありますか!」
「霞!分かんない!」
「はい教科書」
「なにその態度!教えてよー」
「自分で調べるから頭に入るんだよ」
さあてと残り5ページって所だな。あー暑い
「霞君、アンコールワットってカンボジアにあるよね?」
「そうだよ」
カリカリカリカリカリ
「かーすーみー」
カリカリカリカリカリ
「かーすーみー」
「ダメ」
「何も言ってないよ!」
「アイスでしょ」
言い当てられてムスッとしたままペンを走らせる加弥。いかんせん走らせてるだけで芯が出ていないペンで字は書くことが出来ない
集中力もそろそろ限界か
俺はペンを置き、冷蔵庫からしっかり冷えたジュースとデザートを取り出す
「今日はこれくらいにしてジュース飲もう」
真っ先にペンを投げ捨て何故か俺に向かって突き進む加弥を避け居間にコップを運ぶ
ついでにフライングでイチゴに手を伸ばす加弥を灼熱光線降り注ぐ窓際に連行。動いたらダメだよ?
「か、霞君、加弥ちゃんが凄い勢いで無気力人間になってるよ」
「ちゃうちゃう。アレは灰人って方が近いって」
洸夜はそうかなぁみたいに首を傾げているが助ける事を忘れているようだ。慎も横から下手に入んなきゃいいのに
さっきから一切会話に参加していない深娜は涼しいクーラーポジションで涼しい顔をしながらイチゴをぱくつく
「・・・・なに」
「いえなんにも」
文句なんか言えるわけもなく加弥に近付く
「かやー。聞こえる?」
「あうぅぅ。霞が三人いるぅぅ・・・・だっこぉ」
いい具合に幼児化を始めた加弥を扇風機の前に引き摺り放置。3分もすれば治るだろ
「なぁ霞、最近淡白になってないか?前ならもっと優しく介護してたろ」
「最近学んだ。甘やかすと全て負として俺に返ってくるって」
「・・・・だな」
さ、イチゴたーべよ
きっかり3分後に復活した加弥はのろのろとソファーに座り、冷えたジュースを一気に飲み干し目に見える回復を見せた
「生き返ったあ!」
突き出す空のコップにジュースを注ぎ、暇潰しに始めた大富豪に意識を戻す
「ふはははは!さぁ平伏すがよい貧民め!」
腕を組みちっさい癖に見下ろしてくる慎は9を三枚投げる
「・・あぅ。パスで」
富豪の洸夜はなす術なくパスを宣言
「・・・・・・っち」
舌打ちした大貧民深娜は大富豪を睨む。違和感が無いのは何故だ
「さぁ貧民。どうする!私に立ち向かう気か!」
「10を四枚で革命ね」
民は武器を持ち大富豪宅を襲撃した
仕切り直しで7三枚
「ぐふぅ!」
ピンポイントで直撃した慎はその場に崩れる
「やったぁ」
嬉しそうに6を出す洸夜に続き深娜も4を三枚。深娜も結構手持ち弱いたいだな
結果として大富豪に成り上がった俺と最下層の慎。深娜は漸く貧民に昇格したが果たして喜ぶべきか
「霞ー。私も参加ー」
「ん。いいよ」
まぁ加弥も加わったし全部仕切り直しでいいか
これが悲劇の始まりだったもしれない
この時の俺にはそれを知る術はなかった。一言弁明出来るならこう言おう。悪いのは俺じゃない。加弥と夕月だ!と
「ねえ霞」
「ん?」
カードを切る手を止め加弥を見るといつの間に作ったのか数枚の折り畳まれた紙と小さな箱
「ただやるのもつまんないし大貧民は罰ゲームでもしない?適当に罰ゲーム入れといたから」
箱に紙を入れシェイクする加弥。何が怖いって加弥しか罰ゲームの内容知らないって事だよ
「加弥ちゃん。罰ゲームってどんなの書いたの?」
「ん?新聞適当に切った。私もあんま覚えてない」
あいたたた。これは非常にピンチじゃね?
