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29・そうだ、京都に行こう(波乱万丈編)

慎―いえぇぇ〜い慎だぜ!

霞―うざ!何この無駄テンション

慎―あたぼうよ。俺様晴れのち行方不明のメインパーソナリティーだぜ!

霞―ああそうだったね

慎―知ってたか、あの作品のサブキャラとか中学時代の作者の友達の名前多く出すらしいぞ

霞―いや、そんなの暴露ってたら作者がまた奇行にはし・・・・

作―食らえ慎!必殺デぇぇリぃぅぃ〜トゅゅ〜

霞―ああ!慎の服がどんどん透けて・・・やめろ!せめてパンツだけは、パンツだけは・・・

慎―いや〜〜〜

さて、今日も良い朝を向かえた俺は旅館の屋根の上に座っている

昇る朝日を眺めながら渋めのお茶をすする

「ふぅ〜」

自室で何やら三人組の声が聞こえる

逃げてよかった


寝る前に中居さんの優実さんから電話の警告があったので助かった。後で何かお礼でもしよう

飲み終えた椀片手に立ち上がる

さて、朝は霹として頑張るか















朝食の支度を終え、手早く着替を済ませてからなに食わぬ顔で部屋に戻る

中では布団に巻かれた慎が昇天顔で宙吊りになっている

そしてそれを殴る浴衣姿の三人娘

気付かれない様に忍び足で近くの布団入れの棚に入り戸を閉める

携帯を取りだし部屋の電話にコール



じりりりガチャっ

「もしもし不法侵入してる人ですか?」

「か、霞!」

どうやら電話に出たのは加弥だ

「何処に行ったのよ!折角起こしに来たのに!」

「今は一階のロビ―――」

ガチャん

ドダドダドタドダ・・・・・・

嵐は去ったか


直ぐに部屋に鍵をして慎を下ろす

「お〜い生きてるか」

グーパンチで5、6回殴る

「み、見えた・・・・・加弥の白いぱ、パパパパパ!!!」

そのまま気を失った馬鹿

さて、台風が帰って来る前に移動するか

手早く私服に着替える

今回三日目なので私服で出掛けることができる

ジーパンに白のシャツ、その上からグレーのパーカーを這おって部屋を出る。服に無頓着だとよく言われるがどうでもいいもんだ



それよりも今は、朝飯朝飯♪













殺気に近い視線を飛ばし続ける加弥と羨ましそうな視線を飛ばす先塚


朝食の席で被害を最小限にするため端に座ったらいつの間にか隣に深娜が座っている


「何かありましたか?」

「別に、気にしなくてもいいわよ」

いつも道理の無表情でたくあんを口に運ぶ深娜

まあ別にいいが

呑気に味噌汁を飲む俺、美味いな〜






部屋に戻った俺は28人の中居さんに捕まり別室に連れてかれた

「な、なんですかいったい!」

しかし中居さんはただただ笑顔で廊下を風のように走ります


そして連れてかれた俺は文字通り着せ交え人形となった

「す、ストップ山中さん、ズボンは勘弁して!着るから。自分で着るから!」

ズボンを死守して一人で着替える







その結果












「何故に着物?」

慎の表現ではただ女装した様にしか聞こえないので訂正する

着物と言っても男物の浴衣に近い物だ


蒼い生地を主に使い、黒の帯を締め、胸元を広げ左骨の辺りが見える様になっている。更に髪は整えられ

「結局女っぽい顔付きにされたな」

クソッ、言い返せない!

