第七十五話 爆弾投下!
落ちていく、落ちていく。う〜む。長〜い!
「どうしようか、ルビア」
「どうしようと言われても、落ちるしかないであろ」
長いとはいえ、ここ最近の出来事のお陰か、自分達でも驚くぐらい冷静を保っていた。
「やはり彼の子だけはあって、肝が据わっている」
私の少し上に位置にいるコランは私達を見下ろしながら言う。
「その感じからして、父さんと何か関係が?」
いつまで落ちるのか知らんが、とりあえず暇だから質問してみた。
だ〜って、状況が理解できていないのだから。
「ああ、あるとも。時間もあるし、教えてあげよう」
「お願いしま〜す」
「もうここまでの領域まで来ちゃったかー」
ティアよ、それは仕方ないことなのだよ。
「ゴホン。私とドラゴンの関係はそう、旧友――――私も《無獣》だからね」
「え」
「え」
「ええ」
む、《無獣》?この人がか〜。え、この人が!?
「ど、どういうこと!?え、ちょっとルビア!?」
「私にもわかるわけがないだろ〜!!」
許容範囲を超える爆弾発言が落とされ、私達はパニック!となった。
「驚くのも無理はない。しかしこれは本当のことだ」
い〜や、一応信じてはいるよ?
冗談や嘘ではないのはわかるのだ〜が、こんな状態でそんなこと言われると思っていなかったから、そりゃ〜困るよ。
「えーと…………あの人は《無獣》で……お父さんとは旧友だった……?」
そ〜ら、言わんこっちゃない。ティアの脳が溶けてしまったではないか。
これはダメだ。
「そろそろ着地の準備をしておいた方がいい、到着だ」
そんな我々をよそにコランは着地の準備を促す。
――ん、待てよ?
「着地の準備って、何をすれば良いのだっ!!」
「えーと、つまりお父さんは……」
くっ、ティアは未だにパニック状態だ。
なぜだ、ティアは結構賢いだろ!?
「おっと、これは失礼。そうだった、君達は人間だったね」
何。もしかしてこの穴、《無獣》が通る前提で作られてたってことか!?
「ならば仕方ない。一足先に行かせてもらおう」
と言うと、彼は頭を下に向き直し、私達の横を過ぎ去っていく。
そしてあっという間にコランの姿は見えなくなった。
「えっ!アイツ見捨てたか!?」
ど、どうする?私達、このままだと死ぬぞ!?
「――――君達、くっついて、安心して落ちてきたまえ」
下の深淵からコランの声が響いてくる。
何を持って安心しろと言うのだ!
しかし考えている余地などない!!
「え〜い!思うがままよ!!!!」
「――えっ!!ちょっ、ルビア!?」
私はティアを抱き寄せる。
その余波で頭が下になる。
程なくして、私達は大きく広がった空間に出た。
地面が見え始め、死を覚悟した次の瞬間――
ポヨン。
柔らかい触感が衝撃と私達を包み込み、地面に弾き返した。
「――ぶへっ、ポッポ、ばぁぁぁぁぁぁ!!」
「…………」
おっ、地面だ!生きてる!生きているぞ〜!!
「ティアよ、生きてるぞ!?」
「…………あへぇぇぇぇぇぇぇぇええーー」
な、なぜ先程よりもこんなに脳が溶けているのだ!?
あっ、驚きのあまりか。
「間に合ってよかった」
柔らか触感の場所からコランの声が聞こえてきた。
コランよ、ちゃんと準備しているじゃないか。
ん?
彼の方を見てるとそこにいたのは、
「これで信じてもらえたかな?」
二本足の黒羊の《無獣》だった。




