第五十話 あれは拝借したやつなのだよ?
翌朝、我々は予定通り海に向かって出発した。
のだ〜が、途中でティアが「あっ!私、水着持ってない!!」などと言い始めた。
言い出しっぺがなぜ水着を持っていないのか?そんなことを思いつつ、父さん達と一旦別れて水着を買いに行くこととなった。
ちなみにライダー兄さんと父さんは先に行っていろいろと準備する、らしい。まあ、人目を気にしてのことだろう。
そし〜て私達が水着を買いに来たここは、道中の近くにある商業施設『ハッピーハッピー』。前世のショッピングモールのような感じの施設だ。
「さっさと水着買って、合流しよっか?」
「う〜む、そうだな」
そう言うとティアは足早に進んで行く。ちょっ、ちょっと速くないかね?
どんどんと距離が離れていく!
「お、お〜い、ティア〜!」
あっ、もうだめだ。見えん!!
「やれやれ……」
なんて体力だ。一体あの元気の源はどこからきていることやら。
まっ、私は持っているから急ぐ必要はないのだがね。
「ゆっくりと行きますか」
せっかくの機会ですし、いろいろと見るとしょうかね!辺りを見てみると、異世界ならではの商品がそこかしこに並んでいる。
魔物の肉片、怪しい黄色い液体の入った瓶、やけにデカいお花、それ〜と……
目に入ったのは武器屋。今思えば、タマキだかタニシだかと戦った時に使った剣は私のではなく、なんか落ちてたやつを盗ん――拝借したやつなのだよな。そう、拝借したやつなのだよ。
「万が一の時に備えて、それは良いかもしれないな」
見るだけならと、私は武器屋に足を運んだ――
ー◆ー
「わわぁ、水着がいっぱいある!」
一方、ティアは水着売り場の前で目を輝かせていた。
「こっちは可愛い系で、あっちは……大人系……」
顔を赤くし、尻尾を揺らしながら水着を物色する。
ティアにはある目的があった。それはルビア好みの水着を選んでもらうこと。海に行こうと提案したのもの、水着を買わなかったのも、全てはこの日この場所に行く為だった。
この商業施設『ハッピーハッピー』はフカーヨス領で一二を争う程の規模であり、あらゆるニーズに合わせたところが人気を博している。そしてこの季節、夏用品は数多く揃っていた。
「ね、ねぇ、ルビア……どれが……いいと……ってあれ?」
熱心になり過ぎた結果、ルビアがいないことに今気付く。
「……やっちゃたー」
ティアは己の言動に少し後悔した。