慎は切り抜かれた新聞を眺めて冷や汗を流している
「かすみボーイ。不味いぜ、三面記事ザックリいってるよ」
チラッと見るとあらやだ芸能人の不倫記事ザックリいってるよ
ぜってぇ負けねぇ
順番にカードを配り手札に目を通す。大丈夫だ、ジョーカーもあるし革命も出来る
どうやら最初の犠牲者にはならなくていいみたいだ
『勝負!』
今戦いの火蓋が切っても落とされた
「ふはははは!また富豪に成り上がってくれるは!」
何気にいい手札の慎を他所にパス連続の加弥。あかん、こりゃ負けたな
「ひゃっほぅ大富豪!」
「っち」
結構大富豪は慎、富豪俺。洸夜、深娜、加弥の順に平民、貧民、大貧民
「加弥ちゃん、ど、ドンマイだよ。次頑張って」
「こうちゃ〜ん!」
泣き付く加弥を横目に罰ゲームbox発動。何が出るかな何が出るかな
【ナイススタイル!際立つ谷間】
「うわぁぁぁぁぁぁん」
うわぁ。マジ泣きだ
「これは不味いっしょ。つか加弥も何故こんな記事を」
可哀想な目でみる慎とさっさとしろと言わんばかりの深娜。仕方ない、もう一回加弥に引いてもらうか
「はい加弥。今回だけだよ。今度はマシなの引いてね」
見逃すといった考えは無い。何故なら俺にも起こりうる事だからだ
すすり泣く加弥は再度箱に手を入れ入念に吟味して引いた内容は
【魅惑のお色気】
「うわぁぁぁぁぁぁん」
あ、自覚はあったんだ
二度も引くか。余りにも此は可哀想か。深娜までもが哀れみの視線になってしまったので今回は見逃す事になった
でも加弥、君はどうしてこんな記事を切り取ってしまったの?今更ながら俺が引いてたらどうなってたか想像し身震いした
まだ涙目の加弥から無情にもカードを奪い取る慎は心底申し訳なさそうに受け取り、加弥はトレードしたカードを見てへこんだ
・・・・あのー深娜さん?カード一枚トレードするのにどうしてそんなに睨むの?る、ルールなんだから仕方ないでしょ?え?しね?酷くね貴女!たかがゲームだよ!
殺意と共にトレードし、改めて手札を確認。今回も負けはないな
「さあ愚民よ!我輩にひざまずくがいい!」
「・・・・革命」
「いいぃ!深娜ちゃんそこで何で革命なの!」
「あぅ。私パスで」
「革命返し」
深娜におもいっきしツネられいたたたたたたぁ!
「痛いって深娜!たかがゲームでなんでそんなキレるかな!」
「誰があんな罰ゲームやりたいと思うのよ!」
反論できません。俺も罰ゲームいやや
「よくやった!これで俺の負けはなくなった!」
無情にも最下位は洸夜。加弥、洸夜の前で泣いて喜ぶってどうなのさ?
「ふぇぇ。イヤだよぉ」
「洸夜」
「か、霞君?」
「さ、引こうか?」
我は今修羅なり。涙目で慎重に引いた罰ゲームの内容は・・・・・【あつあつカップル】
え?これはどうゆう罰ゲームになるのかな?
「・・・・霞君」
何故か頬を紅くして隣に座る洸夜は、俺に寄りかかり潤んだ瞳で見上げてきます
「これならあつあつカップルに見えるよね?」
これは俺にたいする罰ゲームか?理性が崩壊するぞマジで
ちょっ、お二方マジで睨んでるしいたたたたたたたたぁツネるな加弥ぁぁぁぁ!
