第七話 はいこれ、詰みました
ど、どうしたものか?
「どうせ、観光か何かだろ!」
「それが村の人にお父さんたちのこと聞いてたの!!」
これはまずい……いや、なぜこうなった?
だって彼女の裏工作で父さん達の情報は漏れない仕組みになっているから、領主様の耳に入ることは絶対にない。
いや今はそんなことより、この事態をどう切り抜けるかだ。細かいことを気にしている場合ではない!
おそらくここにたどり着くまでは、あまり時間は掛からないだろう。
だが逃げるのは得策ではない。それは、村の人たちの信用を失うことになる。
「う〜む……」
もしかして、これ詰んでる?
待て待て待て、いやまだだ。そ、そうだ、まだティアという切り札があるではないか。ここは一旦彼女に……
そう思い、彼女の方へ顔を向けようとした瞬間――
ピンポーン。
家のインターホンが鳴り響いた。
「ヤバイよ、どうしよう!?」
「こうなったら、もうやっちまうか?」
「……」
この時私は察した。はい、これ詰みで〜す。
ー◆ー
今、私の目の前には絶望という二文字が座っているように見える。
「初めまして、私ここ一帯を治めています。ウィーラ・フカーヨスと申します」
緑髪にエメラルドのような瞳を持つ彼女は言った。
「私は王国騎士団騎士団長、ラーミルと申します」
そして隣に座る、金髪に水色の瞳を持つ彼女が言った。
「ティ、ティアです」
「ルビアです」
ヤバい、どうしよう。
とりあえず父さんにはキッチンに隠れてもらっているが、全くのノープランだ。
ていうか、どういうことだよ。騎士団も来てるって聞いてたけど、王国騎士団とは聞いてないぞ!
しかも騎士団長だなんて……
……詰みに詰みまくってるではないか!?
「では、早速ですが本題に入りましょう」
「は、はい……」
ウィーラさんは話し始めた。
「数年前からこの辺りの村を訪れている魔物がいるという噂はご存知ですか?」
「……えぇ、勿論」
「今回、私たちはその噂が本当かどうか調査しに来ました。そして調査の結果、その噂は本当だということがわかりました」
「そ、それで?」
「聞き込みをしていたら、貴方たちと一緒に暮らしているというお話をいくつもお聞きになりました」
「ほう……」
「いますよね、魔物?」
まっず〜い。どうする?
ティアは黙り込んでいて頼りにならないし、この状況を打破出来る最善の一手は……ダメだ、何も思いつかん。
もうこうなったら、あれで乗り切るしかない。
私流商談術で!!
《お知らせ》
投稿が遅くなり申し訳ありません。
実は諸事情により色々と立て込んでおりまして、勝手ながら少しの間、活動を休止させていただきます。
少しでもご理解いただけたら幸いです