41・pure heart hunter Kasumi ぷらすあるふぁ
作者―お!ひ!さ!
霞―うぜぇ
作者―うぜぇとか言うなよ。泣きたくなる
お嬢―作者さん。御願いですので舌を噛み千切って下さいませんか?
作者―こわっ!
深娜―・・・・・・
作者―無言で鈍器構えるのはどうかどほぉぉぉ
深娜―しね、しね、しね、しね、しね、しね
作者―本編よ始まれ!
・・・・・・・・・
爽やかな朝日
心地よい風
小鳥は囀ずり総出で朝のモーニングコールを始めています。ええ、誠意は伝わってきますけど今日はもう少し遅めのコールがよかったよいやマジで
お嬢親衛隊の皆様方は俺の横に交互に並び、皺一つ無いパリッパリの正装(彼等の場合は執事服とメイド服)に身を包み、手には統一された騎士剣が握られています
何故皆様は俺の上でブレードアーチを作るんですか?カリオストロみたいで見た目は良いんですけど縛られて棺に入れられたままだとただの死刑5秒前にしか見えません
僕は無実です
「御客人。貴方様は大変重い罪を犯しました。満場一致で極刑が下される程の重罪です」
はて、俺は確か部屋で夕月と話してる最中にそのまま寝た筈だが
「貴方様は何故御嬢様の御部屋にて御休みになられていたのですか?」
・・・・・なに?
「あろうことか御嬢様のシーツを羽織ってなど」
おいおいちょっと待て
「例え先輩の御友人で有ろうと見過ごす事は出来ません」
おーい話を聞いてー
「全員、構え!」
流れる動作で剣を反転、まさに串刺しの構え
「俺は無実だ!それは雫の仕業だ!」
「皆、私情を挟むな。我々は断腸の想いで彼を刺さねばならない」
「やめれ!」
全員眼に意思が宿っておりません。まさに剣を振り下ろすだけのロボットの様だ。死ぬな俺
「貴方達。朝から総出で訓練なんて珍しいわね。剣術嫌いの佐田まで居るなんて」
あれ、ここで深娜の登場不味くね?非常に不味くね?皆さん一斉に構えを解き深く一礼する
「おはよう御座います先輩。今日はお早いお目覚めで」
「霞の叫び声で起きたのよ。いったい何事なの」
「俺は無実だ!恐らく雫がまた暴走したんだ!」
「全員構え!」
ジャキン
「結局これか!」
深娜はヒョロッとした男から剣を奪い棺の中に向ける。そこは駄目です眼球です
「御嬢様絡みなのは一目瞭然ね。死んで償いなさい」
「イヤイヤマテマテ。俺と雫は完全に独立してるから俺は一切記憶無いし。法的に見ても罰せられはせんぞ」
「私刑よ」
「結局か!」
親父様お袋様。先立つ不幸許したもうなかれ
「朝から騒がしいわね」
鈴の音をも凌駕する美しい声は屋敷二階の菊池お嬢様のお部屋から響きます。朝の日を浴び輝く金髪を靡かせ天使の様なお嬢様が顔を覗かせています(注・美化しております。本心かは定かでは御座いません)
「御嬢様。霞に・・・いえ、雫に何かされませんでしたか」
お嬢はピタリと止まり、慌てたように首を振る
「無いわ!ななななにも無いわよ!」
「全員構え!これより公開処刑を始める!」
「深娜!お嬢の話聞けよ!無い言っとるがな!」
「貴方達止めなさい!霞には聞かなきゃいけない事があるのよ!」
まさに危機一髪。お嬢。今ならお前を心底褒め称えてやりたいよ
「し、しかし御嬢様」
「いいから。霞を私の部屋に通しなさい。誰も近付かないように」
お嬢はそう言い残して姿を消し、残された皆様は一斉に俺を睨む
俺は無実だ
程無く部屋にやって来たのだがお嬢の手には貴族には余り似合わないスタンガンが握られていた
「これはあくまで護身用よ。昨晩みたいな事があったら・・・・その・・・・・」
