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英雄にすることもまた一つの恩返しである  作者: 若村鬼海
第四章 今、扉は開かれる
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第七十九話 もう一つの鍵②

 砂ぼこりが広がるここは、レンガで囲まれた頑丈な造りの修練場。


 普段は騎士団の鍛錬の場として使われている。しかし今――そこにいるのはフォジュックとマッドウルフ。

 

 二体は各々の得物を構え、対峙していた。


「まさか場所を変えるためにタックルしてくるとはなあ?」


「これでも立場があるのでな。被害は抑えたいのじゃよ」


「はっ!なら、その傷も被害削減か?おれはてっきりた・だ・の・老・いだと思ってたぜ?」


 マッドウルフは挑発で先制パンチを打ち出す。


「ああそうだとも。ここなら遠慮せずやれるからなっ――――!」


 フォジュックが突っ込み、戦いが再開がされた。

 

 大盾を最大限に活かし、自身の身体を隠しながら急接近する。 

 

 マッドウルフは即座に状況を把握し、傷のある横腹を狙った爪先を突き上げる。


 ――そんなのは織り込み済みじゃ。


 フォジュックは剣で爪先を払い、大盾をぶつける。


 が、相手は大盾にぶつかる瞬間に横に跳び、手薄になった後ろに襲い掛かる。


「ッ!」


 フォジュックは身体を回転させながら横薙ぎで牽制する。

 マッドウルフは今度は後ろに大きく跳び、回避する。そして壁を足場にすると、爪を突き立てて勢い良く飛び込む。


『パープルスラッシュ』


 スキルと共に。

 この速さでスキルも直撃すれば、盾を使えどフォジュックはただでは済まないであろう。――しかし、当の本人はそれを瞬時に理解した。


『光の盾』


「何ッ――!」


 彼の一言で紫の斬撃は何かにぶつかったように砕け散り、マッドウルフも同様に衝突し、反発した。


「!」


 その刹那、フォジュックは大盾を投げ捨て、両手で持った剣で一閃した。


「手応え……あり!」


 実感し、大盾を拾おうとしたその時だった。

 フォジュックは後ろから何かを察し、大盾をすかさず構えた。


 ガンッ!


 鋭く鈍い音が響いた。


「き、貴様……!」


「なんだ?まさかあれで終わりだと思ったか?」


 なぜなら目の前には今さっき仕留めたはずのマッドウルフがいたからだ。

 

「フン!」


 大盾を押して二人は距離を取る。


「馬鹿な…………!!」


 改めてマッドウルフの姿を見た時、目を見開いた、疑った。

 奴の身体には確かに斬り傷はあった。しかし傷からは一切の血が流れておらず、傷口には黒い()()のようなものが見えていた。


「…………その身体……」


「あーあ。この服、結構気にいってたんだが…………ま、いいか」

 

 マッドウルフは自身の両爪を傷口に持ってくると、


 ビリビリビリ……!!


 左右に思いっきり引き剥がした。


「な……そ、その姿…………!!!!」


 そして現れたのは――漆黒の狼だった。




 

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