【童話】オオカミ少年になった子
数年前にノートの最後に書き綴った文章です。
法螺など一度も吹いた事のない子は
ある日 オオカミ少年にされてしまいます。
話は聞いてもらえません。嘘に決まっているからです。
誰からも信じてもらえません。オオカミ少年だからです。
「助けて」と口にすれば
「あっちにいけ」と追い払われて
「助けになるよ」と手を差し出せば
「関わってくるな」と殴られます
嘘をついたことのないオオカミ少年は途方に暮れました。
何もできないオオカミ少年は
「なにができるだろう」と悩みました。
悩んで、悩んで、悩んで…
ある晴れた日に気がつきました。
すべての嘘をのみこんでオオカミ少年として消えれば良いんだと。
そうすればオオカミ少年だと呼んだ皆の言葉も行為も正しくなります。
オオカミ少年がオオカミ少年でないと知る人はいません。
オオカミ少年は満足げな笑顔を浮かべると
空を見て
涙して
旅に出たのでした。
これで平和が訪れます。
めでたし、めでたし。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。