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英雄にすることもまた一つの恩返しである  作者: 若村鬼海
第四章 今、扉は開かれる
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第九十一話 ③糸を辿れば

「まさか憶えていたとはな。……嬉しいぜ」


 ハウンドは首を軽く回しながら、皮肉交じりに言う。


「姿が違うからって、俺がわからないとでも思ったか?お前が《無獣》ってことなんぞ、最初からわかってたさ」


「ドラゴン殿……知っておったのか…………?」


「ワリぃなぁ、黙ってよ。だがわかってくれ」


 ドラゴンはフォジュックと目を合わせる。

 それは言葉を交わさぬ意思の疎通。


「……そうか」


 だが、と続けて。


「今回は無知では終われんのじゃ。共に戦わせてもらうぞ……」


 自身の血で染まった身体を奮い立たせ、立ち上がる。


「大丈夫なのか?なんだったら俺が――」


「……心配無用じゃ。ドラゴン殿は気にせず敵に集中を。我がどうにか合わせる」


「――――行くぞ」


 その言葉を聞いて、すぐにドラゴンは強く踏み込んだ。


「ッ!」


 ハウンドはドラゴンを正面から受け止める。


「わざわざ待ってやったのに、いきなり来るか、普通?」


「それはありがとうよ。だがよぉ、待ってたなら身構えとけッ――!!」


 ドラゴンはハウンドの体勢を崩し、投げ飛ばす。

 

『光の盾!』


 投げ飛ばした先、待ち構えたフォジュックが力を振り絞ってスキルの盾の形状を変形させ、先端を尖らせる。


「――させるか!」


 ハウンドは片腕の爪を地面に喰い込ませ着地、もう片方の腕の爪を発射する。


「はッ!」


 フォジュックは盾の形状を変形させ、迫る爪を防ぐ。


『ブレイズバーン!!』


 ヘイトがフォジュックに傾いたことを見逃さず、拳を炎を纏わせ、叩きにかかる。 

 ハウンドはそれを避け、残りの爪を発射し、一定の距離を保つ。


 そこでフォジュックが動く。

 スキルを解除し、ドラゴンの下に向けて再度発動する。


「うぉ!」


 ドラゴンが宙に上がっていく。

 フォジュックのスキルで顕現させた盾を上げているのだ。


 ある程度の高さに達したところでドラゴンは足裏から炎を出し、一気に距離を詰める。


『――パープルスラッシュ《斬波》!!』


 ハウンドは迎撃せんと、宙を舞う爪から一斉に紫の斬撃が放たれる。

 腕を、脚を、身体を斬られようと、ドラゴンは気にも留めず突き進む。

 

「ぬぅぅああああああ!!!!」


「バカなッ――」


 そしてハウンドを貫いた。


 ハウンドの身体に深いヒビが走る。

 貫かれたところから噴き出す鮮血。


「ここまで、か」


 ハウンドは絶命した。

 

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