ほんっと信用ねえな中の二人組
「で、用事はなんだ。あいにく雫については俺にも分からんからな」
「その雫さん、お父様の事を知っているみたいなの。殺した人間もなにもかも。何者なの」
「俺が分かるのは雫自体全くの別人、かつ俺と夕月、その他諸々の事を知り尽くしている。俺以上に俺を知っている。無論ゼオンについてもだ」
「!!何なの。ゼオンっていったい何なんですの!」
「分からん。時が来るまで雫から与えられた情報は全て知らない事になっている。勿論夕月もだ」
お嬢は落胆してベットに腰掛けると此方を睨んでくる
「何故貴方が選ばれたのかしらね。お父様が残した記録から無造作に選ばれた筈が・・・・まるで貴方でなければ解けない気がしますわ」
買い被られても困るがあえて何も言わず天井を眺める。雫は今のところ何の反応も無い。当分会話は出来ないだろうな
「仕方ありません。雫さんの事は一時保留にしましょう。それより朝食は済ませまして?ご一緒にいかがかしら」
「喜んで」
取り敢えず飯だな
朝からまぁ豪華な食材が並んで。あらあらいいんすかキャビアこんな山盛りで。あらあらまぁまぁどう考えてもこのお肉朝食に出すようなお肉じゃないよ。メインディッシュの最高級品だよ
「あら?どうぞ御遠慮なさらず召し上がって下さい。料理長も貴方の意見を聞きたがってますのよ。それともお口に合わないかしら」
「いや美味すぎる。俺でもここまで食材の良さを引き出す事は出来んさ」
いやはや流石菊池お嬢様といった所だ
「あ〜それから深娜、構えを解け。ヒジョーーーに場の雰囲気にミスマッチだ。うん怖い」
「はぁ。深娜、貴女が心配する様な事は何も無いわ。そんなに心配しなくてもよくてよ?」
「・・・・宜しいのですか御嬢様」
「ええ。寧ろ霞が来てくれたお陰で大変有意義な情報も得られましたし」
「・・・・分かりました。御嬢様がそう仰るなら」
深娜は一歩下がり直立姿勢で待機している。周りの親衛隊も然り気無く懐から手を離す
お前等何をぶっぱなすつもりだったんだ
「それから・・・・」
お嬢は眼を細め皆を一瞥し、ボソッと呟く
「彼は大事なお客様ですの。粗相の無いよう」
粗相の辺りにやたら力を込めて呟いたお陰で俺の命は保証されたらしい。皆さん冷や汗を流しながらガッチガチに固まった
そんな中唯一何時もと変わらない幸澤はお嬢のカップに紅茶を注ぎ軽く手を叩く
「ほら皆さん。何時までも固まって無いで仕事に取り掛かって下さい。ここは私が引き受けますから」
幸澤の言葉に素直に従う親衛隊は素早く部屋を後にした
残された俺はやたら高級であろうコーヒーを飲み、深娜はガッチガチに固まりながら直立姿勢。お嬢と幸澤は今日の打ち合わせを始めている
そういや今頃朝のHRだな
「・・・・・かーすーみー。ひまぁぁ。早く帰ってきてぇぇ」
「はは。寂しいのは分かるがはよ宿題出そうぜ」
「霞君、今何してるかなぁ。大川さんも居るしお嬢さんも居るし・・・・・・」
「うぉーい。現実に眼を向けんしゃーい。貴女も宿題出そうぜ」
「藤阪!お前が率先して宿題出さんかい!先週から滞納してるぞ!」
「先生!何故俺だけ責めるっすか!」
「二人は可愛いからだ!文句有るか!」
「成績の為にも反論は微塵も御座いません!」
平和な朝だ
「・・・・・・でだ」
パチン
「・・・・・・・何」
パチン
「1!2!3!4!5!6!7!8!9!10!ーー……」
「・・・・・何だアレ」
パチン
「・・・・・Dセット」
パチン