まあ仕方ないので(私服等は全て抑えられた)このまま行くとしよう

靴もいつの間にか草履に変わり何とも古人の様な気分だ

慎は何故か下は制服、上はワイシャツに黒のジャケットと不思議な組み合わせである

多分未だに頭から加弥のパが付く何かが離れないんだろうな

多分慎が見たのは浴衣の裏地の白だな



集合場所の庭先に行くと三人は既にスタンバっている

あ、先塚に見付かった

すると先塚は頭上高くカメラを投げる

赤いランプが点滅を始めどんどんその間隔が短くなり、先塚は慎を突き飛ばし見事に隣に並ぶ

ピピピピピピ、カシャッ


「先塚、器用だな」

「えへへ、まあ・・・・・ね・・・・・・?」

先塚の動きが止まる

遠くで深娜と加弥が猛ダッシュで近付き

「抜け駆けなんてズルイよコウちゃん!一人ではし・・・・・る?」

「先塚さん、さっきフェアプレーって言ってた・・・・・・わ」

「??どうした三人して」

「なにその格好?」

「いやな、中居さんに捕まってこうなった」

「なんで違和感がないのかしらね」

「ふむ、老けるからだろ」

「でも似合うよ霞君」

「ありがと。先塚も中々似合ってるぞ」

先塚は黄色のリボンで髪を結わえ、薄茶の短いめのジャケットにレース付きの白いワンピースで質素に飾っているが大人びた雰囲気がとても似合っている

先塚は頬を赤らめながら

「ありがとう霞君」

「かすみ〜!私はどう?」

先塚の間に割り込みながら全面アピール

モノトーンボーダーのキャミにパステルピンクのパーカー、灰色の段付きミニスカートをヒラヒラさせている

「うん。可愛いと思うよ。加弥らしいね」

すると加弥と先塚は深娜の方を向きニヤリと笑う

深娜は鼻で笑いながらゆっくり近付き霞の腕に自分の腕を絡める

深娜は淡い黄色のニットに茶色のタンクトップにカーキのカーゴパンツと俺と選んだときの服装だ

いやまさかホントに着るとはな

しかし・・・・・

「深娜、熱でもあるのか?」

額に手を当てるが平熱の様だ

「別に。他意はないし気にしなくてもいいわよ」

「いや、俺早死にしたくないし、なんか肘に当たってるから離れて下さいお願いします」

すると左の手を握る者あり、先塚さんですよ

「大川さん!なにやってるのさ!」

そして後ろから飛び付く者あり、加弥だよ

「深娜ちゃ〜ん!コウちゃ〜ん!オフザケスギダヨ〜!」

「彼方こそ何おんぶされてるのよ。子供じゃあるまいし」

「大川さんだって好きでもないのにそんなにベタベタして!」


左右後ろから罵声が響く、うるさいのだ

加弥の私服にブリッチ状態で悶絶する馬鹿に呼び掛ける

「慎、三人は置いて団子でも食いに行くか」

ちょっとした動作で三人の拘束を難無く抜け

慎を引きづりながら階段に向かう

「や、やめれ霞!あた、頭がぎょぃぁぃ〜」

スタスタズルズルと歩く俺にとびかかる三人

しかし俺は手で制し、目を細める

「何が原因かは知らん。だが喧嘩はいかん」

慎の足を掴んでた手を離し腕を組む

「いかん。いかんなお前等」

「う゛ぎょっ、ぶごっあが、いかんのお前ぎょからはったかっ!」


キキーーードカン!




「でも・・・」

「加弥、俺は楽しくあってこその修学旅行だと思うんだがな」

「それはそうだけど・・・」

「先塚、何故そこまでこだわるかは分からんが話し合うことも可能だろ」

「それが出来ない時があるのよ」

「ならば仲間を集え。三人で分からんなら俺等に相談すればいいだろ」

「でも霞、一名見当たらないわよ」

ん?

