26・さあ、出掛けよう!(おかいもの編!)
はい、霞です
今回も前回に引き続き深娜さんでーす
「で、何話すの?」
ネタバレしない程度のトークだそうです
「何それ、無謀じゃない?」
まあそうなんだけどね。じゃあ聞くけど旅行の水着とか決めたの?
「な、何分けの分かんないことを!」
え?何!なんで拳を握るの?やめ、止めて!いや〜〜〜
晴天の土曜日
雲なんて見当たらない
明後日はいよいよ修学旅行なんです!
ワクワクが止まらない!
しかし今はもう辛い
何故かって?
「何ですか?私がわざわざ買い物に付き合ってあげてるのにその表情は?」
お嬢、アンタは悪魔だ
ちょっとした町の方にあるショッピングセンター山田、その駐車場に一台のベンツが停まった。
皆もしってる菊地家の買い物用の安物車だそうだ
「お嬢、アンタは悪魔だ」
「人聞きの悪い。何を根拠にそんな暴言を」
遡ること三日前
ピンポ〜ン
「誰だ?食事時に来賓する野郎は」
立ち上がり玄関へ向かう
「どちら様?」
「私だよ霞君」
「帰れ幸澤、貴様が来ると何か嫌な予感が脳内を駆け回る」
「酷いな、兎に角入れてくれないか?お嬢様が待っているんだ」
「今すぐ帰れ腐れ外道!貴様は踏み込んではならん領域にいるんだ!」
「入れてくれたら江戸末期の文献一冊進呈すると言ったら?」
「ようこそ幸澤、早く入りたまえ」
扉を開けにこやかに招き入れる
なんとも微妙な表情で幸澤は中に入り、その後ろを優雅に付いてきたお嬢も入ろ・・・・
バタン
「な、なんですのこの愚行は!何故私を入れないのですか!」
「ほざけ!鼻が曲がる香水をつけた輩が入れる家ではない!」
「幸澤!なんとかしなさい!」
やれやれといった感じで幸澤は霞の肩を叩く
「二冊でどうだろうか?」
「やあお嬢、よく来たな。ま、上がりたまえ」
お嬢はなんとも複雑な表情で入っていった
にぎやかになった食卓で、お嬢はちゃっかりとチャーハンを食べている
「それで、何の用だ?」
「この前貴方がまた来てもいいと言っていたので今週の土曜に来ようと思いまして。ですので土曜の午前に買い物に付き合って貰おうと思ってきたんですの」
『え!土曜!』
そんな声を上げたのは加弥、先塚、慎の三人である
加弥
「私午前用事あったのに!」
先塚
「私も出掛ける事になってた」
慎
「俺は家の手伝いだ」
「なら仕方あるまい。俺も修学旅行の買い物があるから構わん。深娜はどうだ?」
「私は・・・・どちらでもいいわ」
なんとも複雑な心境の様だ
「なら来い。一人で荷物持ちは嫌だからな」有無を言わせぬ言い方で会話を打ち切り食事に戻る
こうでもしなきゃ来ないだろうしな
そして今現在は土曜
「で、何を買うんだ?」
ブラブラと歩きながら店を眺めている
「私は今晩の食事に必要な物と後は適当にですわ」
俺は幸澤を見る
「私はお嬢様の指示に従うまでですから」
俺は深娜を見る
「私はお嬢様の指示に従うまでよ」
俺はお嬢を見る
「何?その不服そうな顔は?」
俺は溜め息をつき
「俺は自分のを済ませる。用があれば電話しろ」
そう言ってその場を後にした
さて、買い物とはその時の思い付きで色々と買ってみたくなるものだ
買いすぎた物を車に持っていき第二ラウンドを開始しようと思うと携帯が鳴り出した
「もしもし」
「霞、三階のピュアに来て」
「はいはい了解」
アイス専門店ピュアの一角に三人はいた。
遠くで見る限り物凄っごく重い
会話の傾向が全く見られない。
「この現状打開に俺は呼ばれたのだろうか・・・・」
溜め息を吐きながらバニラ片手に向かう
「決まったのか?買うのは」
「いいえ。決まってないわ」
「帰っていい?」
「駄目に決まってるでしょう」
「ならば聞く。何を食いたいんだ?」
「久しぶりにピカタが食べたいわね」
「帰って自分のを家で食え。今日はオムレツにする。車に戻ってろ」
アイスを口に押し込みスーパーに向かおうとした
「・・・・深娜さーん、首に押し当ててるのは何かな〜」
「フォークって言う串ざしをする為の武器よ」
食い込むさきっちょはもう痛い
「あの〜、血が流れてる気がするんですが?」
「ええ、出てるわね。どうすれば止まるか分かる?」
俺は回れ右をして頭を下げる
「すいませんでしたお嬢様愚行を及んですいませんでした。もうしません」
「・・・・なんて言うか凄い現場見た気がするわね」
呆れた顔のお嬢は何処となく笑ってる気がした
コンチキショウ
さて、オムレツの材料を買うためにスーパーで買い物中、お嬢はなんともムカツク発言が多いので今は省くことにしたい。