「41!42!43!44!45!ーー……」
「あー・・・・鬼か?」
パチン
「ふぅ・・・・・・・」パチン
「ななじゅうに・・・ななじゅうさん・・・ななじゅうしぃぃ!……」
山下は軽装でひたすら腕立てをしている。その背には決して小柄とは言えない背丈の女性が座っている。深娜が言ってた紗智とやらだろうか
「山下・・・・ペースダウン。オーケー?」
「りょぉぉ・・・・かい!はちじゅうななぁ!はちじゅうはちぃぃ!はちじゅーー……」
背中に洸夜背負って腕立てってとこか。俺なら昇天だな
「あ、王手ね」
パチン
「・・・・・・・・」
「山下・・・・スクワット100。オーケー?」
「き・・・・休憩・・・・・希望っす」
「・・・・・・5分。オーケー?」
「おぉ・・・けいぃ」
仲良きかな仲良きかな
「霞・・・・・・ま」
「待った無しね」
「・・・・・・・」
ビックバン
飛び散った駒を広い集め改めて周りを見渡すとあちこちで庭師やら補修点検を勤しむ人やら忙しなく歩き回っている
「平日休むってのもいいなー。今頃あいつら授業中だろうし」
いつの間にか用意されてたお茶を飲みながら慎にイタ電
ぷるるるる。ぷるるるる
「もしもし。元気?」
『おう。どうだったよ誕生日会は』
「まあ良いもんだった。また雫が暴走したけど」
『あぁーこのパターンだとお嬢様が生け贄か?』
「うん。朝に深娜他数名に殺され掛けた」
『いやー怖い怖い』
「つか授業中にこんな長電話いいのか?」
『ん?先生ならめのま…………ごふ』
ぶつ・・・つー。つー。つー。つー。
よし。スッキリした
お嬢部屋にて
お嬢は書類の束に軽く目を通し幸澤に手渡す
「問題ないわね。このまま継続して作業を続けなさい。それと此は雫さんのヒントよ。何処まで知っているのかは知らないけれど信じてもいいと思うわ」
幸澤は雫のヒントに目を通し待機している深娜に手渡す
「此方は直ぐに解読に回します。それとオメガより伝達が御座います。『暁の果てに牙』との事です」
「そう。でも構わないわ。あの程度でしたら私が手を下さなくとも」
お嬢は書類数枚に判を押し幸澤に手渡す。そのまま何気無く外に目を向けると、そこには縦横無尽に走り回る霞と部下の姿が飛び込んできた
「・・・・・・・」
片や笑いながら人間離れした跳躍で飛び回る男、片や何処から持ち出したのか青竜刀を振りかざす小柄な少女筆頭の武道派集団。今ここに因縁の第二ラウンドのコングが鳴り響いた
時は遡る
11時を過ぎそろそろお昼時が迫る今日この頃
野崎霞君は危機に直面していた。目の前に立つのは深娜に異様なスキンシップをしてた小柄な少女
あの『お姉様!』と叫んでたあの子だ
「あぁ・・・・・その、なんだ。何か様か?」
「五月蝿いです喧しいです土に帰れです」
深娜に引けを取らない毒舌だ。要は死ねというか
「俺は君に殺される様な事をした覚えは無いぞ」
「五月蝿いです。お姉様と同棲してる時点で万死です。お姉様の肌は私のモノです」
聞こえ様によっちゃR指定なのだがここは好意的に解釈しよう
「いやしかし同棲する様計らったのは他ならぬ君達のお嬢だ。文句があるならお嬢にしてくれ」
「お嬢様は絶対です。だからお前に文句言ってるです。何で産まれて来たですか」
「存在否定かよ。いい加減しばくぞ」
「貴女みたいな平凡で貧相な女には負けないですまな板」
「よーしよし良く分かった本気でしばく」
ガクンと急に頭を下げる霞君。夕月の降臨です。敗色濃厚ですねちっさい子
「つうわけで俺参上。しかし俺はロリにはあんま興味ねーんだよな。やっぱボンキュッボンだろ」