「あ!慎〜!生きてるか〜」

「じ、じぬかとおもった」

階段を這いながら登ってくる慎

「お前引かれなかった?」

「後少しで頭がミキサーになるとこだったよ」


まあ何かあっても別にいいか

「さて、何をそんなにもめていたんだ」

三人は目をそらしながらモゴモゴと言葉を詰まらせる

すると加弥は物凄い名案が浮かんだように表情が明るくなる

「実は日頃から霞にお世話になってるから今日一日楽しんでもらおうと思って」

加弥の考えに気付いた先塚も後に続いた

「そうだよ。それでただやるのも何だから誰が一番か決めてもらおうと思って」

「なるほどね。それは嬉しいがそれだと逆効果だぞ」

俺は時間を確認する

今は丁度九時、一人二時間でも十分間に合う



とゆうことで第一回おもてなし選手権を開始します

順番は加弥、慎、先塚、深娜となりました




では、スタ〜と







鼻唄混じりにご機嫌な加弥はスキップしながら俺の前を進む

体が浮く度スカートがヒラヒラと揺れるので俺としては目線をやや斜め上で歩いている

「霞〜、そこのお店行こ〜」

我先にとさっさと店に入っていくのを苦笑いをしながら続いて入っていく

物珍しい視線を投げ掛けられるがまあこの格好では仕方あるまい

俺は羊羮と焙茶を頼み、加弥も同じものを頼んだ

「久しぶりだな。二人でこうゆう店に来るのは」

「うん。最近は皆で来るからね」

「そうだな。中学の時以来かな。今思うとあんま変わってないな加弥は」

「ひど〜い。霞だってそんな変わってないじゃん」

「違いない」

微笑ましい光景に割って入るのは店のお姉さん

「お待ちどうさまです。羊羮二つに焙茶ですってお孫様。お久しぶりです」

「どうも。店長はお元気ですか」

「はい。いつも朝から乾布摩擦しながら鼻水垂らしてます」

「ははは、駄目じゃないすか」

「それはそうとそちらの子は彼女さん?」

急に話を振られ焦る加弥

「え!いや、その・・・まあ、何でしょうか」

はぎれの悪い加弥の心境を微塵も察することなく

「違いますよ。そんなわけないじゃないですか」

「ホント!なら私にもチャンスあるんですか」

「その両眼に写る金の文字が消えたら考えましょう」

「ぬぬ〜、バレテイタカ」

「お〜いよっちゃん、仕事仕事」

「黙ってろ禿げ店長!ズラ剥ぐぞ!まあ仕方ねえか。それじゃ、お孫様」

悪魔から天使に早変わりして去っていく悪魔


「ねえ・・・・」

「ああすまんすまん。ま、ゆっくりしてこうか」



なんとも複雑な表情まましばしの時間が過ぎていった







霞と二人っきりで歩いてる

笑う霞はとても素敵で優しくて、皆の事を大切にしてて


他にも沢山あるけど、結局私は霞が好きだ。きっと初めて話しかけたその日から霞は特別だったんだ









のんびりと人の見当たらない公園を歩く二人。俺の後ろを加弥は付いて来ている

「どうした加弥?さっきまで元気だったのに」

「・・・・・・」

無言の返事を不思議に思い振り向くと、加弥はうつ向いている

「どした?」

「・・・。霞、私の事どう思ってる」

小さな声をなんとか聞き取り少し考える

「大切な友達だよ。記念すべき最初の」

「・・・・それ以上はないの?」

「例えば?」

「その・・・・・世界で一番大切な人とか」

「大切だよ。俺は友達の事を世界一だと思ってるから」



すると加弥は頭を上げ真っ直ぐに目を合わせる

「・・・・私、霞のこと好きだよ」

「ふむ、俺も好きだよ加弥の事は」

加弥は声を張り上げた

「違うよ!私は霞のことが好き!世界で一番大切な人なんだよ!」

「え・・・・・・」

「深娜ちゃんよりもコウちゃんよりも霞のことが好き。愛してるんだよ!」







時が止まり、一時的に思考回路が破裂。只今復旧作業中







脳内フリーズが少し解凍した辺りで俺は真先に近くの茂みに蹴りを放つ

虚しく空を切り葉が宙に舞う

「くそ、ドッキリでスタンバってる奴は何処に逃げた!何処だカメラ〜!」

テンパる俺を殴り正気に戻してくれた加弥

「真剣なんだから茶化さないで」

「ああ・・・すまん。しかしマジか?」

「うん。マジ」

頷く加弥は霞の手を握り真剣な表情で

「返事は今すぐじゃなくていいから。でも返事は必ず口で伝えて」

赤面の加弥はその場を風の如く去り、俺はベンチに腰掛け途方に暮れながら時間を潰した







