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英雄にすることもまた一つの恩返しである  作者: 若村鬼海
第四章 今、扉は開かれる
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第九十三話 王城襲撃完結編 終

 少し時を遡り、ライダーとコランの戦いが始まった頃。


「ティアさんにルビアさんですね!よろしくお願いします。ウチはイリス・サライズ――――この国の第二王女です」


 彼女ははそう言うと同時に美しい一礼を見せた。


 そうか、そうか、貴方イリスって言うのね!!良い名前だ!

 それに第二王女か〜、すごい人だね…………。


「「…………」」


 私とティアは静かに顔を向け合う。

 そして、


「「えぇぇぇぇ〜〜〜〜〜〜!!!!??」」


 本日何度目かの爆発発言に仰天した。

 う〜む。私達、良いカモの才能があるのかもしれない。

 い〜や、そんなこと言っている場合ではない!


「だ、だ、第二王女……様なのですか?」


 ティアが恐る恐る確認する。

 そ、そうだな、確認は大事だ。


「はい、そうですよ」


 すぅ〜……良し。


「数々のご無礼、誠に申し訳ありませんでした!!」


「申し訳ありませんでした!」


 とにかくまずは謝罪だ。角度は九十度!

 


「っ!気にしないでください!ウチが黙ってただけですし――ほら、ぶっちゃけそこまで接点もありませんから!!」


「「…………は、はい……」」


 なんだろう。正論なはずなのに、ものすご〜い心が抉られた気分だ。


「……えー、イリスさ――」


「あっ、イリスでいいですよ」


「イ、イリスはどうしてお兄さんに乗って来たの?」


 はっ、そういえば。それにだ。


「確かに。それに一国の王女様であるイリスが『ハッピーハッピー』に護衛もなしで一人で来ていたのも気になる」


 気を取り直してイリスに問い掛ける。


「――え?『ハッピーハッピー』にいたの?」


 と、ティアが食いつく。

 しまった、墓穴を掘った。 


「ああ、それは……どっちも話すと長いんですけど――――」


 イリスは複雑な表情を浮かべる顔の前で手をイジりながら答える。


「――げっ」


 と、ティアがいきなり嫌味混じりの声を漏らす。

 チラッと見ると、尻尾がご機嫌斜めになっていた。

 う〜む。なんだこのざわざわ感は?


「ルビアさぁぁん!!」


 今度は急に名前を呼ばれたので、声の方へ振り向く。

 そこにはこちらに向かって走って来るウィーラさんの姿があった。な〜ぜに?


「ウィーラさん、どうしてここに!?」


「すいません。ルビアさんのことが心配になってドラゴンさんにくっついて跡をつけてきちゃいました」


「父さんも来ているのですか!?」


「はい。途中で離れちゃったので、今どこにいるかはわかりませんがね」


 そうか、父さんが来ているのか。

 あの時は随分と動揺していたから不安だったが、とりあえず大丈夫そうで安心だ。


「……あのー、私のこと、忘れていません?」


 ティアが割り込んでくる。あっ、やばい。


「あらティアさん、居たんですね?これは大変申し訳ありませんでした」


「へぇー」


「首は突っ込むのはやめたほうが良いな」


 この二人、どうしてこう仲良くできないのだろうか。


「――――ん?って、イリス!いつ帰って来たのですか!?」


 おっと、そのままの熱意で矛先がイリスへ。

 ちょっと下がっておこう。


「うっ!ウィーラ……お姉様」


 イリスは青ざめながら、そのまま私の後ろへ隠れる。巻き込むな〜!!


「ごめんなさいティアさん、話はひとまず後回しにさせていただきます」


「私は別にいつでもいいですよー」


 ティアが珍しく手を引く。


「ありがとうございます。それで――」


 そういうことね〜。

 ウィーラさんは笑みを浮かべながら回り込み、私の後ろに隠れているイリスの肩にそっと手を置く。

 目が笑っていません!!


「ち、違うんです!これは……」


「……言い訳ですか」


「ひっ!」


 良し、ウィーラさんは怒らせないにしよう。

 が、しかしだ。


「一旦――二人とも、落ち着い〜て!!」


 ちょっとでいい、私達を休ませてくれ〜!!




 次回、第四章 完。

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