「帰れです。この百合」
本当に自分の事棚に上げてますね
「何言ってんだこのお子様。俺は男だ。霞はまぁ仕方ねーけど俺はどうみても男だろ」
「お・・・・男と・・・・・・同棲」
おやおや物凄いショックを受けた様です。地に手を着き愕然としていらっしゃる様です。さあここが勝機と追撃
「霞は美味しい所頂いてるぞ。うんうん羨まし限りだ。抱き着かれたり手料理作ってもらったり」
「お姉様の手料理!!なんて羨ましいです!やはり万死です」
「あと胸揉んでキスしちゃって。いや何か言ってる俺がムカついて来たな。所持って行きすぎだろ彼奴」
「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ちっさい子等々大激怒で我を忘れてしまった様です。しかし敗色濃厚に変わりは無いのです
「きるキル切る斬る伐るkill!!!」
地を強く踏みつけるとパカッと芝が開き青竜刀が飛び出して来ました
「天誅!!」
小さな体格に不釣り合いな青竜刀を意図も容易く振り回すちっさい子
しかし嘲笑う様に紙一重で避ける夕月は、一瞬で間合いを詰め刀を握る手を外に捻りながら足を払う。簡単に宙を舞うちっさい子は一瞬何が起きたのか理解出来ていない
「結局の所お前等は何時まで経っても俺を止める事は出来ねえ。例え何人揃えようが埋まらねぇ決定的な溝がある」
夕月君は目の前を舞うちっさい子の背に足を添え落下衝撃を全て吸収し、ボールでも乗せてるかの様にバランスを取っている。固まったままのちっさい子と視線が合う
「自分に何が出来て何が出来ないか。経験ってのは結局そこに行き着くまでの過程に過ぎないんだよ」
ボールを優しく蹴る様に宙高く跳ね上げる。ちっさい子は慌ててバランスを取り、受け身を取って衝撃を拡散させる
「鬼ごっこの時間だ。タイムリミットは俺がお嬢の部屋に行くまで。駄目ならお嬢と深娜っちにちゅうしてやる」
そう言うなり笑いながら駆け出す夕月君。そして再び憤怒に駆り立てられたちびっこと群がる様に湧き出てきた親衛隊との鬼ごっこが始まった
しかしそれはもう過去の出来事。庭で悶絶する親衛隊と悔し涙を流しお嬢の部屋を睨み付けるちっさい子
考えろ考えろ。何が出来て何が出来ないか
「よし。つうわけでちゅうするか」
「はぃ!」
「はぁ!」
「ははは」
「幸澤!笑っていないで今すぐ夕月を摘まみ出しなさい!」
「夕月!今すぐ出てきなさい!御嬢様に指一本触れる事は許さないわよ」
「わはははははは!お嬢は頂いた!また会おうアケチ君!」
「いやぁぁぁぁ!」
ツッコム暇があれば逃げればいいのにな
お嬢をお姫様だっこして屋敷を疾走。ジタバタ暴れるお嬢はほっぺにちゅうして黙らせる
うわ即行ゆでダコになったよ。無駄にピュアだよなお嬢。その辺コウちゃんにそっくりだ
さてさてお嬢が黙った事だし深娜っち脅迫するか
[ここからは菊地邸監視カメラより音声のみ御送り致します。画像、仕草に関しましては御想像に御任せ致します]
「そこで止まれ深娜っち。お嬢にちゅうするぞ」
「もうされたわよ」
「御嬢様!くっ、夕月!今すぐ御嬢様を離しなさい!」
「だが断る!」
「本気で殴るわよ!」
「どっからそれ持ち出した!つか殴るじゃ利かねーだろ」
「血だるまになりたくなかったら御嬢様を渡しなさい」
「そんな事言うとお嬢にちゅうより凄いのするぞ!雫並にするぞ!」
「・・・もう許して・・・・・お願い」
「何が目的なの!御嬢様にこれ以上近づかないで!」