「こうちゃ〜んもう終わりだよー。早く席に戻ろうね?てか戻れ」
初の命令にスゲーショックを受けてトボトボ席に戻る洸夜を慰める慎。尋常じゃないくらい痛い頬を撫でながら再びカードを配る
・・・・・・・さて、なんじゃこの手札。ムリムリ絶対無理
見ろ、周りの連中余裕の笑みしか無いぞ
くっ、罰ゲームこえぇ
「ひょほほほ。Q三枚防げるものならやってみよ!」
「えへへ。私K3枚出せるもんね。深娜ちゃんありがと」
「・・・・・パス」
「・・・・っち」
「えうぅ。パス」
まぁ、見事に惨敗です。何これ手札半分も残ってるよ
「かーすーみ。さぁさぁ引いてみよう」
あからさまにさっきと違う箱を突き出す加弥。横から深娜が奪い取り即開封
「何これ。加弥とアツアツカップル2時間とか」
「うわ、これすげぇ。今夜添い寝って書いてるぞ」
「かーやーちゃーん」
ま、これは無効だし仕方なく本物のカオスBOXから引くか
・・・・・・・・・
【女装】
シュパパパパパパパパ
細切れに引きちぎったゴミを灰皿に投げ捨て放火
そうだ、何かの間違いだよ。あんなものは始めから存在しないのだよ
さぁ仕切り直しだ
・・・・・・・・・
「性転換って書いてるわね」
「これは無理だろ」
「いっそ女装でいいんじゃない?」
「ならまた大川さんの服でいいのかな?」
退路は絶たれた。だが諦めてはいけない。そうだ、僕は鳥になるんだ!
「逃げるな。現実逃避してる暇無いわよ」
いやぁぁだぁぁぁぁ
見た目はたいして変わってません。ただ深娜の服を着せられ髪を結ってたゴムを取り特科研部特製変声機までやられて何か人として大切なナニかを失った気持ちです
「さ、カスミン張り切っていこー」
「・・・加弥さん」
「んー?」
「もう手加減しないから。めっためたにしてあげる♪」
うん、手加減なんていらないよね?いらないよね
極上のスマイルと共に一瞬山札に目を通す
覚えたか雫?
もっちろん
ならシャッフル頼む
了解♪
一瞬視界を失い覚醒すると既にカードの配布は終わり手札には最強の組み合わせが揃っている
「さ、始めようか?」
地獄に出発だ♪
洸夜に手札を二枚渡し周りの様子を伺う
最初の生け贄はやはり慎になってもらおう。どうだ?8以下の数字で固められた手札は
無論慎は惨敗。見事大富豪に成り上がった俺は優雅に勝利の美酒を口に運ぶ
「くそぉ。あからさまな敵意の感じる手札だったぞちきしょう」
「さぁ罰ゲームいってみようか慎くん」
「かかってこいや!」
【ランニング】
「しねってか!この炎天下走れって」
「わーい。町内一周いってみよー」
「いやや!これ死ぬってマジかんべぶほぉっ」
玄関から蹴りだし施錠
さ、走れ走れ
10分という速さで走りきった慎は空気漏れのような細い呼吸で玄関に倒れ無事一命をとりとめた
さぁ次は誰を落ちるのかなぁー。大富豪だしもうイカサマはいらないからな
適当に切り分け再開。慎は1.5のペットボトルを飲み干し痙攣気味にカードを渡してきた
ジョーカーとはいいねぇ
さぁついにきたか深娜よ。とうとう生け贄に選ばれたか
「うわぁ。深娜ちゃんどの罰ゲームやってもシャレにならないんじゃない?」
「お、大川さん、怒っちゃダメだよ?」
「・・・・・早くよこしなさい」
躊躇なく箱に手を入れ掴み取った罰ゲームの内容を見て固まる深娜
横から覗いて・・・・・・・・いや、これはまた酷な罰ゲームじゃね?
