第八十二話 いいかティア君。こういう時は
う〜む。さて、どうしよう。
このなんとも言えない独特の空気。
「話したいことは全部話したかな……」
上を見上げ、何かを考えるコラン。
「…………どうするルビア。逃げる?」
それを見てティアは声を潜めて話し掛けてくる。
「いや〜、とても逃げられるようには見えないがね」
「でも私達、なんで連れてこられたのかわからないんだよ?この後変なことされるかもしれないんだよ?」
「それは…………」
大いにありえ〜るな。
デカい話をポンポン出されて、驚きで警戒が薄れてしまっていた。
土地勘もない、何があるかもわからないところで逃げれるのか?
考えろ、考えろ〜!!
「ねえ、ルビア、後ろ見て」
「後ろ?」
振り返ってみると、奥に続く通路があった。
「あそこから逃げるのはどう?」
「どこに続いてるのかわからないのに大丈夫か?」
「でもこのままってのも……」
わかっているのだよ、ティア。
だがこれは映画でたまにある廃墟でのラストバトルとかではないのだぞ!?
現実でそんなこと――――い〜や、待てよ。
「――いいかティア君。こういう時は……」
「ルビア?」
「流れに任せるのが一番なのだぁぁぁぁぁ!!」
私は踵を返し、全力ダッシュをした。
「え…………」
「おや?」
「ルビアァァァァアア!?」
少し間を開けてティアもあとに続く。
「ちょっとルビア!!どういうつもり!?」
「考えてみて思ったのだよ。緊迫感のある場で求められるのは流れに身を任せるのが一番だと」
思い返してみれば、映画でも流れで上手くやっていたよ。もちろん、個人の感想だがね。
「何言ってるの?」
「年上からの教えだよ」
「いや、同い年でしょ……」
そうこうしている内に通路に突入する。
代々守っているからか、薄暗いが明かりがあるのは心強い。
「このまま進むとして、どうする?」
「ん?どゆこと?」
どうするって。
逃げるの一択であろう。
「ほら後ろ」
「後ろ?」
デジャヴを感じつつ、後ろに目を向ける。
「どこへ行くというのかね?」
そこにはコランが姿勢良くこちらへ走って来る姿があった。
「やっ〜〜〜〜ばい!ばい!!ばいばいばいばいばい、バ〜イ!!!!」
そりゃそうですよね!?
タダで逃がしてくれるわけないよねぇぇぇぇ!!
「よしティア!スピードを上げるぞ!?」
「待ってよルビア!ドレスだから走りづらいんだけど!」
あっ、そうか。なら仕方ない。
「よっ、こらしょ!」
「えっ、ちょっ、ルビア!?」
私はティアを俗に言う、お姫様抱っこをした。
こうすれば文句ないだろう?
別に重くないし。
「よ〜し、逃げきれるぞ、ティア!」
「…………」
無視かね?




