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38・僕と私のみっかせんそう《カワイイあの子はカワイイ子がお好き》

作者「どうも。成人式後の同窓会で『あれって○○だよね。おっさんくさくない?』と遠巻きに眺められて言われたウドの大木です」

霞「どうも。最近深娜の態度が初々しく思える野崎霞です」

慎「うっす。最近みっちゃんの過剰接待に疲弊気味の慎です」

作者「つうわけで霞!お前だけ良い思いしてんな〜ゴラァ!」

慎「そ〜だそ〜だ!このムッツリエロス!」

霞「知るか!」

作者「よって慎共々天罰じゃ!喰らえ!」

慎「俺関係無くね!」

ちゃらららちゃちゃちゃ〜ん



おお、慎よ目覚めましたか。神よ、彼等に神の御加護を・・・・









四時限目が始まり、皆は取り敢えずといった様子で黒板に並ぶ文字の羅列をノートに写し、面白くない教師NO1と大絶賛される国語教師の後ろ姿を眺めている者もいれば、周りと私語に励む者、はたまた机に突っ伏し爆睡する者や掃除ロッカーの前で踞り目尻に涙を浮かべふて腐れる者もいる

そんな何処にでもある学校の景色の中、今現在黒猫姫はアニマルチェンジを完了し霞、もとい雫の膝の上で静にお昼寝中である。お昼の日差しが何より眠気を誘うのでしょう。子供の特権です


