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英雄にすることもまた一つの恩返しである  作者: 若村鬼海
第四章 今、扉は開かれる
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第八十一話 もう一つの鍵④

 フォジュックの周りを縦横無尽に跳び続ける爪から紫の斬撃が放たれる。

 斬撃は容赦なく光の盾に直撃し、ヒビが入る。


「これで決まりだな!」


 ハウンドは同技を繰り出そうとする。


「お主がなッ!」


 しかしそれよりも速くフォジュックが動いた。

 スキルを解錠し相手に迫らんと、駆け出した。


「――」


 ハウンドは放った爪を戻すと、フォジュックの全身に狙いを定め、発射する。 

 

 フォジュックは大盾を投げる。

 それは右腕から放たれた爪全てに突き刺さる。

 残った爪を回避しつつ、そのままスライディングし、大盾を抜くとすかさず立ち上がる。

 そして奴の右腕と爪の間の空間を空いた手で掴んだ。


「――――何ッ!?」


 ハウンドが驚嘆するや否や、フォジュックは掴んだ()()を力任せで向かいの壁に投げた。

 すると、ハウンドは向かいの壁に引っ張られるように突っ込んで行った。


「やはりか……」


 フォジュックはスキルの限界がくる寸前、ハウンドの跳び拡散する爪の秘密を発見した。

 それは――


「お主の爪、視えない糸で繋がっているじゃろ?」

 

 体勢を直すハウンドを見据えながら問う。


「ああ、そうさ。やっと気付いたか」


 爪に刺さった大盾を外し、投げ捨てる。

 フォジュックは問いを続ける。


「では、あの時もその糸を使って我々を金縛り状態にしたのか?」


「使い勝手がいいからな。粗さもその通り、自由自在だ」


 ハウンドは爪に刺さった大盾を投げ捨てると、フォジュックが糸を掴んだ手を一瞥する。

 彼の指先からは血が垂れていた。


「実に厄介じゃな」

 

「まっ、ともかく、上手く対応したのは褒めてやる。…………じゃ、それを考慮した上でこれからどう対応するか、見ものだな?」


 ハウンドは両爪を構え、発射する。

 大盾を失ったフォジュックは視えない糸にも注意を払いながら一定の距離を取る。


「厳しいか――」


『パープルスラッシュ<斬波>』


 拡散する爪から放たれる紫の斬撃の嵐。

 スキルと剣を使い、斬撃を躱し、薙ぎ払う。

 状況は先よりも正に劣勢。

 決してフォジュックが弱いわけではない。

 相手が何枚も上をいくのである。

 

 彼の――彼らの根本にあるものが更に強くしていく。

 

「絶対に許さん!!」

 

 


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