「ならば深娜っち、俺にちゅうして。霞ばっかいい思いしやがってこんな時くらいいい思いしたいわけだ」
「深娜・・・・もういいのよ・・・・・私が我慢すれば・・・・・グス」
「御嬢様!!」
「さあさあさあ!どうする深娜っち」
「・・・・・約束は守るんでしょうね」
「無論。女との約束は死んでも守る」
「・・・・・いいわ。だから御嬢様を離しなさい」
「ほいさ」
「・・・・・深娜・・・本当にいいんですの?」
「御嬢様の身には変えられません」
「それじゃほっぺにでいいからヨロシク!そろそろ霞が暴れるから」
「くっ、・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「ひゃっほぉぉい!サンキューみなぶほぉっ!」
「死ね!死ね!死ね!死ね!お姉様に代わって殺して殺るです!」
「テメェどっから湧き出た!いきなり来たよなおい!」
「私に今出来るのは不意討ちです!お姉様をお救い出来ないのが腹立たしいですが貴方を殺して償うです!」
「カンナ止めなさい!」
「こなくそ!限界か。霞、後は任せた!」
[これより通常モードに移行します]
暗いトンネルを抜けると、そこには可愛らし拳か唸りを上げて迫っていた
刹那の判断。右頬を掠めた拳を掴み、引き上げる様に体勢を崩して足払い。その場で反転するカンナを両手でしっかりキャッチ
「あっぶねー。何とかなったブハッ!」
下からまさかのアッパー。テメェあのまま叩き突けた方よかったか?
「離せです離せです!こんな屈辱な格好最悪です!」
こちとら殴られてはたまったもんではない。直ぐ様カンナを離し距離を取る。夕月の様に出来ない以上口で戦うしかない。まあ暴力には屈しざるえないのだが
「カンナとやら。夕月の暴走はすまなかった。しかしそちらにも過失はあった筈だ」
「五月蝿いです喧しいです土に帰れです」
「聞く耳持たんかこのチビジャリが。ならお前の秘密をこの場でバラすぞ」
一瞬この場に居る全員が動きを止めた。最初に口を開いたのは深娜だった
「その情報源は・・・・まさかとは思うけど」
「想像通り雫だ。無論条件を満たさない限り絶対無理だがな」
「いやあぁぁぁぁ!」
突然お嬢が自分を抱き締めその場に蹲った。
「いやぁ。やめてぇ・・・・何でそんな事知って――………」
まるで取り憑かれた様に呟くお嬢。恐らく昨夜の出来事が蘇ったのだろう。お嬢の前では雫ワードは今後タブーだな
「・・・・カンナ、悪い事は言わないわ。雫を敵に回すのだけは避けなさい」
「でも私にはそんな秘密はないです!大丈夫です!」
「お前の部屋のタンス上から二段目の奥にある小箱の中身―――」
「うにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
カンナに胸ぐらを掴まれ廊下の角まで追いやられた。そのままヘットロックを極められやたら小声で怒鳴り散らす
「何で知ってるですか!誰にも知られてないのに何で知ってるですか部屋に侵入したんですか!」
「雫の提供だ」
「中身知ってるですか!知ってたら抹消して私も死ぬです!!」
「そこまでは引き出せんから安心しろ。まあ多分深娜の写真かなんかだろ。若しくは―――」
「言わないでです!私が悪かったです!もう逆らわないです!」
見た目相応に大人しくなったカンナを従え皆の元に戻る。何故だろ。周りの視線が痛い。御免なさい悪の根源は中の二人です僕は無実です
帰りの飛行機。担架に乗せられ固定されてるので外の景色は見えません。深娜は先程なら黙り込んで睨んでます。これでもかって程睨んでます。睨んでるからってはち切れる訳では無いがムズムズするので止めて頂きたい
