第五話 共犯者
――七年後。
いや〜、やっぱり青春真っ只中な年頃は良いものだ。
お肌はスベスベだし、揚げ物をいくら食べても胃もたれしない。……最高だ。
今の容姿は黒髪赤目のパッとしない感じだが、前世の全盛期にとても似ていた。
どういう原理かは知らないが、全然違う見た目で暮らすよりかはいいから、特に気にしていない。
私は洗面所で自分の顔を見ながらそんなことを思った。
「やはり若いとは良いものだ……」
そう言いながら自分の肌に触れていると後ろから声が聞こえてきた。
「朝から何言ってるの?」
「うん?ああ、おはようティア」
「……お、おはよう」
声の主はティアだった。
今ではすっかり家族に馴染んでいて、彼女も元気に生活している。
というかそれより……
「じーーーー」
「えーと。そっそんなに見て、どどどどどうしたの?」
「いや、別に……」
どうしてティアの方が大人っぽいんだ?
最近になって思い始めたが、同い年なはずなのに全く同い年に見えない。
おっかしいな〜。食べてるものは同じはずなのに……
もしかしたら獣人は成長が早いのか?
それとも――
「――はどうする?」
「えっ、何?」
やべっ、集中し過ぎた。
「だから、例の計画」
「あ~、それならもう少し先かな」
「了解」
う〜む、やはり彼女は有能だ。いつも良く働いてくれる。
そういえば、あの時は本当に助かったな――
ー◆ー
あれはティアが家族になってから、数ヶ月後の夜の出来事だった。
「スピ〜〜〜〜」
ルビアは寝室でぐっすりと寝ていた。
するとそこへ忍び寄る、一つの影があった。そしてその影はルビアの真横に来ると、止まった。
「あっ、あのー」
影の正体はティアだった。
ティアは声を掛けながら、ルビアの身体を揺らした。
「スピ〜。はっ、かっ、何だ!?」
ルビアが目を覚ました。
「夜遅くにすいません。少しよろしいですか」
「なんだティアか。どうしたんだい?」
「単刀直入に聞きます。ルビアさんは村で何をしようとしているんですか?」
「えっ……な、何のことかな?」
それを聞いた瞬間、ルビアの眠気が完全に覚めた。
「隠さないで結構です。私は全て知っています」
「ど、どういうことだ?」
「ルビアさんには教えて上げましょう。私がここに来た訳を――」
そしてティアはルビアに自分の目的を伝えた。
「……なるほど、それが君の訳ありの正体か。つまり、私の計画に協力してくれるってことか」
「そうです。信じてくれますか?」
「ああ、勿論。ただし、一つ条件がある」
「何ですか?」
「それは君も本当の家族になることだ」
「なぜですか?」
「いつまでもとは言わない。期間は君の目的が達成されるまででいい。ただ、父さんたちには――」
「――そういうことなら十分承知しています」
「なら、交渉成立だ」
そして二人は握手をした。
ー◆ー
あれからというもの、抱えていた問題もスムーズに解決し、今では父さん達が堂々と歩ける村がいくつもできた。彼女様々だ。
「ありがたや~、ありがたや~」
ルビアは彼女に向かって合掌しながら言った。
「いきなり、何やってるのーー!」