第六十四話 とりあえず下水を通っ……
その後私達はなんとかチェックインをし、多くのものに圧倒されながらも部屋に荷物を置くことができた。
そして現在、近くの屋台街でランチも兼ねて観光していた。
「うわー、どれもおいしそう!」
「う〜む。そうであるな」
「どうかした?」
「い〜や、なんでもない」
まさかホテルから出た途端、そんなにすぐもとの状態に戻るとは。これも若さか、それともティアだからか?
…………やめよう。考えたとて、答えが出ることはないでであろう。
「で、何にする!?」
「せっかくならここでしか食べれないものが良いな」
「確かに、そうだね!」
本当にテンションが高いな。まぁ、国王との謁見は明日の予定だから、今日中に満喫する方のが良いか。
よ〜し。そういうことであれば、私も今日はめ〜いっぱい楽しもうではないか!!
「ねぇ、ねぇ、ルビア。あっちにフォークで食べると何倍もおいしくなる麺料理があるらしいよ!!」
「ほほ〜う。それは興味深い――――」
その後、私はどこかで聞いたことのあるそうなフレーズについて思考しながらも、お店人気一位の麺料理をフォークで頂いた。とて〜も美味であった。
ー◆ー
あらゆる地域を行き来する列車がキレイに並ぶ、王都のターミナル駅。その規模は他のターミナル駅を余裕で超えるものであった。
そこから少し離れた場所に、列車を点検や修理などに使われる倉庫がある。そして現在、中ではルビア達が乗っていた列車のみが点検をしている状態だった。
「よーし、大方終わったかな?」
作業員の一人が呟く。
「そうですね。ただ…………あれはどうします?」
そう言うと、近くにいたもう一人の作業員はとある貨物車両を――いや、正確には車両中にあるものを指差す。
「あれな……鍵はないし、動かそうにもびくともしないから困ったもんだよ」
それは布で覆われていた黒の大型バイク。他の積み荷は駅で全て下ろされたためもあるか、存在感はより大きかった。
「……って、いうか。なんで置きっぱなんだよ?」
作業員は思わず悪態をつく。
「それがどうやらどっかから紛れ込んだそうですよ」
もう一人は溜め息混じりに言った。
「だからって、これはないだろ!」
「確かにそうですよね。まあ、とりあえず…………飯でも食べに行きます?」
相方から苛立ちを感じた作業員は、換気のために話題を変える。
「ああ、そうだな。一旦、メシ食ってから考えるか……」
「はい!」
そして二人は他愛のない会話をしながら、倉庫を後にした。
「彼らには申し訳なかったな……」
誰もいない筈の静まり返った倉庫内で、一つの声がエンジン音とともに響き渡る。
程なくして貨物車両から例のバイクが飛び出し、豪快に着地する。
「さて、ルビア達をどう追跡するか……?」
例のバイク――ライダーは辺りを警戒しつつ、考える。
「とりあえず下水を通っ――」
「やっと行きましたかー……」
「――ッ!」
突然と、車両の下から出てきた少女がライダーの言葉を遮った。
「とりあえず下水を通っ…………って、ん?」
背筋を伸ばしながら歩く少女は目の前にいるライダーに今気付く。
「あれ?あのバイクって…………」