11時になり約束の場所に行くと慎が待っていた

「うっす霞、どうだったって何かあったか」

「ああ、問題ない」

「いやいや霞、ものすっげー困り顔だぞ。口がヘの字で綺麗なお顔がだいなばるぎゅー」

取り合えづ殴っておいた




ぶらぶら歩きながら一部始終を話した

「なんだと!貴様等々告られただど!許さん!許さんぞ獣〜」

「ああうっとうしい!黙れ」

慎の頭を掴み地面と熱いキッスをさせようとしたがギリギリで耐えてる慎

「か、霞。落ち着くから離しててくれ。このままじゃハトの落し物と口付けしてしまう」

「あ、すまんすまん」



とゆうことでちょっと早めの昼食をとりながら二人して愚痴っている

「しっかし羨ましいね〜、加弥に告られるなんて」

「お前も結構人気ある癖によく言うよ」

「あ?お前しらね〜のか、お前校内の女子に結構狙われてんぞ。主に先輩に」

「うわ〜、知りたくなかった」


等とたわいもない会話だった



「んで、本題行くけど、加弥はどうすんだ」

「どうするか、ん〜ぶっちゃけ答えは準備してる」

「ほう。YESか?」

「お前の答えにNOだ。知ってるだろ。俺は捻くれてんだよ」

「つまり加弥への答えは問いで・・・か」

「そゆこと」

ソバを平らげ立ち上がり慎は真剣な顔で

「ただし霞、加弥を嫌な意味で泣かせるなよ。その時は容赦しないからな」

「多分だいじょぶだ。泣かないし泣かせない。それに多分悩むんじゃないかな」

「かもな」

笑いながら慎は俺の肩をポンと叩く

「YESって言ったら二学年報道部八形(やかた)に連絡するからな」

「やめろ!そしたら一分以内に全校に伝わるじゃね〜かよ。それなら貴様の『加弥ベストアルバム』が露見することになるぞ」

「やめろ!俺が加弥に惨殺される」

「・・・・・・お互い黙ってようか」

「・・・・・・・うん」

固い握手を交し、またもやその辺をブラブラしながら色々と情報交換をしていた









知りたくない情報多かったが










先塚は妙に距離を空けながら隣を歩いてるいる

「・・・・どうした先塚?」

「い、いやゎナナンデモナイヨ」

「何かあったのか?・・・・・・加弥とか」

ビクッと震える先塚は辺りを見回しとある店を指差す

「か、霞君!そこのお店行こ」

店に飛込む先塚を眺め店に入る

ここ午前も来たのに




「いらっしゃいませってまたお孫様?新しい女連れこんでウハウハ?」

無言でデコピンをかまして隅に座る

目の行き場を失って先塚の目はいろんな場所に向かっている

「先塚、ま〜何か頼んどけ」

「・・・・・うん」

適当に頼んだ先塚はやはり目線が定まっていない

「まさかとは思うが加弥が言ったのか」

「うん。告白したって」

「あいつは・・・・・なに考えてんだか」

溜め息を吐く俺は妬け気味に団子を食べる

「霞君はどう思ってるの?加弥ちゃんのこと」

「前も似たことを言ったと思うが好きだよ、友として。仲間として」

「・・・・・なら霞君は加弥ちゃんの事愛してるの」

「・・・・・・その答えを今言うべきかな」



周りは物凄い静かで聞耳を立てている


一瞬で赤くなる先塚は脱兎の如く走り去った


「うわ〜置いてきぼりにされてるお孫様」

やっぱりデコピン(大強)を食らわしてやった







先塚は先程来た公園のブランコに座っている

何故だろうか

物凄く嫌な予感がする


「先塚、大丈夫か」

「は、はひ!さっきはごめんなさい」

素早く立ち上がり何度も頭を下げる先塚。泣きたいのを必死に我慢してるようだ

なんとか落ち着かせブランコに座る

「それで、さっきの回答は必要かな」

「それは・・・・聞きたいです」

「では教えよう。答えはどちらでもない」

「え?」

「俺はまだ正式な返答は出していない。それにおそらく俺の答えは答えではない。だから今先塚に教えることは出来ない。納得したかい?」

「・・・・・つまりまだチャンスはあるんだ」

ボソッと呟いてたせいでいまいち聞き取れない

「何か言ったか先塚」

「なな・・なんでもないよ!」

先塚はブランコから下り俺の前に立った

その顔には決意が浮かび上がって見える

大きく息を吸う先塚を見ながらいや〜な汗が流れる俺

もしや・・・・・・


「私は霞君が好き!加弥ちゃんよりも大川さんよりも!」

