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英雄にすることもまた一つの恩返しである  作者: 若村鬼海
第三章 陽に照らされる陰
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第四十六話 真夏の太陽ッ〜!

 あれから特に何も起きることもなく、気付けば、季節はすっかり夏になっていた。


 この世界の夏は前世と変わりない気候で、外に出れば、真夏の太陽ッ〜!に照らされるわけだ。


「あっついよ~」


 つまり、自然と家に引きこもりになってしまうわけだ。元サラリーマンがこんなことを言うのはあれなのだが、しっかり家の手伝いはしているからセーフでよろしいでしょう?


「へぇ〜、この暑さでは本も進まん!」


 なにはともあれ、引きこ――ではなく、お家時間を活用し、私はあの騒動のキーワードの一つ『文明崩壊スタート・ワールド』について調べていた。


 家にあった『少年の日記』という本、いわく、約一四〇〇年前、この世界は今や前世なんかよりも桁違いの科学技術が発展した一つの国だったらしい。しかし、謎の“紫光”によってその国は一夜にして滅んでしまった。それが皆が言う『文明崩壊スタート・ワールド』らしい。


 う〜む。私、本当にあの時、事故ってしまったようだ。追求されなくて良かった!


 あっ、そういえばウィーラさんは大丈夫であろうか?詳しくは聞いていないが、かなり大変なことになっているらしい。騎士団は行方不明、レイヴンという人物は正体不明、王国による騒動への介入は完全不明!


 それにすっかり忘れていたが、父さんの件は一切進んでおらん。ちょっと前にウィーラさんからで問題ないと書かれていたが、大丈夫かな?


 まぁあ、とりあえず今は――


「あ〜つ〜い〜!これ以上は無理だ〜!!」


 私は自室から飛び出すと、リビングへと駆け出した。なぜならば、そこには家唯一の扇風機があるからだ!おのれ〜なぜこんなに暑いのにエアコンが存在しないのだぁ〜〜〜〜!!!!


 リビングへたどり着くと、私は思わず立ち止まった。


「ちょっとどいてよ!」


「俺だって暑いんだよ!」


「その巨体じゃ意味ないでしょ!」


 そこには扇風機の前を取り合うティアと父さんの醜い光景が目に映っていた。


 あっ、私達……同類だ。





 


 


 

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