「カスミ、何て書いてたの?深娜ちゃんメッさ固まってるけど」
「・・・・一発芸」
「うわぁ。これキッツい。特に深娜ちゃんがやる辺りが」
「深娜殿・・ファイト」
しかし深娜の一発芸。まったく想像できん
すると深娜は覚悟を決めたのかゆっくり立ち上がり何故か俺の襟を掴み立たせた。や、なんか身の危険を感じる
「霞、力を抜いときなさい。怪我するわよ」
「なにその一発芸!」
目付きが鋭くなり逃げ場を失った俺は観念した
「コウちゃん、見た目は年上のイジメッコと後輩って感じだね」
「霞君女装中だもんね」
「写メ撮っとこ」
テメェら言い過ぎだと言いたかったか突然の浮遊感。気付くと深娜が180゜回って逆さまに見え床に叩き付けられた。脱力意味ねぇーじゃん
「す、すごぉい!どうやったの深娜ちゃん!」
「合気の一種よ。そう簡単に出来る技じゃ無いし無闇にヤらない方がいいわよ」
ヤるは殺の字が収まるのだろうか。次も負ければいいのにと心で叫び、再びカードを配りはじめた
「うわぁ深娜ちゃん二連敗。次はなんだろ」
「私大川さんのダンスとか見てみたい」
「加弥っち、阿波おどりとか切り抜いてないのか?」
「確かあったよ」
「じゃそれに一票」
おうおう好き放題言ってるな勝者組。当の深娜は己の手札を投げ捨て親の仇みたいな眼差しで罰ゲームBoxを見ている
「引くのだ。さぁさぁ引くのだ。阿波おどりとか引いとけ」
お忘れの方もいると思いますが俺は未だに女装中です。見た目はいじめられっ子の逆襲だろ
恐る恐るといった感じで手を入れた深娜は吟味に吟味を重ねて引いた紙。内容を見た深娜は速攻でシュパパパパパパパパ
「何よ今の!一発ギャグとかするわけないじゃない!」
「深娜ちゃん引いたの一発ギャグなんだぁ。私引かなくてよかったぁ」
「わ、私も。何も思い付かないし恥ずかしいよ」
「布団が吹っ飛んだ!は定番かつ無視の対象だろうな」
墓穴を掘ったな深娜嬢。さぁいってみよう初公開、321きゅー
「・と・・ふっ・・・」
『はい?(注・全員聞こえています』
「・とん・ふっ・・だ」
『はい?(笑』
「布団が吹っ飛んだ!これで満足したかしら!」
「なんで逆ギレして俺殴るかな!めちゃくちゃイテェーぞ!」
「うるさいわよ!なんでこんな事しなきゃならないのよ!」
「罰ゲームだからだよ!負けたでしょうが!」
「うるさい!」
「だから何で叩く!」
「うるさい!」
暴走モードに突入した深娜は何処からともなくひっぱり出した槌を振り回し俺は全力で逃げる。テメェラ止めろよ!
「また深娜ちゃん霞と遊んで・・・ズルい」
「いやアレって遊んでるのか?一方的な狩りじゃね?」
「でも霞君独り占めしてるもん。羨ましいな」
「いやアレはどうなんだろうな?」
結局二発程ボディーに頂き鎮静した深娜は二度と負けるかと呟きカードを配る。そんな嫌なら辞めればいいのに
まぁ深娜の鬼気迫る迫力の賜物か二度と負ける事は無く、三人組の独壇場となった
例えば慎が『情熱的な阿波おどり』を引き、あらえっさっさ!あらえっさっさ!と頭の上で手をヒラヒラさせながら狂ったように踊ったり洸夜が『演歌』を引いて可愛い声で与作のサビだけ歌ったり加弥が『shangrila』って引いて意味を教えたとたん俺の膝の上に座って極上の笑みになって何故か深娜に殴られたり。ちなみにshangrilaは理想境って意味。だからってこれは無いよ加弥
他にも抱擁を引いた洸夜が加弥と深娜の鋭い眼光に負けて何故か深娜に抱きついたり慎が裸って引いたとたん総出でフルボッコされたり色々あった
もう色々としか言いようが無い。追求しないで
そしてラストバトル
「こ、これがラストね」
箱を振るとカサカサと一枚だけの紙が転がる音をだす
「色々あったよね」
洸夜は何処か遠くを見ている。そりゃ皆の前でエアロビもどきやったら少々キツいよな
「ねぇ、俺着替えちゃだめか。つかなんでこんなのあったの?」
うるさいなぁガチャピン。赤い毛むくじゃらがいないからって絡むなよ
「早く終わりにして課題終わらせたいんだけど」
一発ギャグの壁を乗り越えた深娜は一回り成長したのかもしれないね
「それでは・・・・ラストバトル、参ります」
これはイカサマ抜きの真剣勝負。神よ、我に奇跡を!つか負けたくない
我、カードに寵愛されし者なり!
