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英雄にすることもまた一つの恩返しである  作者: 若村鬼海
第四章 今、扉は開かれる
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第六十二話 発車

 私達はライダー兄さんのお陰で指定された駅、グリーンズビル駅に無事に辿り着くことができた。

 しかしライダー兄さんとはここまでの為、ひとまず駅近くの人通りの少ない路地に停まった。


「いや〜、本当にありがとう!!」


「お兄さん、ありがとう!!」


「何、気にしなくていい。だが、帰りは自分達で帰って来いよ」


「もちろんで〜すとも」


「うん、もちろん」

 

「よろしい。それと…………無礼のないように、な」


 ライダー兄さんは私達が来た方へ方向転換する。


「頑張れよ」


「「はいッ!」」


 そう言い残すとライダー兄さんは走り去っていっ……ん?あれ、我々あっちから来たっけ? 

 う〜む。まぁ、ライダー兄さんなら大丈夫であろう。


「行こうか、ルビア」


「ああ。そうだな」


 私とティアは駅に向かって歩き出した。


ー◆ー


 ライダーはバイクの姿のまま止まっていた。


「あれか…………」


 見ている先には四両編成の列車が汽笛を鳴らしながら、発車を今か今かと待ち望んでいた。

 

 もちろんのこと、ライダーがいるのは家などではない。これからルビア達が乗るであろう列車が良く見える近くの丘である。


「やはり感じる……アイツを」


 ライダーが列車を特定したのは偶然ではない。それから馴染みのある者の何かをライダーは感じとったからであった。


「……俺は………………逃げない!」


 ライダーは何かを決意し、こっそりと列車へ走り出した。


ー◆ー


「はぁ、はぁ……やっと、見つけた……!」


 背中に剣を携える少女は息を切らしながら、人気ひとけのないホームに停まるとある列車を見る。

 それにはサライズ王国の印がデカデカと刻まれている。


「ルビアー、早く早く!こっちこっち!!」


「――マズイッ!」


 後ろの方から声が聞こえ、少女は慌てて目の前の車両に飛び込んだ。


「こ、これ〜か……?」


「そうだよ。ほらしっかりする」


 少女は息を殺し、男女の声が聞こえなくなるまでやり過ごした。


「ふぅー、危なかった…………って、ここは……」


 冷静になった少女は自身が飛び込んだ車両を見渡す。――貨物用車両であった。


「良かった……!ここなら安心して王都まで行ける」


 少女はちょうどいい大きさの木箱に腰を下ろし、ほっとする。


「さてと、とりあえずゆっくりとしま……ん?」


 少女はある荷物に目が入り、おもむろに近づく。それは布に覆われた他のどんな荷物よりも大きく異質な物であった。

 興味本位で布を少し捲り上げる。


「これは…………バイク?」


 ――――すると車両が揺れる。


「――おっとと!もう発車する時間ですか……」


 少女は布から手を離し、再び木箱に腰を下ろした。



 そして、舞台はサライズ王国王都へ移る――


 


 


 

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