「長々と駄文列べて結局何やってんのよ」

「んふふ〜。子猫ちゃん可愛〜んだもん。きゃは、ぷにぷに〜」

「ん・・・・」

頬をつつかれ軽く身を捩る子猫美鈴ちゃんは頭の位置を直し又静な寝息をたて始めた

「ん〜食べちゃいたいな〜。柔らかそ〜」


「・・・・・・・」

「いただきま〜・・・・・・・冗談だよ?」

「冗談の割に眼はマジなんだけど」

雫はえへへ〜照れ笑いをし頭を掻く

「だって可愛いの大好きなんだもん。勿論百合とかじゃないから安心してね〜。可愛い男の子も好きだから」

見た目女顔の霞がこんな問題発言をすれば間違いなくBL疑惑が校内を駆け回り、裏報道部と漫画研究会の合作で同人誌が秘密裏に出版されるのは目に見えている

目敏く耳をたてている漫画研究会の一人が物凄い速さでノートにナニかを書き始めたが深娜が知る術はなかった



「え〜それではこの行を大甼さん読んで」

「・・・・・」

「大甼さん」

「・・・・・」

「大甼さん!」

語尾を強める先生に加弥はゆっくり視線を向ける


この時擬音として『ズゴゴゴ』や『ギチチチ』等の生々しい音や機械音を思い浮かべると更にリアルになるので是非試して頂きたい

「何ですか先生」

表情の説明は省くとしよう。想像通りの顔です

「ぴっ!・・・・その、このページを読んでもらえませんか?」

「・・・今ですか?」

今そんな極上スマイルをされても恐怖以外の何物でも無い

「荒れてるわね」

「そだね〜。加弥ちゃんなんでだろ〜」

主犯はあえて事実から目を背ける気です

「でもあんな加弥ちゃんもか〜わい〜♪」

「・・・・・」

深娜は然り気無く机を離して視線を反らした


「そ・・・・それでは野崎君読んでください」

「はい」

先程とはガラリと180゜変わり何時もの霞口調でスラスラと朗読を始める雫。此が『猫を被る』なんだろう


そして見計らった様に昼を告げる鐘が鳴り、先生は誰かさんから逃げるように教室を出ていった


「美鈴ちゃん、お昼の時間だよ〜」

頬をぷにぷにつつかれ眠たげに目を擦る美鈴ちゃんは猫のように伸びをしてまずはご挨拶

「おはようおにい・・・・お姉ちゃん」

「や〜んよくできました〜うりうり〜」

全力で抱き付き頬を擦り寄せる雫ともう馴れたのか満更でもない様子の美鈴ちゃん

そして阿修羅神加弥と泣き虫洸夜は素早く駆け付け深娜は無視して一人黙々と昼食中だ












「よう佐々木。相変わらず汚い仕事っぷりだな」

「なぁっ、テメェーは豪一郎。何処から嗅ぎ付けて来た」

「ふん。若造が何寝言言っておる。あんな幼稚な計画アホでも分かるぞ」

周りのいかにもその筋の方みたいな連中は素早く懐に手を滑り込ませる

「いかんいかんな若造。こんな年寄り相手にいきなりそんな物騒な物出しちゃいかん。佐々木、教育がなっとらんな」

「うるせぇ。テメェーがそんな事抜かせる程の善人かよ。『根刮ぎ』が」


根刮ぎの言葉に構える連中がざわつく

「ほう。その名を口にするって事はわしが来た意味が分かっておるんだな?」


豪一郎の意味深な笑みに重なる様に木霊する足音。彼等を挟むように近付くのはつぐみと飛高だ


「全然ダメだね〜。弱すぎたよ。こんなか弱い乙女に負けるなんて」

つぐみは血と脂のこびり付くトンファーん遊ぶようにクルクル回しながら歩み寄る

「同感だ。佐々木と申したか。我等を相手にするなら百は集めるのだな。無論一対百だぞ」

つぐみ同様赤黒く染まる薙刀を素早く振り刃に付くモノを振り払う

佐々木は空気を求める魚の様に口を動かし硬直、部下にも恐怖は浸透し、既に統率などあったものではない

「おいおいお二人さん。わしも入れたら4は必要じゃないかな?」

上着を丁寧に脱ぎネクタイを緩め、上着の内に収められた手甲を丁寧に着ける。軽く力を込めるとシャツ越しにはち切れんばかりの肉体が表れる

「うぅ・・・うわぁぁぁ!化け物!」

恐怖に耐えきれず懐から抜く銃を無造作に乱射する男。だが豪一郎は気にする素振りも見せず優々と歩み寄る

たまに腕を軽く振り銃弾を弾くその姿には余裕しか見えない


佐々木が瞬きをすると豪一郎は視界から消え、代わりに肉が潰れ骨の砕ける音が後ろから聞こえる


振り向く事すら出来ない。振り向いた所で構えていた連中は既に肉片でしかない

恐怖しか無い

恐い

逃げたい

痛いのは嫌だ

死ぬなら楽に

苦痛は恐怖だ




だが彼は既に肉片でしかなかった。心臓を抉られても死なずに生きていられるなら別であるが










「まあそんなわけなんだ。あ、美鈴ちゃんソース付いてるよ」

「ん・・・・ありがとおねえちゃん」


「にゃあぁぁ〜。もう可愛すぎ〜」

抱き付こうとしたら加弥ちゃんソーセージ付き特製銀色フォークが空を舞う

「ぱくっ」

食べ物投げちゃ駄目だよ〜。勿体無いもん


「納得いかない!雫さん美鈴ちゃんヒイキし過ぎ!」

「そうだよ。その・・・・羨ましいな」

「・・・・・・・」

深娜ちゃん黙々食べてるよ。あ、人参然り気無く残してる。好きなの?嫌いなの?


「聞いてるの!しずくさん!」

皆誰それみたいに此方見てる。いやん恥ずかしい

「おねえちゃん・・・何でクネクネしてるの」

だって熱い視線を感じるんだもん

「雫さん、隣いいですか?いいですか!」

わ〜久し振りに見たこの変態。あ〜御免ね。他意はないよ

「全員少し黙って」

『・・・・・・・』

モキュモキュ。ソーセージおいし〜

「雫、さっきの話を纏めるけど。貴女と霞は記憶の共有は無いから今この時間全ての事を覚えていないのね」

「そうだよ。夕月さんは霞君と感情面でリンクしているんですけど私は完全に隔離されてるんです。だから私が何をやっても霞君は全然知らないんです」

ポヨヨン


「だからこんなことしても霞君は全く知らないんですよね」


モミモミ



いつものメンバーが集まる教室後ろの窓際区域の空間が凍結した

幸い関係者以外見ていないのが唯一の救いだろう


「深娜ちゃんの柔らかいね。羨ましいな」

「おねえちゃんもそう思う?深娜お姉ちゃんのは私の理想なの」

「うんうん夢はでっかく。叶うといいね」

「うん!」


変態が興奮の余り机に頭を叩き付ける音で解凍


深娜、渾身の右ビンタ

加弥、顔面地獄突き

洸夜、広辞苑の角突き


雫。変態バリア

「ぐはぁぁぁぁっ」


慎は死んでしまった




「あ、あんた何やってるのよ!自分がした事分かってるの!」

「乳揉み」

「うううるさいうるさい黙りなさい!!今すぐ消えなさい!」

「う〜ん・・・・まだむりぽ♪」


「滅殺!」

「お、同じく!」


教室中を逃げ回る雫と追い掛ける鬼。周りのクラスメートも面白半分嫉妬半分で眺め、揉まれた深娜は胸元を抑え物凄く深呼吸して怒りやら恥ずかしいやらの感情を鎮静させ、黒猫姫は然り気無く触っていた