「っしゃぁぁ!一抜けだぁ(注・変声中)
俺は勝った。全ての負を斬り捨て勝利を勝ち取った!
解放された俺は早々と抜けソファーに寝そべり寛ぐ。ふっ、勝利の美酒は格別だな
勝負は決した。負けたのは悲しいかな加弥嬢。最後の最後に深娜の隠し持っていたAの前に破れてしまった
「いやだぁぁぁ。また変なの書いてるよ!」
「だがそれ切ったの加弥じゃん。諦めて引きなって」
慎に諭されびくびくしながら最後の一枚を広げた
【夜這い】
「よっしゃぁぁぁぁ!」
ガッツポーズする加弥は標的をロックオンし、猫科の動物のように飛び掛かって来たが二名に引き摺られていったのは言うまでもない
そしてその夜。寝息の他に音も無く静寂に包まれた空間
モノアイに光が灯り周囲を索敵。ゆっくりとした稼働音を響かせ立ち上がる戦士
加弥、大地に立つ
寝室を抜け二階へと歩みを進め目的の部屋の前に立つ。ノブに手を掛け捻るが施錠されている
しかし今の加弥のエネルギーゲージは通常の三倍あり鈍い音と共に解除
開け放たれた扉を越え室内に踏み込む加弥はベッドに目標を確認した
野崎霞17歳。今貞操に危機が迫っているなど知る術も無く、呑気に寝息をたてていた
一歩、また一歩近づく加弥は霞が羽織っている薄いシーツを持ち上げ素早く忍び込む
物凄い勢いで深呼吸してエネルギーチャージ。ボルテージはMAX。体調万全。オールグリーン。オールグリーン。オールグリーン!
そーっと視線をあげれば無防備な寝顔の霞
頭から蒸気がでそうな程真っ赤になる加弥はそっと頬に触れる
「ん・・・・」
身動ぎする霞は体を曲げ、加弥の顔スレスレまで近づき再び眠りにつく
加弥はといえば目を見開き真一文字の口、熟れたトマトより真っ赤になって硬直している
こうして野崎霞の貞操の危機は杞憂に終わった
※6時間後※
一睡もしてない加弥は未だにピクリとも動かず固まったまま朝を迎えた。6時間もの間何一つ手を出さなかったのは、理性が勝ったのかただヘタレだったのは誰にも分からない
そして悲劇は始まった
いつもの様に目覚めた深娜はなんとなく、隣の部屋を覗いた。普通なら加弥と洸夜が寝ているのだが加弥がいない。最初はトイレかと思ったが、加弥がこんなに早く起きた事は一度も無いことに気付きハッと視線を二階に向けた。足音も無く三段跳びで駆け上がりドアノブに手を駆け愕然とする。いつもされている鍵が外れている
その時の深娜を誰かが見ていたなら後世にこう言い伝えられていたろう
破流魔牙貪と
「な、何やってるの!」
深娜の魂の咆哮に反応した加弥は隈のある目で深娜を捉えまた硬直した
「大甼加弥さん、何をしてるか分かってるわよね?」
何故かフルネームで呼び、ゆらりと闘気をたぎらせ一歩一歩近付く深娜に本能的な恐怖を感じた加弥は思わず霞に助けを求めようと顔を合わせた
霞は夢の中、ほのかにいい匂いのする猫を抱き締めるため腕を伸ばし、ふわふわもこもこの体に顔を埋めようとしていた
ちぃう
そして時は動き出す
深娜二度目の魂の咆哮は野崎邸の隅から隅まで響き渡り全員が飛び起きた
約二名ピクリとも動く気配はなかった
居間に正座させられ裁判が始まった
