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英雄にすることもまた一つの恩返しである  作者: 若村鬼海
第三章 陽に照らされる陰
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第五十二話 活発少女

 あの後、崩れ落ちた私に気付いた少女が介護してくれた。そして現在、近くのベンチで安静にしておるのだが……


「ほんとっうに、すいません!」


「あっ、いえ……もももう、大丈夫です……たぶん……」


 この青髪ショートのボーイシュな子、ものすご〜く謝ってくる。これで何度目だろうか?いや、謝るのは大事だ。う〜む!

 ただ、こんなに謝られると、私が何かしたと思われるではないか!!

 先程から通り過ぎる人のほとんどが私をゴミを見るような目で見てくる。視線が痛いぞ!!


「ま、まぁ、落ち着いてくれたまえ。あれは事故なのだから、別に君が悪くない」


「いえ!もとはと言えば、ウチが非常識な行動をしたからですし……」


 少女は顔を俯かせる。

 非常識な行動?ああ〜、公共の施設で爆走したことか。

 なるほどなるほど。自身の非をしっかりと認める訳か……なんて、良い子なんだ!実に素晴らしい!!


「もう大丈夫だ!君の誠意は良く伝わってきた。それで良いではないか?」


「本当……ですか?」


「そうだ!これ以上気にすることはない!!」


「で、でも……」


 なんか、だんだん気分……落ちてないか?

 う〜む。これは起動修正した方が良いな。


「そ〜ういえば、何か急ぎの用があったのではないのですか?」


「急ぎ……?」


「え?急いでいたから走っていたのではなくて?」


「――はっ!?そうでした!!」


 この子、大丈夫か?


「いや、でも……」


「はいはい。貴方の気持ちは十分伝わりました!ほらほら、急ぎなさいな」


「ぐぬぬぬ……わわかりました。でも、このお詫びは必ず返させてもらいますから!」


「あっ、は〜い」


 そう言うと、少女は早歩きで去って行った。偉いぞ!


「あ〜そうだ。私も早くティアと合流しなくては……あ?」


 足を進めようとするが、ある事に気付き、止まる。


「そういえば、互いに自己紹介してないな」


 まぁ、彼女の誠意はしっかりと受け取ったし、何か起きる訳でもないだろう。

 

「さてと、善は急げだ!」


 私は早歩きで、ティア探しを改めて始めた。


ー◆ー


 商業施設『ハッピーハッピー』のバックヤード。


 さまざまな商品が陳列された薄暗い空間の一角。 

 そこには背中に剣を携え、フードを深く被った少女が辺りを注意深く見渡していた。


「――遅かったですね」


「――ッ!」


 少女は咄嗟に声がする方向から距離を置く。

 しかしそこには誰もいない。


「後ろですよ」


「――なっ!」


 振り向くと鳥面をつけた黒ずくめの者が立った。

 少女は二歩、後退る。


「レ、レイヴンさん、脅かさないでください」


「脅かしたつもりはありませんが」


「お、遅れて、すすいません!いろいろとあって……」


 少女は深々と頭を下げる。


「別に遅れたことにとやかく言うつもりはありません。……それで、“例のもの”は?」


「は、はい、こちらです!!」


 少女は懐から掌サイズの木箱を取り出し、レイヴンの前に差し出す。


「これですか……」


 レイヴンは木箱を受け取ると、蓋を開けて中身を確認する。


「確かに」


「……は、はい」


 そう言うと、少女は顔を俯かせた。

  

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