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英雄にすることもまた一つの恩返しである  作者: 若村鬼海
第三章 陽に照らされる陰
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第五十七話 何気ない日常

 私は硬直状態となった。

 ティアが着ているのはふりふり的なものがついた黒い水着。

 女性ものの水着のことはよくわからんが、とて〜も大人びて見える。

 そして再び言おう、可愛い!!

 

「なんか言ってやれよ」


 アルコールの匂いを漂わせる父さんの一言で現実に引き戻される。


「あ、ああ……似合っているぞ」


「ほんとッ!?良かった……」


 よっぽど嬉しかったのか、ティアの尻尾は暴れ狂っていた。

 私なんかの言葉で喜んでくれるのであれば、こちらとしても嬉しいわけであるが、これで良かったのであろうか?

 今になってよ〜く考えてみると、外見はピッチピチの少年であるが中身はアラフォーのおっさんである。

 そして私の中である仮説が浮かぶ。


 ――これ、ロリコンになるのでは?


 ロリコンの定義なんぞ知ったこっちゃないが、前世の姿で同じセリフを言えば一発アウトなのは一目瞭然なのは確かである。

 

 う〜む。まあ、でも家族だから問題ないか!


 それにいちいち考えてもキリがない!!


「ほら二人とも、早くしないと肉がなくなるぞ」 


 熟考する私をライダー兄さんの一言が再び現実に戻す。

 おっと、いけないいけない。集中し過ぎてしまった。


「「はぁーい!」」


 とりあえず今は肉を食べることに集中しようでないか。 

 受け取った皿に焼き上がった肉とやけに多い野菜をのせる。


「おっ、ルビア!野菜かぁ?どんどん食えッ!!」


「アンタも食え」


 あっ、そういうことか。


「さ〜て、何をつけようか……」


 父さんは一旦ライダー兄さんに任せて、次に私は隣の机に置いてある味付けを何にするか吟味する。


「私のお勧めはお兄さん特製ソースだよ」


 そう言ったのは、横で美味しそうに肉を頬張るティアであった。


「う〜む……ではそうしよう」


 私はライダー兄さんが森で採取した果物で作った特製ソースを肉につけて一口。


「美味なり!」


「だよねだよね」


「俺にもくれよ」


「だからアンタは肉より野菜を食べろ」


「別にいいじゃねえかよー」


「はぁー……」


「「アハハハハハハッ!」」


 こういう日常なこと、なんか久しぶりな感じがするなぁ〜。


ー◆ー


 一方、様々な国、領地、施設では動きが活発になろうとしていた。


 ――サライズ王国。


「これで変わるといいが……」


 窓から城下を見つめる国王は呟く。


 ――フカーヨス領。


「チェックメイトですね」


 杉の木の下でチェスをたしなむウィーラ。


 ――商業施設『ハッピーハッピー』。


「このままじゃだめです……よね」


 バックヤードに一人で立つ少女は決意をする。


 ――????


「あの時の借り、返してもらうぞ。ドラゴン……」


 




 


 

 

《第四章 今、扉は開かれる》


ー◆ー近日投稿予定ー◆ー

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