「・・・みーなーさん」
「死ね」
会話になりません。呪詛の塊をぶつけられて終わりです
一旦会話を打ち切り痛み止の錠剤を飲みます。あいつらに手加減の文字は欠片も見つかりませんでした。何れ完全勝利を突き付けてやると心に誓い再度深娜に視線を向ける
「霞、ここから突き落とされたくなかったら今は黙ってなさい」
「ごめんなさい」
勝てねーよやっぱこの人には。やっぱ夕月のキス要求かお嬢の心の傷が最大の要因だな。視線を天井に向けボソッと呟く
「やっぱ夕月のキスは嫌だったかなぁ・・・」
「ふん。まさか嫉妬でもしてるのかしら?」
マジで怖いです。底冷えする程冷ややかな声です。下手に返せばマジで突き落とされるだろう
「うん。羨ましいしもう二度と夕月にはさせたくないな」
ここは確実に相手を優位に立たせ此方を見下す様な立ち位置を築くしかないな。さあ後は罵詈雑言を待つだけだ
何かこんなのに耐性ついたら嫌だなぁ
「はぁ!・・・・いや・・・・・・・えぇ!」
何かものスッゴい錯乱してるんだけどこの人
真っ赤な顔で近くにあったケースを豪速球で投げてきた。見当違いの方向にぶつかったが現状は所詮喋る的の俺と危険球を投げる深娜の構図は崩れることは無い
もう少しでベルト外れるけど持つかな俺の魂
「ふふふふざけた事言わないでよ!落とすわよ!!」
「ちょっとマジ勘弁!それマジの開閉レバーだから!」
俺の涙ながらの訴えが通じたのか、大分落ち着いた深娜は担架のベルトを外して隣に腰掛けた
「えーっと、本当にふざけた戯言抜かしてすいませんした」
「二度目は無いと思いなさい。ホントなんて事言うのよ。冗談でも質が悪いわよ」
「いやまぁ二度と夕月にさせないのはマジです。後雫も」
残念ながら雫は制御出来ないので周りに全力で止めて頂きたい
「はぁ。疲れるわ本当に。御嬢様を御祝いする筈だったのに逆に御迷惑掛けたんじゃないかしら」
ごめんなさい。全部中の二人の責任です。つまり保護者の俺の責任です
「霞、勿論分かってるわよね?何を言いたいか」
「夏休みっすか」
「分かればいいのよ」
俺の夏休みはすでに予定で埋まってしまった。はぁ。まぁ仕方ないか
「それはそうとちょっと聞きたいことが」
「何?」
「屋敷で働いてた頃何か妙な視線とか感じなかった?」
「何で知ってるの」
「・・・・後下着とが無くなった事無い?」
「・・・・・何で知ってるのよ。雫が言ってた」
「いや、マジでただの勘。ついでに犯人も何となく・・・・・」
「誰。その男見つけ出して生きてる事後悔させなきゃいけたいんだけど」
「・・・・・・・」
二人を乗せた飛行機は空港へと向かっていった
「くしゅん。あの男女噂でもしてるですか」
加弥「加弥と!」
洸夜「洸夜の!」
加・洸『テレフォンショッキング!』
加弥「今回のお客様はこの人!」
美鈴「こんにちわ」
洸夜「久しぶりだね美鈴ちゃん。元気?」
美鈴「うん。元気なの。毎日牛乳飲んでるの」
加弥「でもアレに勝つのは難しくない・・・・何か言ってて自分が悲しくなってきた」
洸夜「か、加弥ちゃん、元気出して!」
美鈴「!!!お姉ちゃんと同じくらいおっきい」
洸夜「ひわぁっ!急に触っちゃだめだよ!」
加弥「美鈴ちゃん」
美鈴「加弥お姉ちゃん」
洸夜「えぇ!何で二人で迫ってくるの!指使い何かイヤらしいよ!い、いやぁぁぁあぁ!」
加弥「成長は程々に!テレフォンショッキングでした♪」
美鈴「(もみもみもみ)」