まあ、あえて説明するなら
「何この食材?こんな物を使うの?」
ボルテージギリギリですよ
さて、材料も一通りてに入れたので今はお嬢の買い物に付き合わされている
ここまでかと言う程会話がない
二人とも、黙りすぎ
仕方なく俺から話しかける
「お嬢、なに買うか決まったのか?さっきからブラブラしてばっかだけど」
「別に。ただ見て回ってるだけですから」
「帰っていい?」
「駄目に決まってるじゃない」
帰りたいよ〜等と考えてると
グ〜〜
「・・・・・・・」
お嬢のお腹の虫が雄叫びを上げた
『・・・・・・・』
三人はあえて何も言わず目を合わせません
「・・・・・・・コホン。少しお腹が減ったので何処かで食べましょうか」
「かしこまりました御嬢様。アルテ・ルシアに予約を入れておきます」
直ぐ様電話をかける幸澤、しかし俺はと言うと
「ちょいまて幸澤。アルテ・ルシアって確かフランス料理専門店だったよな」
「そうだよ。御嬢様のいきつけなんでね」
「昼間っからんな所は行きたくないんだよな。俺がたまに行く店でいいか?味は保証する」
幸澤はお嬢の方を見て指示を仰ぐ
しばし不服そうな顔をしていたが
「分かりました。どうしてもと言うなら構いませんわ」
と言うわけで一向はとある店の前に到着した
お嬢は不服丸出しの顔をしており、俺はさっきから深娜に絞められている
ギブ!ギブアップ! 許す訳にはいかないわ。よくも御嬢様をこんな場所に!
違うって。物事を外見で判断するな!美味いんだてここのラーメン
今楽にしてあげるわ
「深娜君、その位にしてあげたらどうだね。泡を吹き出してるから」
「・・・・・・・分かりました」
7発程殴られ目を覚ました俺は改めて店を紹介した
ラーメン店陳緞。ふざけた名前だが味は知る人ぞ知る隠れた名店なのだ
「久しぶりおやっさん!」
厨房から顔を出したのは2m近い巨体のスキンヘッドなおっさんだ
「なんでい霞じゃねーか!久しぶりだな〜」
声も低くてかなりドスが効いている
「なんだお前、ダブルデートなんてやってんのか?」
「ははは、何言ってんだおやっさん。冗談はその面だけにしとけ。じゃないとその面剥いでダシとるぞ?」
「がはは、なに言ってやがる。俺は保健所の友達はいらねーぞ?それならお前の本を薪代わりに使ってやるか?さぞや美味いダシがでるぞ」
「はっはっはっ、そんな行為に手を出したら貴様の頭に油性ペンで人魚の絵を描いてやるよ」
「がっはっは、それはありがたい。ならお礼に背中にメイド服の釈迦を掘ってやるよ」
お互い乾いた笑い声を響かせる
「んで、何だ?」
「ラーメン四人前。餃子二皿で頼む」
「あいよ、ちょいまちや」
そう言って厨房に引っ込んだ
「霞、今の人は?」
「この店の店長で俺のラーメン師匠」
「師匠?」
「そ、あの人に一から十までラーメンのこと教わった。俺より100倍は美味い」
程なくしてラーメンが運ばれてきた
「派手な穣ちゃんはあっさり塩、そこのニイチャンはネギミソチャーシュー。そっちの穣ちゃんは和風醤油だ。霞はいつものだな」
「ちょっと貴方、なぜ私が塩だと思いまして?」
「長年この道行ってるから分かるんだよ。勘だ勘」
不信がりながらも一口食べてみた
『美味い』
「そうか美味いか、そいつは良かった」
おやっさんは豪快に笑い厨房に戻る
「美味いだろ?」
「ええ、前彼方に作ってもらったのも美味しかったけどこのラーメンは別格ね」
「当たり前だ。麺から作ってる店に市販の麺が勝てるわけないだろ。それとそこ」
お嬢に釘をさす
「金で動く人じゃないからな。逆にキレて殴られるから止めとけよ」
あの人は女だろうが子供だろうが容赦はしない鬼人だからな
ラーメンを堪能した我々は家に帰ろうとしてふと思い出した
「深娜、そういえば買い物いいのか?なんも買ってない気がしたが」
「別にいいわ。私なんかの為にわざわざ引き返すなんて。それに別段買うものなんてないわ」
なんとも忠義に厚いのか、はたまたただ単に気後れしてるのか
仕方ない
「お嬢、近くのデパートで降ろしてくれ。買い忘れだ」
「何です急に。まあ別に構いませんが」
「助かる。幸澤、材料の保管は頼む。四時頃にでも家に来てくれ」
「ああ、分かった。それでは四時にまた」
近くのデパートに降りた俺は深娜を引っ張りだし車を見送った
「さ、買うの買って帰るぞ。どうせ旅行中は制服で通す気だったんだろ」
ギクッて感じな深娜
中々面白いな
「ほれ、服なりなんなり買いに行くぞ」
「ちょ、ちょっと霞、引っ張らないで」
問答無用だ!
