第五十六話 父さんは子どもなり
「や、やっとついた〜……」
「おーい、お兄さん!」
「待ってたぞ、二人とも」
紆余曲折あったが、私とティアは無事に到着することができた。
う〜む。なんか、ものすご〜く疲れたなり。
「はぁ~」
私はライダー兄さんが設置してくれたであろうシートの上に寝っ転がった。
パラソルが作る日影が程良くて、たまらん!
「随分と、遅かったじぁねぇか……ヒック」
休んでいると、隣のパラソルにいる父さんが口を開いた。
「いろいろとあってね」
「お、なんだなんだぁ?聞かせてくれよ?」
あっ、これはもう酒呑んでるは〜。
「話す程のことでもないよ」
「なんだよー。それじゃあ、酒のつまみにならないじゃないかー」
「は、はは……」
迷子になって、知らない少女と衝突して、クリティカルヒット!なんて口が裂けても言える訳ないではないか!!
「肉が焼けたぞ」
話を聞いていたのか、肉を焼くライダー兄さんが助け舟を出してくれた。
「やっとか!」
「はーい」
私が立ち上がると既に父さんはライダー兄さんの隣に立っていた。
飯待ちだったということね〜。……ん、待てよ?ということは父さん、待たずに一人で呑んでいたのか?
「ニーク!ニーク!!」
前から思っていたが父さん、中身結構子どもなのね。
「ん?そういえばティアは?」
「ティア?ああ、それならここに……あれ?」
そうライダー兄さんに聞かれたので、私がいたパラソルの方を指を差そうとするが、そこにティアの姿はなかった。
「ふぇあなら、らふふれぇにかひるぜ」
え、何?フェアなら、ラフプレーに限るぜ?
食べながら話すでない。何を言っておるのかさっぱりではないか。
「食べながらしゃべれるな」
ライダー兄さんの言う通りである。
「ゴックン……わりぃ、わりぃ、ティアなら、岩場の方に行ったぜって言ったんだよ」
「い、岩場?」
なぜそんな所に行く必要があるのだ?
「そういうことか……答えならすぐ後ろにあるんじゃないか?」
「え?」
最初の方は何言っているのかわからなかったが、とりあえずライダー兄さんの言う通りに後ろを向いた。
「へ……」
「ど、どうかな……?」
そこには尻尾を左右に揺らす水着姿のティアが立っていた。
あっ、どうしよう、可愛い……。




