20・波乱の御花見(こうへん)もう加弥様ったらおいたが過ぎますよ
もう加弥様ったら酷いですよね。こんな格好で一日様付けなんて。慎様も異様に血走った目で見るし、お酒飲んだ皆様の相手に疲れます
え?ネタバレ禁止?前書きページ少ない?
もう作者ったらへたれですね。これぐらい勇気で乗りきってほしいです。
では、こうへんすた〜とですよー
暖かい日差し
舞い散る桜
微笑ましい・・・・・・
「もうコウちゃーん、ほら〜飲め〜」
「もうダメ、少し休ませて・・・・」
「お二人共、少しは自重して下さい。いくらなんでも飲みすぎですよ。夜の分がなくなります」
「うるさ〜いカスミン。主人の言うこと聞きな〜さい、でも流石にやめるかな〜」
「・・・・・・彼方達、少しは配分を考えたらどうなの?」
崖の方から
「遂にのぼっぷるぎゃーー!」
「ああすいません慎様、つい手が滑って近くの石を」
訂正、見るも無惨な地獄絵図と化した遅咲きの原
二名を残し、皆狂っていた
「霞、あんたも大変ね」
「いえいえ。深娜様程苦労はしていませんので。それに私にとっての大事な友達ですから」
にっこり笑う私を横目に深娜様は先ほどからチビチビと飲んでいる。
勿論私は飲んでいませんよ
そんな二人のやりくりを見て、黙っているほどこの人は甘くありません
「カ〜ス〜ミ〜ン〜。限定接待ってメイドとして失格だよー」
「いえ、そんなこと言われましても基本的にメイドじゃ無いよ私」
「問答無用、カモーンけろべろす〜」
そう言っていきなり香水の液を投げつける
一瞬の動作の遅れが命取りとなり服に液が染み込む
これはラベンダー
するとどうでしょう、崖の方から凄まじい速さで何かが飛び出す
「お呼びですか加弥嬢〜」
血走る眼と鍛え抜かれた鋼のボディー
見た目と裏腹な匂いフェチ
その名も
Mr.scent Makoto
その鋭い嗅覚は直ぐ様匂いをキャッチ
今直ぐにでも直行したいようですが、加弥の命令には逆らえません
「カ〜スミ〜ン、観念なさい」
「えーっと、とにかく落ち着いてください」
「これが落ち着いていられるか」
フェチに何を言っても無駄です
このままだと何をされるか分かりません
ここは己を殺すしかない
俺はメイド俺はメイド俺はメイド俺はメイド俺はメイド俺はメイド俺はメイド私はメイド私はメイド私はメイド私はメイド私はメイド
その場にゆっくりと正座し少しだけ脚を崩す
そして全てを包み込む様な暖かい笑顔で手招きをする
「どうぞ、慎様」
「はいっ!喜んで」
一瞬にして膝に頭を乗せ至福の顔へと変貌する
先程の血走る眼が嘘のように、三途の川がある辺りの楽園を歩く人の様な虚な眼です
「御気分は如何ですか慎様?」
「・・・・・・・・・・最高」
「それはよろしいようで・・・・」
振り下ろされた手刀は確実に慎の意識を切り放す
その場に慎を寝かせゆっくり立ち上がり、満面の笑みを加弥に向ける
全ての感情を覆い隠すように笑いながら
「おいたが過ぎますよ加弥様」
「えーっと・・・・・・カスミン?」
「なんですかおいたが過ぎる加弥様?」
「怒ってます?」
「いえいえ。私が御主人に怒るなんて」
ゆっくりと手が伸びる
「か、カスミン、ごめんなさいごめんなさい、おいたが過ぎましただから許してお願あーーー」
遅咲きの原に初めて加弥の悲鳴が響きわたった
桜の木の下ですすり泣く加弥
初めて泣くとこを見てしまい、流石にやりすぎてしまいました。
反省です
一応先塚様のカメラを押収して危険部分は削除したので大丈夫でしょう
それにしてもなんで先塚様も震えていたんでしょう。不思議です
いつのまにか太陽も西に傾き、町では次々と灯りがともされていきます
日が沈み、空には一番星と三日月が輝く空を眺め、初めての体験を乗り越えた加弥と三途の川辺りから無事帰還した慎も加え、幻想的な夜桜を見つめていた
「ふーん。昨日二人でこの景色見てたんだ。羨ましーなー」
「今見てるからいいじゃありませんか」
「でも二人っきりってのがロマンチックじゃない」
私は少しだけ考える
しかし考えてもよく分からない
そこてまずは隣の深娜様に聞いてみる
「そんなこと聞かれても分からないわよ」
次は慎様に聞いてみる
「そうゆうものなんですか?」
「多分な。経験が無いからよく分からんが」
