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英雄にすることもまた一つの恩返しである  作者: 若村鬼海
第三章 陽に照らされる陰
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第四十七話 気まずっ

「いい加減、諦めてよッ!」


「それはこっちのセリフだぁ!」


「はぁ~〜〜〜……」


 さぁ〜て、どうするか。いつもであれば私かライダー兄さんが仲裁するのだが、ライダー兄さんは外出中だし、今は我々は同類な訳だし、そもそも暑くて仲裁する気にもなれない。


「とりあえず……シャワーでも浴びて、一回スッキリするか」


 こうして考えてるだけで汗でベトベトだし、少しはマシになるでしょう。


「ホントッ、大人げない!」


「なんだとぉー!?」


 私はあの二人を放って浴室へ向かった。


ー◆ー


「ラ・ラ・ラ・ラ、ラ〜ララ〜」


 気分爽快!汗を洗い流すのは気持ちいいぞいッ!


 二人も醜い争いなんかせずにシャワーでも浴びれば良いものを……やれやれ、あれでは無駄に汗をかくだけだというのに。


 はぁ~、自分を同類なんぞ言ったのが恥ずかしくなってくる。

 

 ――あっ、そ〜うだ!


 せっかくだ、二人にもこの素晴らしさを教えてあげようではないか!!


 私はシャワーを止め、勢い良く浴室の扉を開けた。


「オ〜〜プ――――ん?」


「えっ?」


 すると、目の前には下着姿のティアがいた。


「……」


「……」


 暫く沈黙が続き……


「う……う〜〜〜〜……っ!!」


「あっ」


 自分が素っ裸だというのを気付くと同時にティアが沈黙を破った。


「わ〜〜〜〜あ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!」


「い〜〜や〜〜〜〜ん!!」


 完全にやらかしたわ。


ー◆ー


「――なるほど、そんなことかぁ。人騒がせな奴だぜぇ」


 ティアか私の悲鳴を聞いて、浴室へやって来た父さんは呆れたように言った。


「そんなことじゃなぁいッ!」


「そうそう」


 私はともかく、ティアはお年頃だし、こういうのは結構気まずくなるものなのだから。問題なのだよ。


「はぁ……家族なんだから、気にするなよ」


「だから、そういうのじゃないんだって……」


 ほら見ろ。顔は真っ赤だし、尻尾はブンブンと動いているではないか。

 言っておくが、私は今、タオルを巻いてるから素っ裸ではないぞ!


「まぁあ。何がどうあれ、今回は互いの不注意ということで手を打ちましょう」


「ああ、そうしろ、そうしろ」


「えっ!……う、うん、そうだね」


 父さんはリビングへと戻って行った。

 

「ではティアよ、服を着たいから、すまないが一回出てくれないか?」


「うん、わかった……」


 ティアも待っているし、さっさと着替えなければ。

 と、服を取ろうとしたその時、扉の方に目が入った。

 

「ん?」


 そこには扉の隙間からこちらを覗くティアの姿があった。


 えっ、どうしよう?ちょ〜気まずっ!!


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