うわ〜当たっちゃった〜、やべーや

「返事待ってるから」

加弥どうよう疾風のように消え去る先塚を見ながら、またもや途方に暮れながら時間を潰す自分が悲しかった







ただいま三時


「・・・何かあったの?」

「ああ、問題ない」

「その疲れきった顔で言っても説得力に欠けるわよ」

「あ〜〜、お前は加弥から何か聞いてるか」

「いえ。ただ加弥さんは勝ち誇った顔だったし先塚さんは真っ赤だったは。何があったか白状しなさい」

物凄い眼光を必死に避けながら誤魔化し笑いをしてなんとな逃げようとする俺

「ならそこの店で詳しく聞こうかしら」

襟を掴み引きづりながら店に拉致られる俺




またこの店かよ


「いらっしゃいまお孫様!また新しい女連れこんで!タラシです。お孫様は女に飢えた獣です!」


力一杯ホッペをつねってやる

「いくら年上でもしまいにはキレますよ?」

「ひょへんなひゃ〜い」


又々隅に座り(質問+尋問)×拷問の図式が始まった

「さ、話してもらいましょうか?」

「ストップストップ!その熱いお茶は何をするため!」

「話すのを止めたりしたら」

ポタボタ

「ギャ〜〜〜熱いっ!地味に熱い!」

「なら全て話してもらおうかしら」


ええ話しますよ。話せばいいをでしょ!

とゆうことで個室に移動。洗いざらい全部吐かされました

そして顔の引きつった深娜は今にも手に持つ湯飲みを砕かん勢いです

「ふふふ、やってくれるわね。まさかここまで直接的な攻撃を仕掛けるなんて」

その寒気のする笑みから視線を反らしお茶をすする

「これで全部だ。次はそっちの事情を話してもらおうか」

「何の事情よ」

「何故急にこんな事をやり始めたか。恐らく昨晩何かあったのだろう」

「それは・・・その」

「今なら分かるが俺に関してだろう。くっつき過ぎとか手を出すなとか」

「・・・・・・・」

反論のない深娜に更に追い討ちをかける

「あの二人の気持を知った以上俺は答えを出さねばならんしそれが義務でもある」

「・・・・でも・・・・・」

うつ向く深娜を見据えながら続ける

「深娜、君は俺の事は特に気にしてはいないのだろ。なら口出しは出来ん筈だ」

「でも!・・・・でも・・・」

「なら問う。お前は俺の事をどう思っているんだ?」

黙る深娜を横目に立ち上がり壁に向かってお茶をかける

隣の部屋で何かが叫んでいるが今は無視

壁に寄りかかりながら深娜を見続ける

長い時間静寂が続いた



「・・・・・私は」


そして深娜はその重い口を開く

「今の形を崩したくはない。霞は私の最初の友達、そして家族として迎えてくれた人。もし霞が誰かのとこに行けば私はまた一人になるかもしれない。それが怖い。一人になりたくない」

深娜はうつ向いた顔を上げ霞を見据える

「だから私はあの二人に霞を渡さない。だだそれだけよ」

「・・・・・・成程ね」

ゆっくりと近付いて深娜の前に立ち、軽く小突く

「俺はそんな薄情者じゃね〜よ。何があっても家族を一人にしないさ」

笑いながら深娜の頭を撫で部屋を出る

それに深娜も続き店を後にしてなんとも馴染みな公園に来た

「まったく。今日一日でこんなに疲れるとはな」

ベンチに横になり目をつぶる俺の横に深娜が座った様だ

「それであの二人に何て言うの」

「それはお楽しみだ。今日の8時に屋根上に来るといい。俺はそこで答えを出すつもりだ」

「そうするわ。いざとなったら霞を突き落としても阻止するからね」

冗談に聞こえない深娜の発言を頭の中に確りと刻んで考える

果たして皆納得するのか






ガシっ



おや?

誰かが俺の頭をガッシリホ〜ルドして持ち上げたぞ




ポムッ




おやおや?なんか弾力のある場所に頭が乗ったぞ






ゆっくり目を開けると最初に見えたのは下から眺める深娜の顔、そして幸澤が馬鹿事をほざいてた確かにデカイ胸






いや、俺を殺す気?

誰かに見られたら俺生きて京を出れないよ




「あの〜深娜さん?」

「質問は受け付けないからね」

「さいですか」

死と隣り合わせの中、相対性理論に則って、時間はユックリ過ぎていった










そして只今7時50分

先程四人に別ルートでここに来るようメールを送り静に待っている

涼しい風に目を細めながら遠くの街の灯りを眺めている






ドダドダドダ!