「なら先塚様、そういう経験はあるんですか?」
「わ、私ですか、その・・・・一度だけ」
『あるの!』
全員揃って驚きです
「昨日の夜に・・・・霞君に・・・・・・」
『・・・・・・・・』
皆様のジトッとした視線が突き刺さります。
凄く痛いです
さて、ここで何を思ったのか加弥は爆弾質問を投げ掛ける
「カスミンってさ、私のことどう思ってる?」
「どう思ってるとは?」
「私のこと好き?嫌い?」
『ぶっ』
深娜、先塚、慎は飲んでた酒を勢いよく吹き出す
「か、加弥ちゃん突然何言ってんのよ。ひ、酷いよ」
「霞、俺はお前を信じていたに・・・・」
「霞、やっぱあんたってたらしなのね」
三者三論でしょう
「加弥様は好きですよ」
加弥も一緒に吹き出した
「か、かかかかか霞、ほ、本当?」
「ええ。私は加弥様のこと好きですよ」
加弥は真っ赤になり視線を反らす
「霞君、なら私の事はどう思ってるの」
先塚様はは完全にテンパって後先を考えない発言です
「勿論先塚様も好きですよ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『え?』
「好きか嫌いで選ぶなら私は好きを選びますよ」
「ち、ちょっと待って、それはつまり恋愛云々は含んでないの?」
「そうですか・・・・問題ありました?」
『大ありだよ』
あからさまに落胆する一人に安堵の表情の三人
私なんか不味いことしてしまったんでしょうか?
「ならカスミンの初恋っていつなの?」
「それが無いんですよ、初恋が」
予想通りという感じで頭を下げる一同
「なら霞君ってどんな子がタイプなの?」
「理想ですか・・・・・・・・多分こだわりはありませんね」
呆れる一同
そこで考えた慎は
「ならカスミ、お前の恋愛論を聞かせてくれないか。アレなんだから少しはヒネって」
「慎、それは言わない約束ですよ」
様付けを忘れる動揺っぷりに飛び付く加弥様
「アレってなによアレ」
『教えません』
断固拒否です。これは慎以外知らない最大の秘密なんですから
「ま、その辺は後々じっくり聞きましょう。今は霞の恋愛論でも聞いてみたら」
深娜様の天の助けです
「私も聞きたいです」
されに続く先塚様
ここは民主主義によりスルーです
「私の恋愛論ですか・・・・・・」
目を閉じゆっくりと考える
私にとって恋愛とは、その人に全てを託す事が出来る、信頼出来る人と過ごす事だと思っています
私は誰かを選べる様な人間ではありません
私を選んでくれた人を私は何処までも信じて行きたいんです
でも私は臆病者です
ですが私を愛してくれ人の為に全てを投げ出す覚悟は常にあります
私を愛してくれる人が私を嫌いになるまで私はその人の隣に立ち続けます
もしその人が私を嫌いになった時、私はその人を嫌い、自ら離れ、その人の記憶から消えましょう
その人が次を目指すための踏み台になる為に
私を知り、その上で私を愛してくれる人を私は愛します
嫌われるその日まで
ゆっくりと開く瞳
そこに広がる月の光に反射する花びら
私は選ばない
選んでくれた人を愛し通すだけです
「メイド風情がこの様な私情論を説いて申し訳ありません」
「い、いや、いいよ別に。聞きたいって言ったの私達だし」
慌てて誤魔化す加弥様、なんか涙目ですよ
「そろそろ帰ろっか。結構遅いし」
先塚様の提案で長い御花見も終了です。支度を整え
いざ、我が家に帰りましょう
帰り道、先頭を歩く加弥様は振り向きながら
「ねーカスミン、カスミンって案外ロマンチストなのかもね」
「御冗談を加弥様、私は常に現実を見てますよ」
「そういうことにしとこっか」
そう言っておもむろに右手を掴み並んで歩く
困った顔をしてると先塚様までもが反対側の手を掴む
「!!」
「!」
さて、私を挟んで喧嘩はよしてくださいね
家はもうすぐなんですから
ほら、深娜様も慎様も睨んでますよ
明日も大変そうですわ
やっと解放ですね。もう様付けしなくていいんだ。
え?夜もあるの?
この作者って実は変態ですの?男にこんな格好させて何話引っ張るのよ
いい加減にしないとあんたの作品の中に勝手に出てくからね
シリアスなのに加弥様とかでから台無しだからね
わかった?
まったく程々にしなさいよ
それでは皆様、もう少しの間、メイドの私、カスミンに御付き合い下さいね