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英雄にすることもまた一つの恩返しである  作者: 若村鬼海
第三章 陽に照らされる陰
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第四十九話 謁見

 明けましておめでとうございます!

 今年もよろしくお願いいたします!!

 ラーミルは言葉を選びながらコランとの会話を繋げる。


「コランさんが王城にいるのは珍しいですね」


「少しやることがありましてね。ラーミル騎士団長は何用で?」


「国王陛下に呼ばれておりまして、これから王の間へ向かおうと」


「そうでしたか。お急ぎなのに申し訳ない」


「いえ、呼び止めたのは私の方なので……。では、失礼します」


「こちらこそ、失礼致します」


 互いがそう言葉を告げると、ゆっくりと歩き出す。


「はぁ……」


 そしてコランが視線から消え、暫くするとラーミルは肩の荷を下ろした。それは彼がただ単に怖い訳ではなく、少しでも気を許してはいけない存在な為であるからであった。


 コラン・ケルバ。

 表向きでは宰相というポストに就いているが、実際は王国直属の諜報組織『ウォール』の統括をする、掴みどころのない人物。


 ラーミルはその実態を知っているからこそ、コランとの会話では頭をフル回転させる必要があった。

 これから国王に謁見するラーミルにとっては、今一番会いたくない人物であったと言えるだろう。


 ラーミルは頭を休ませながら歩き、そして王の間の前で足を止める。


「失礼致しします」


 彼女の一言とともに扉が開かれる。

 目の前に映るのは煌びやかそのもの、何度も訪れているラーミルでも、ここに来るたびに緊張が走る。


 緊張を隠しながら奥に鎮座する国王の下へ行き、跪く。


「ラーミル、馳せ参じました」


「うむ。顔を上げよ」


 言われた通りに顔を上げると国王と目が合う。その瞳には微かな温もりが秘められているようにも感じられる。


「その後、身体の調子はどうだ?」


「はい。お陰様で十分に回復できました」


「そうか、ならよろしい。……ならば本題に入らせてもらうぞ?」


「はい」


「今年の春から立て続けに起きているフカーヨス領での事件、ルビア少年の父親であるドラゴン殿が絡んでいるというのは本当かね?」


「はい。全てかどうかは定かではありませんが、少なくともウィーラ様とフカーヨス邸の襲撃の二件に関わっているのは確定かと」


「そうか。ならばラーミルよ、ドラゴン殿一行を王城に招待せよ」


「陛下、流石にそれは問題かと!?」


 あまりのことに声を荒げるラーミル。


「わかっている。しかしこれは原因究明だけでなく、王国……いや、にとって大切なことだ。背に腹は代えられん」


「……承知致しました」

 

 




 



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