第八十四話 上からドボンと〜
拝啓、ライダー兄さん。
今はどうお過ごしでしょうか?
散歩か、日光浴か、はたまた誰も知らない秘密の趣味か。
まぁ……充実した時間を送れていれば私としては嬉しいの限りであります。
ちなみに私達はなんやかんやあって、現在――
「久しぶりにこの姿になったからね、いい準備体操になったよ」
詰みに詰みまくっています。
「どうする?」
さっきまでとは打って変わって気を引き締めたティアが私を介護しながら問いかける。
「う〜む……」
絶望的とはまさにこのことであるな!
ハッハハ!!…………笑い事ではないか。
「……おや、もうこんな時間か。私としたことが少し羽目を外しすぎた――急ごうか」
どこから出した普通サイズの時計を見ながら、ぶつぶつと呟くコラン。
ぱっと見、隙だかけに見えるが素人の私でもわかる。
――逃げられないと。
やっぱ笑い飛ばそうかな?
「話すことも話した。遊ぶだけ遊んだ。さあ、一緒に来てもらおうか?」
「だ、誰がっ!」
「え!?…………そ……そ〜うだ、そうだ!!」
ティアよ、君、ものすごい勇気があるのね?
まぁ、私としても不服ではあるから、代弁してくれて感謝はしている。う〜む。
「……はぁ、あまり彼の子に危害は加えたくないのだがね。致し方ない」
コランは決め込むと、私達に一歩ずつじっくりと歩み寄ってくる。
も〜うダメだ!
――ドゴンッ!!
と、良く響いてくる轟音と共に大きな塊が二つ、天井を突き破り、私達とコランの間に壁を作った。
「え〜と?」
「どうして……?」
「まったく。あれだけ騒ぐなと注意したというのに……」
落ちてきたにも関わらずその塊……いや、《無獣》とフォジュックさんは我々など気にも留めずに彼らだけの空間を築いていた。
「どうした?落ちた時に腰でもやったか?」
「フン、言わせてくれる」
ナイスタイミング!!……と言いたいところなのだ〜が、これはこれでどうしたら――
「これハウンド、何をやっている」
そうこう抜かしているとコランがハウンドとか言う《無獣》の頭を容赦なくぶっ叩いた。
「いてっ…………なんだコランか、なんだ?」
「なんだではない。何をやっている」
「ちょっと面白い奴がいてよ」
「お前は……!」
「……どういう状況じゃ」
二人が内輪揉めを始め、フォジュックさんもようやく現状を受け取ったようだ。
「フォジュックさ〜ん!」
「大丈夫ですか!?」
私はティアに介護されながらフォジュックさんのもとに駆け寄った。
なっ!!
フォジュックさんの姿をまじまじと見て私達は戦慄した。
フォジュックさんの身体中には浅いものから深いものまで多くの斬り傷が走っていた。
一体、何があったというのか……?
「ルビア殿!?それにティア殿まで……どうしてここに……」
しかし当の本人はそんな傷はないかのように私達に接してくる。
辛いだろうに……。
「え、あっ……話すと長くなるので、一旦ここは飲み込んでもらって…………」
「お、おお……そうか……」
「あ、あの…………それでどうするのこれから」
確かにそうであるな。
「とりあえずは……」
フォジュックさんは前に目を向ける。
「アイツらをどうにかせんとな」