台風が現れたか



「霞!なんで深娜ちゃんにコウちゃんと慎がいるのよ」

「霞君!なんで大川さんに慎君がいるの!」

「霞、何故俺を呼んだ!俺は男に告白されたおぼぐるはっ!(瓦ヒット)」

「・・・・・・・騒がしいわよ」



俺は思った

運が悪けりゃ慎はここから夜空へダイビングだな




「さてさて。では君達の問いの答えを伝えよう」

「スト〜ップ」

加弥は大きく息を吸って〜吐いて〜 吸って〜吐いて〜

「ば、ばっちこ〜い!」

気合いをいれ直した加弥

「いいすか?」

四人は頷く

「まずは率直に。答えはYESでもNOでもない」

『へ?』

「加弥も先塚も俺を好きだと言ってくれた、深娜も本心を言ってくれた。俺は君達の答えに問いで返す。捻くれた俺は君達に問う。それを踏まえた上でもう一度答えを聞きたい」


「霞君、いまいち意味が分からないよ」

「簡単に言えば俺は謎かけをする。そして君達は答える、それだけだよ。了解?」

『り、了解!』

「でわでわ・・・・」







とある人は夢の地に憧れを抱いていた


とある人はその地を目指し走り出した


しかしとある人は自分を知らず、夢も知らず、夢中になって走った


とある人は夢の地に着いた


見るもの、聴くもの、触れるもの、全てか美しく、己の心を満たしてくれた


しかしそれと同時にとある人は気付いてしまった



自分は自分を知らない

自分はここを知らない

自分は世界を知らない

ジブンハナニモシラナイ




とある人は悲しんだ


戻れないあの世界を懐かしみ悲しんだ






とある人は悲しみに潰されて消えてしまった









「さて、理解したかな?」


『?????』

加弥と先塚は頭を90度に曲げながら考えている


しかし深娜は呆れていた

「まさかこんな簡単なの?」

「ああ、俺の問いはいたってシンプルですから」

裾に手を入れながら立つ俺に深娜は近付いてくる


優しい風は深娜の浴衣を揺らす




目の前に来た深娜は少し笑いながら

「これからもよろしく。最初の友達にして私の家族」

「こちらこそ。俺の大切な仲間にして大切な家族よ」

自然と手を出し握っていた

その手は細くて温かく、優しかった


その光景をポカ〜ンと眺めている二人組は我先にと走りだし俺と深娜の間に割ってはいる

「どうゆうこと霞!」

「答えってアレなの?」

深娜は呆れた顔で二人の肩を掴み俺の前から引き剥がす

「分からないの?つまり霞は私たちの事を知りたいのよ。いま以上に多くの事を。恋人からじゃなくて友として先に」

「・・・・・む〜」


いまいち納得いかない加弥だが先塚は納得したらしく手を差し出す

「これからもよろしくお願いします。霞君」

「ああ、こちらこそ」

先塚の笑顔は綺麗だったし、頬を赤らめたその顔は可愛かった



先塚な先を越された加弥は焦りながら割って入り

「よろしく霞!いつもどうりにね」

「ああ、よろしく。俺の最初の友達」

「・・・・てい!」

二人の隙を付いて抱きつく加弥

「大好きだから♪」

「はいはい、分かってるよ」

苦笑いする俺

加弥はいつも明るく可愛いい。だからこそいつまでも笑顔でいてもらいたいな




そこからは大混乱である


加弥の抱き付きを先塚が必死に剥がそうとして、その加弥に深娜が勝ち誇りながら膝枕事件を暴露!

怒り狂った加弥は俺を抱き締めたまま腕に力(ベキッ、ボキベキグキ!)


があ〜〜目の前が黒く!黒くブラックアウト


















はっ!生きてる



そこは屋根の上、三人申し訳なさそうな顔で座っている



ん?また柔らかい感触が頭を




「あの〜加弥?」

「ロ〜テ〜ションです」


「さいですか。つうかそろそろ俺らのクラスの入浴時間だぞ」

「あ!そうだった。深娜ちゃんにコウちゃん、早く行こ」




嵐は去ったか




俺はその時気を抜いていて気付かなかった



















慎の眼が何かに飢えた野生の眼だと





慎―霞、ありごとな

霞―気にするな慎、たかが上着一枚の貸しだ

慎―マジで!助かるわ〜

霞―下半身に人の上着巻いた状態じゃ威厳も気迫もクソくらえだな

慎―でもあれだぞ。意外にこのフィット感にそよ風がマッチして股下―――



霞―次回はお嬢襲来ですよ!


?―やっと私の出番ですわね

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