第八十六話 そして
「……まあいい。始めようぜ」
なぜか微妙な空気が流れ、その空気をハウンドがリセットする。
始まるのか〜。全力で頑張るつもりでいるが、勝てるビジョンがこれっぽっちも見えてこない!
だ〜が、やると決めたのだ!!男を決めろルビアよ!!
「良し、いこうティア」
私はティアの介護から自立する。
う〜む。まだ足がふらつく。
「大丈夫?」
「何、筋肉痛など軽いものだ」
「そういうことじゃなんだけどなー……」
私を心配しつつティアは身構える。
いや〜、良い妹を持ったものだ!
「レッツラゴー」
「――で、どう戦う?」
「え?」
「え?」
そんなのノープランに決まっているではないか。
「…………駄目か?」
「逆になんでいけると思ったの?」
だってどうせ立てても無理な感じではないか。
ならば、当たって砕けろだろ。
……これが脳筋というやつか?
「いちいちうるせえんだよ!」
グダグダしていた私達に痺れを切らしたハウンドが牙を向ける。
ごめんなさ〜い!!
「――させんっ!」
心の中で謝罪をした直後、フォジュックさんの剣が攻撃を防ぐ。
「お前……」
「お主の相手は我じゃよ」
フォジュックさんは力強く剣で押し出す。
ハウンドは距離を取ると、何かの動作を行う。
それを止めんと、フォジュックさんは詰め寄り、牽制する。
おお〜、なんと白熱した戦い。
私達も負けてはいられないな。特に気持ちは!!
「ルビア!!」
「何――」
彼らに目を取られていた私はティアの呼ぶ声で視線を戻した。
目先に映ったのは迫るコランの拳。
――ああ、ごめ……
「――――ぶばッ!」
次の瞬間、コランが吹っ飛ばされた。
何が起きたかわからなかった。
だって目に入ってきたのは……
「ギリギリセーフ!」
「……」
コランを吹っ飛ばした見覚えしかない漆黒のバイク。
そしてこれまた見覚えしかない背中に剣を携えた青髪の少女。
……え、え?どういうこと!?え、いや、う〜ん?頭が追いつかない!!
ていうか、なんでライダー兄さんが!?その子とどういう関係!?
やば〜い!!!!身内だからか、動揺がハンパねぇ!!
「ルビア、あのバイクって……」
ティアも気が付いたようだ!
「ああ、多分そうだ。なんでかはさっぱりわからんがな」
「ちなみにあの子は知って――」
「――あっ!あなたは!!」
あっ、バレた。
ライダー兄さんから降りると、慌てた様子で近付いて来た。
「なんでここにいるんですか!?」
い〜や、こっちが聞きたいよ。




