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英雄にすることもまた一つの恩返しである  作者: 若村鬼海
第四章 今、扉は開かれる
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第七十五話 爆弾投下!

 落ちていく、落ちていく。う〜む。長〜い!


「どうしようか、ルビア」


「どうしようと言われても、落ちるしかないであろ」


 長いとはいえ、ここ最近の出来事のお陰か、自分達でも驚くぐらい冷静を保っていた。


「やはり彼の子だけはあって、肝が据わっている」


 私の少し上に位置にいるコランは私達を見下ろしながら言う。


「その感じからして、父さんと何か関係が?」


 いつまで落ちるのか知らんが、とりあえず暇だから質問してみた。

 だ〜って、状況が理解できていないのだから。


「ああ、あるとも。時間もあるし、教えてあげよう」


「お願いしま〜す」


「もうここまでの領域まで来ちゃったかー」


 ティアよ、それは仕方ないことなのだよ。


「ゴホン。私とドラゴンの関係はそう、旧友――――私も《無獣》だからね」


「え」


「え」


「ええ」


 む、《無獣》?この人がか〜。え、この人が!?


「ど、どういうこと!?え、ちょっとルビア!?」


「私にもわかるわけがないだろ〜!!」


 許容範囲を超える爆弾発言が落とされ、私達はパニック!となった。


「驚くのも無理はない。しかしこれは本当のことだ」


 い〜や、一応信じてはいるよ?

 冗談や嘘ではないのはわかるのだ〜が、こんな状態でそんなこと言われると思っていなかったから、そりゃ〜困るよ。


「えーと…………あの人は《無獣》で……お父さんとは旧友だった……?」

 

 そ〜ら、言わんこっちゃない。ティアの脳が溶けてしまったではないか。

 これはダメだ。


「そろそろ着地の準備をしておいた方がいい、到着だ」


 そんな我々をよそにコランは着地の準備を促す。

 

 ――ん、待てよ?

 

「着地の準備って、何をすれば良いのだっ!!」


「えーと、つまりお父さんは……」


 くっ、ティアは未だにパニック状態だ。

 なぜだ、ティアは結構賢いだろ!?


「おっと、これは失礼。そうだった、君達は人間だったね」


 何。もしかしてこの穴、《無獣》が通る前提で作られてたってことか!?


「ならば仕方ない。一足先に行かせてもらおう」


 と言うと、彼は頭を下に向き直し、私達の横を過ぎ去っていく。

 そしてあっという間にコランの姿は見えなくなった。


「えっ!アイツ見捨てたか!?」


 ど、どうする?私達、このままだと死ぬぞ!?


「――――君達、くっついて、安心して落ちてきたまえ」

 

 下の深淵からコランの声が響いてくる。

 何を持って安心しろと言うのだ!


 しかし考えている余地などない!!


「え〜い!思うがままよ!!!!」


「――えっ!!ちょっ、ルビア!?」


 私はティアを抱き寄せる。

 その余波で頭が下になる。


 程なくして、私達は大きく広がった空間に出た。

 地面が見え始め、死を覚悟した次の瞬間――


 ポヨン。


 柔らかい触感が衝撃と私達を包み込み、地面に弾き返した。


「――ぶへっ、ポッポ、ばぁぁぁぁぁぁ!!」


「…………」


 おっ、地面だ!生きてる!生きているぞ〜!!


「ティアよ、生きてるぞ!?」


「…………あへぇぇぇぇぇぇぇぇええーー」


 な、なぜ先程よりもこんなに脳が溶けているのだ!?

 あっ、驚きのあまりか。


「間に合ってよかった」


 柔らか触感の場所からコランの声が聞こえてきた。

 コランよ、ちゃんと準備しているじゃないか。

 

 ん?

 彼の方を見てるとそこにいたのは、


「これで信じてもらえたかな?」


 二本足の黒羊の《無獣》だった。

 




 

 

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