「・・・・頑張る」














「ねえ社長。なんで小物相手にここまで徹底的に潰すの?いつもなら部下に任せるのに」

「私も興味がありました。何故佐々木を消したのですか?」


小型ジェットの中、豪一郎は髭を撫でながら暫し考えにふける

「佐々木だがな、ちょいとした男に繋がっておってな。最もしたっぱもいいとこじゃがな」

「それって・・・誰?」

「つぐみ、報告資料と佐々木の機密資料に目を通したか?」

「全然。ひーちゃんがしっかり覚えてるもん」

「怠け者め」

「まぁまぁ、つぐみっちだってひーちゃんの事信頼してるって事なんじゃから」

「セクハラです〜」

「気安く呼ぶな」

「わし部下に恵まれておるのか!」




ジェット機は着実に日本に近付いていた












そしてはたまた日本



ああ暇〜。こんな授業つまんないな〜

「え〜っと、それじゃここアレンジして野崎君答えて」

「Makoto was caught cheating on the exam and was severely scolded」

「・・・何て言ったの?俺の名前出てた気がすんだけと」

「『慎は試験でカンニングしているところを見つかり、厳しくしかられた』って事よ。事実かしらね」

「ひでぇ!俺カンニングしねっすよ!」

「知らないわよ」

慎は机を濡らし苦悶の声を漏らしている

「それじゃ次はこの文を大甼さん・・・無理?なら先塚さん読んで」

「はい。えっと・・・『I never look at this picture without thinking of those happy days』です」


「はい良くできました。それじゃ今日はここまでです。夏休みも近いからって怠けちゃ駄目だからね」

先生は軽く釘を刺し教室を後にする

あ、もう少しで私の時間終わりだ。また眠ちゃうのか〜

「ねえ加弥ちゃん洸夜ちゃん。私そろそろ寝ちゃうからご挨拶状しようかと思うんだけど〜」

「ふ〜んだ。知らないも〜ん」

「え〜っと・・・お、お疲れ様でした?」

あ〜もう可愛すぎ!食べちゃいたいよ〜!あぁでも我慢我慢。我慢よ私!

「ばいばいおねえちゃん。また今度ね」

「バイバ〜イ。今度一緒にお風呂入ろ〜ね」

「うん!」

突き出された拳はヒラリ

「じゃ〜ね〜巨乳深娜ちゃ〜ん♪」

振り上げられた金槌もヒラリヒラリ〜

「今すぐ消えなさい。二度と出てこないで」

あ〜あ。完全に嫌われちゃった〜

でもその方がいいのかもね。深娜ちゃんも加弥ちゃんも洸夜ちゃんも慎君もまだ何も知らないから


霞君だって今は知らない。知ってるからこそ今は知らない


「深娜・・・」

「な・・・何よ。戻ったの霞?」

「・・・・・・・頑張って。負けないでね」

大丈夫。深娜ちゃんは強いから。皆優しいから












おや?寝てたかな。休憩中に寝るなんて珍しいな


思いっきりのびをして漸く気付いた

「・・・何故に床で寝てる俺?」

天井を見る俺の視界にはいつもの面子が揃っている。見るな恥ずかしい

素早く起き上がり埃を払う。誰だ昨日の掃除当番


「あ〜・・・・おはよ?かな。霞だよね?」

「何言ってんだ。俺は俺だろ」

何故か加弥と洸夜はハイタッチで喜び、慎は何故か非常に悔しい表情を見せる。取り敢えず右の拳でアチョー!

「雫が出てたのよ。覚えてないでしょうけどね」

滑らかな動作で膝をプレゼントしてくれた

「やっとスッキリした。あいつ避け馴れてて殴れなくて本当にストレス溜まるのよ」

「私も一発!」

芯に響くいい拳を頂戴致しました。床で二人並んで流血沙汰なんて洒落にならんよマジで

よろよろ起き上がり八つ当たりでまだ寝てる奴を一蹴り

「深娜、今晩飯抜きね。加弥、一週間俺ん家出入り禁止な。洸夜、今日一緒にご飯食べよ」

頬に手を当て赤面で喜ぶ洸夜を他所に猛抗議の二人。とばっちりで殴られてこちとらご立腹ですよ

「か、霞、二人だって雫に散々な目にあったんだ、許してやったって。特に深娜殿ばはぁぁぁぁ」

目視不可の鋼の蹴りは彼を軽量物よろしく軽々と蹴り飛ばしゴミ箱にホールインワン

しかしゴミの言ってることが本当なら身内の責任は俺の責任か。まったく雫ときたら

まあ結局許すことで一件落着になった分けですよ








霞君。聞こえますか〜


ん、雫か?つかイタズラし過ぎだろ


ゴメンね。初めてだったからついはしゃいじゃった


まあ過ぎたからいいけど。それでどうした?