「深娜、君は今から葬儀にでも行くのかい?」
「当たり前の様に言うけど違うわよ」
「ならば黒ばかり選ばぬことだ」
「なんで彼方にそんなことを言われなきゃならないのかしら?」
ふむ・・・
しばし考える
「元がいいんだからもっとお洒落をしたらどうだ?」
深娜はおもいっきりむせた
「ご、ゴホッゴホッ。なに馬鹿なこと言ってんのよ!」
「ぬー、馬鹿とはなんだ馬鹿とは。間違ってはいない筈だぞ。最近仕入れた情報なら校内一位にランクインした筈だ」
「そんな情報どうでもいいけどあんたはどんな目をすればそう見えるのかしら」
「こんな目だ」
深娜の目をじっと見る
「と言っても分かるわけないか。ん?なに赤くなってんだお前?」
普通の人なら絶対分からない変化だが気付かぬ間に分かってしまうのだから困ったもんだ
「黙りなさい。なら聞くけど私の服にケチをつけるならあんたはもっとましな服を選べるのよね?」
「はっはっはっは、選べる訳ないじゃないか」
ゴスッ(ブアッ)
「ただ言えることは黒より白か水色、その辺りの色が似合うとしか言えん」
腫れた頬を擦りながら自分の分かる範囲の助言をした
「薄着は薄着で似合うが今回は絶対止めとけ。確実に男子のカメラが狙っている」
「でも沖縄では自殺行為に繋がるわよ」
「そうなんだよな。やはりここは白のワンピースでいってみるか?」
「でも目立つのは嫌なのよね。はっきり言えば余り他の生徒とかと会話してないし。今のメンバーが一番楽なのよ」
「そうか・・・・、ま、仕方ないさ。その内馴れるさ」
「それなら良いけどね・・・」
「あー暗くなるな。ほれ、選んだ選んだ」
はたから見れば仲の良いカップルにしか見えないのが分からない鈍感な二人だったのだ
さて、私服を一通り買った二人、しかし後一つ買わねばならない物
それは白い肌を優しく包む最高の装備であり、時に残酷なまでに被い隠す諸刃の装備
水着
只今霞は休憩所にて待機
当たり前だがもし霞も水着コーナーに行っていたら二度と朝日を拝むことはない惨劇が待ってただろう
霞はさっき買った文庫を読んでいる。20分程経過したが既に半分読み終えている
因みに霞は一度読み出すと周りが見えなくなる悪い癖がある
お陰で深娜が帰ってきた事に全く気付かず首筋にホットしるこをつけられ多少火傷したのは余談である
「へ〜〜、二人仲良くお買い物ね〜〜」
「いだだだだだだ!ギブ!ギブアップ!」
ボウ&アローの拷問を受ける霞
「酷いな・・・・霞君・・・」
先塚はさっきから本気で脇腹を殴っている
「とどめだ霞!地獄断頭台!」
慎のフィニッシュ技!(初代キン肉マンより、悪魔将○フィニッシュ技!)
生きたいと願う霞はギリギリで致命傷を避けるが既にボロボロで立ってるのがやっとの状態だ
「行くわよコウちゃん!」
「いいよ、加弥ちゃん!」
二人は霞を挟むようにして立ち腕を構える
「プラスマグネットパワー!」
「マイナスマグネットパワー!」
二人は霞目がけ走り出す
『クロスボンバー!』
ありがとうネプチューン○ン
ありがとうビック・ザ・ブド○
僕は君達を永遠に忘れない
午後六時、目覚めた霞は早々と調理に駆りだされ、必死に台所を走り回っている
明日からいよいよ修学旅行
京都に行って沖縄行って楽しむ行事
一週間のこの期間で僕達は何を得るのだらうか?何が起こるだろうか
「おかわり〜」
「加弥!いい加減にしろ〜。俺にも食う時間をよこせ〜」
波乱の幕開けか
結局水着は分かりませんでしたね
「まだ引っ張るの?まだ殴られ足りなかった?」
さあいよいよ次は修学旅行!どんな事が待ってるか楽しみだな〜
「無事に済むとは思えないけどね」
そうなんですよね。それでは次回は加弥の登場です
またね〜