野崎霞は腹部を抑え本気で苦しそうにしている。あの時咆哮と同時に飛び蹴り。ベッドから突き落とした霞に追い討ちを掛けるようにスタンプの嵐を見舞っていたのだ
加弥はというと完全に魂がバルハラに旅立ったいるのでソファーでぐったりしている
「で、刺されるのと引き千切られるのと引き摺り回されるのとどれがいい?」
「いや・・・・なんつうか、すいません・・・・・ほんと勘弁して・・・下さい」
慎にやんわり包丁を取り上げられた洸夜はまた何処から取り出したのか深娜印の木槌を握りしめていた
「霞くん、人って何回までなら耐えられるのかな?」
何を?とは聞けない霞は産まれたばかりの子羊の様にプルプル震えている
「ってか・・・・俺何したの?気付いたら深娜に踏まれてここに叩き付けられたけどさ」
『・・・・・・・』
双方言葉に詰まり何故か慎を睨む。睨まれた慎は産まれた子羊の様にプルプル震えている
(ふ、お困りの様だなブラザー)
帰れ
(ちょっ、酷くね!お前加弥っちにキスしといて何逃げるつもりだ)
なに。ば、バカな、そんな事が・・・だから俺いま滅殺されそうなのか
(ふ、ようやく己の立場を理解したかブラザー)
これは・・・受け入れねばならないのか
(まぁ待て、取り敢えず早まるな。もしかしたら一人は封じる事が出来るぞ)
本当か!
(ふっ、俺を誰だと思っている。だから今から入れ替わるぞ)
頼む。まだ死にたくない
そして夕月の策略に溺れる霞であった
「つう訳で俺降臨」
その一言で臨戦体勢入った深娜は慎が取り上げてた包丁を構え身を低くしている
「おうおう深娜っち、殺る気マンマンだな」
「アンタ最近簡単に入れ替わるわね」
「そりゃーアレだ。漫画でもある様なシンクロ率みたいなもんがいい具合に重なってだな」
「・・・・話す気無いでしょ」
「まぁね。雫ぐらいしか分からねーんだよ」
やれやれといった感じなリアクションをする夕月は当たり前の様に洸夜に近付き当たり前の様に唇を重ねた
「は?」
唖然とする深娜を他所に洸夜は洸夜で愕然とした様子でされるがままだ
「!!!!!!!」
更に眼を見開き驚愕の表情に変わった洸夜は完全に脱力しずるずると床にノビた
「ふっふっふー。コウちゃんディープキスGETだぜ!」
してやったりの満足気な表情で咆哮する夕月は、深娜に向かって手をシュタっと構えてその場に倒れた
後に野崎邸の怪として、唯一正常であった藤阪慎により語り継がれたかどうかは定かではない
だが藤阪慎は一言だけ語ってくれた
「羨まし過ぎんだよコンチキショォォォォォォォォォォォォ!!」
彼の魂の咆哮は枯れる事無く叫ばれ続けている
加弥「加弥と!」
洸夜「洸夜の!」
加・洸『テレフォンショッキング!』
加「今回のゲストはこの人!」
洸「・・・・・あれ?いないよ?」
加「うそぉ!・・・・あれ、本当だ」
洸「すいませーん。ゲストさんまだですかー」
加「え?渋滞だからあと一時間つないで??」
洸「えぇ!無理ですよ!私たちプロじゃないですから」
加「え!いきなり巻いてってそんな!えーっと・・・・」
加・洸『風邪に負けるな!テレフォンショッキングでしたぁ!』