左腕を左42゜に突き出して掌を広げて下さい

あいよ


ポヨヨン










雫に言われるままやってみると物凄く柔らかく弾力ある物に触れた


そこで漸く意識覚醒









固まる五人と羨ましいそうに見る子猫

頭の中で笑う奴と羨ましいぞコンチキショォォと叫ぶ奴


俺は聞こえた。隣の彼女の指がパキパキ音を鳴らしギチギチと筋肉が収縮される音を

父さん母さん。先立つ不幸を許して下さい









その日の夕時


「あ〜こりゃ全治1ヶ月ってとこかのう。氷裂骨折じゃ」

よぼよぼの医者は震える手でカルテにサインする。おい、スペル違うぞ

「しかしまた何でこんな怪我を?」

「ははは・・・・まあ気になさらず」




改心のビンタは唸りを上げ、授業準備室の戸を突き破る威力で放たれた。そしてそのまま棚を薙ぎ倒し今に至る

結局1ヶ月は利き腕が使えないか。あぁ、ご飯どうしよ

病院を後にし、トボトボ商店街を歩く俺と多少の罪の意識を感じたらしい深娜と左袖を掴む美鈴ちゃん。ちょ、ちょっとお願いだからおんぶは勘弁して





家の前には超が付く高級車がドン!と居座り、黒い服の方々が此方に気付くと深く一礼する。挨拶を返し家に踏み込むと爺さんが黒と緑の斑模様の覆面を装着し身構えていた

「喰らえ孫!フライングクロスチョップ!」


霞HP

「   」

alert!alert!

野崎霞、活動限界です。予備も動きません!



バッテリー充電が完了したのは7時過ぎで、床にヒイヒイ泣きながら踞る老人と踏んだり蹴ったりする部下。そして菜箸で滅多刺しする養子の娘

哀れ

「孫!美鈴ちゃんに何を吹き込んだ!3日見ない間に随分パワフルになったぞ!」

「俺は無実だ」

「お爺ちゃん、メッ、メッ、メッなの」

「痛っ!痛いよ娘。爺ちゃん殺られちゃうよ!」

「いいの」

「いいの!」


ふむ。和やかなり



まあそれからは何事もなく年寄りはトランクに押し込められ、美鈴ちゃんとの暫しのお別れの挨拶である

「ばいばい美鈴ちゃん。いつでも遊びにおいでね。大歓迎だから」

「ありがとうお兄ちゃん。お姉ちゃんもありがとう」

「今度はもっと常識を学んでから来ることね。あんまり変な事は覚えなくていいから」

「うん。ばいばい!」

元気に手を振る美鈴ちゃんを見送り漸く長い三日間が幕を閉じた

「つか美鈴ちゃん三日間で大分変わったね。とにかく元気になった」

「子供はそんなものよ」


清々したと言わんばかりにのびをして家に戻る深娜だが何処と無く寂しそうにも見えたのは気のせいにしておこう

「霞、夕食まだなんだけどどうするのよ」

・・・・・・・あ

「そういえば無理よね。仕方ない。私が何とかするわ」

深娜は何と無くだが嬉々とした弾んだ声で台所に消えた



お父様お母様。先立つ不幸を御許し下さい










3日後のとある会話


「なあ、何か日に日に痩せてきてないか?」

「ふふ・・・気のせいだ。気のせいだよ」

作者「どうだ霞!最近栄養摂取偏ってるだろ!」

霞「くぅ・・・・外道が・・・死ねばいいのに」

慎「なあ、なんで俺同世代の皆に蔑まれるの?」

作・霞「知らね」

慎「この世は間違ってる!なあそうだろ?」

作者「読者に問うなよ」

霞「つうか出前いい?」

慎「ねえ!世界は間違ってますよね?間違ってますよね!」

霞「ねえちょっと電話頼む。チャーハンとワンタンスープね」

作「シャラップ!次話お前等出さぬからな!」

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